軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ドラゴンカーニバル①

「……ドラゴンカーニバル? なんですか、それは?」

「うむ、簡単に言えば御前試合のようなものだ。年に一度マグナウェル様の前で配下の竜種が実力を見せるために模擬戦を行うのだ。ただ、少し特殊なのはこのドラゴンカーニバルは若き竜種、千歳に満たない者のみが参加できる」

「へぇ、そんなのがあるんですね」

「若き竜種にとっては、己の実力を王に示す機会だ。皆一様に張り切る」

俺の前で紫煙を吐きながら告げるフレアさんの言葉を聞いて、考える。若い竜種の戦い、それは大迫力なんだろう。千歳までということは、数も結構居そうだしかなりの規模になりそうな気がする。

しかし、なぜフレアさんがその話を伝えに来たのかが、よく分からない。

「我が 戦友(とも) よ。そのドラゴンカーニバルに貴公を招待したいと思うのだ」

「えっと……お誘いはありがたいですが、俺が参加していいようなものなんですか?」

「基本的には内輪で行う行事故、外部に公開することはないが……今回はマグナウェル様の許可もいただき、特別に観覧の席を用意した。理由はふたつ、ひとつは我が 戦友(とも) にも竜種の熱き戦いを見てもらいたいというものだ。ふたつ目に、以前 戦友(とも) より聞いた話、六王幹部に挨拶をしているという件だ」

「あっ、それってもしかして……」

「その通りだ。このドラゴンカーニバルには四大魔竜は全員出席する故、 戦友(とも) の用事を片付けるには最適だと思ってな」

なるほど、これは素晴らしい提案だ。六王幹部への挨拶とお礼、現在は界王配下幹部の七姫を順に回っているところだったが、別にその順番通りに回らなければならないという決まりはない。

それに現在は次の七姫の方の都合がいい日を待っている状態なので、先に四大魔竜の方に挨拶を済ませてしまうのもいい。

一堂に会するというのであれば、あちこち回る手間も省けるので一石二鳥である。

「それは、ありがたいです。是非参加させてください」

「ああ、それでは日程と場所だが……」

「あっ、すみません。ちょっと待ってください」

「うん?」

フレアさんとの話を中断して、俺はある人物のことを考える。これはある意味、こちらに関してもいい機会かもしれない。

「……フレアさん。マグナウェルさんには俺から頼みますので、観覧の席を『もう一枠』用意してもらっても構わないでしょうか?」

「ふむ。問題ない。マグナウェル様にうかがう必要もない、その程度であれば我の裁量で用意するが……誰か招きたい人物が居るのか?」

「はい。実は……」

フレアさんを見送ったあとで、渡り廊下を通ってリリアさんの執務室に向かった。執務室に着くと、丁度ルナさんは外しているみたいで、リリアさんひとりだった。

「リリアさん、いま少し時間大丈夫ですか?」

「ええ、大丈夫ですが、どうしました?」

「ちょっとリリアさんの予定が空いてるかを確認したいんですが……」

先ほどフレアさんに聞いた日程を告げると、リリアさんは少し考えるような表情を浮かべたあとで頷く。

「……その日でしたら調整できますが、なにかあるのですか?」

「ええ、実は先ほどフレアさんからドラゴンカーニバルという行事への招待を受けまして、リリアさんの都合がよければいっしょに行ければと……」

「……」

「ほら、以前マグナウェルさんに改めて紹介するって約束してましたし、丁度いい機会かなぁと」

「……」

「……リリアさん?」

俺の言葉を聞いてリリアさんはなぜか沈黙しており、その様子に首を傾げると。少ししてリリアさんの表情が驚愕に染まった。

あぁ、なるほど……思考が追い付いてなかったのか……。

「ド、ドドド、ドラゴンカーニバル!? そそ、それはまさか、あの伝説の……」

「伝説かどうかはわかりませんが、ドラゴンカーニバルです」

「あ、あの行事は竜王配下に属するもの以外は、会場となる地に近づくこともできないと聞きましたが……」

「はい。フレアさんが気を利かせてくれて特別に観覧席を用意してくれたらしいんです。それで、リリアさんの都合が合えば一緒に連れて行ってもいいかと聞いて、快諾を貰ったので誘いに――」

「行きます! 絶対に行きます!!」

「――ちょっ、リリアさん!?」

「さすがカイトさんです! まさか、あの伝説のドラゴンカーニバルに参加できるなんて!」

先ほどまで執務机の椅子に座っていたはずのリリアさんが、いつの間にか目の前に居て、俺の手を握りながら満面の笑顔を浮かべている。

うん、ドラゴン好きのリリアさんなら間違いなく喜んでくれると思っていたし、ずっと希望していたマグナウェルさんへの紹介もできるので、誘ってよかったと思う。

よかったとは思うんだけど……この人、いま当たり前のように俺には知覚すらできない速度で動いたよね? ルナさん曰くこの二年で滅茶苦茶強くなったとのことだが、どうやらそれは間違いではなさそうだ。