軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

六王幹部に会おう・十魔編⑧

幻王配下幹部十魔、ふたり目の紹介はアスタロトさん、現状では忠誠心バグ枠であり相手の能力をステータスの用に見ることができるという情報しかない。

性格とか容姿はまったく不明なので若干不安には思いつつ、パンドラさんに連れられて魔界にあるアスタロトさんの拠点へとやってきた。

転移してすぐに少し前方に、160㎝後半ぐらいのやや背の高い女性……アスタロトさんらしき方が居たのだが、想像以上に個性的な容姿をしていた。

まず髪、セミロングぐらいの長さなのだが、真ん中から二色に別れており右側が黒髪で、左側が金髪だった。そして顔の左半分に半円状の仮面を付けている……穴が一切開いてないので仮面というよりは、半円状の板で顔を半分隠しているという表現が正しいかもしれない。

見えている右半分の顔は、やや垂れ目がちな金色の目で……なんかものすごく落ち着きなく視線が動いている。

「あ、ああ、あの、よよ、ようこそ、い、いらっしゃいました」

「……えっと、初めまして。アスタロトさん……でよろしかったですか?」

「は、はひぃ! そそ、そのとおりで、ごご、ごさいましゅ!」

「宮間快人です。よろしくお願いします」

「こ、ここ、こちらこそ」

……うん、なんとなく察した。どうにも物凄くコミュ障というか、人と話すのが苦手な方のようだ。視線はずっと動きまくってるし、ドモりまくってる。

なるほど、これはまたなかなか個性的な方が……。

「……『さっさと左に変われ』、 右(オマエ) では話が進まない」

「は、はは、はい!」

「……左?」

パンドラさんが告げた不可解な言葉を聞いて首を傾げていると、アスタロトさんは顔の仮面をピンッと指で弾いた。

すると半円の仮面は綺麗に反転し、今度は左半分の顔が見える。黒色の釣り目、どこかキリッとした表情……なんだか、先ほどまでとは雰囲気が違う気がする。

「ミヤマ様、今回はわざわざ足を運んでいただき恐縮です。本来であれば立場が下の私が挨拶に伺うのが正当なところ、自己紹介事態も遅くなってしまったことお詫びいたします」

「え? あ、いえ……えっと……」

先ほどまでとは全く違ってスラスラと淀みなく喋るアスタロトさんに戸惑っていると、俺の疑問を察したのかアルタロトさんは軽く頭を下げた。

「失礼いたしました。先にこちらを説明するべきでした。改めまして、私の名はアスタロト……『ジェミニ』と呼ばれる種族の魔物です」

「ジェミニ?」

「はい。『ひとつの体にふたつの人格』……二対一体と言われる希少種族です」

「……二重人格ということでしょうか?」

なんとなくニュアンスは伝わってきた。つまるところ最初のコミュ障っぽい人格と、今話しているキリッとした人格が存在するということだろう。

「いえ、二重人格というのは少々違います。こればかりは、感覚的なことなので、同族以外に説明するのは難しいのですが……先ほどの私といまの私、どちらも同じアスタロトであり、思考も共有しています。実のところ人格が切り替わっているわけでもないのです」

アスタロトさんはそう言いながら右半分を隠していた仮面を外す。すると……顔の中心で左右の表情が違った。右半分は垂れ目でおどおどした感じで、左半分はキリッとしてる。口角も片方は下がって片方は上がっていると少なくとも普通の表情筋では不可能であろう表情だ。

「「どちらの人格も同時に存在しています」」

お、おぉ……なんか声が二重に聞こえる。すっごく不思議だ。

「「たた、単純に、ここ、この状態ですと、ここ、声が聞き取りに、にくいので……こうした仮面を付けて調整しています」」

話し方も途中で変わったりするのか……た、確かにこれは少しややこしい気がする。

「「表現するなら、二体の魔族がひとつの体に融合しているというのが近いかもしれません。分体の要領で二体二別れることもできますが……私はこうして『二つの意識が同時に存在するのが正常』なので、分かれると著しく弱体化します……本当になんと説明していいか……」」

「……少し待て、いまシャルティア様からミヤマ様に伝えよと伝言が来た」

アスタロトさんが自身のことをどう説明するか迷っていると、パンドラさんがアリスからの伝言が来たと話を遮った。

「ミヤマ様、そのままお伝えします。『分かりやすく言うと、一体のロボット……体にふたりのパイロットが乗ってるようなものです』とのことです」

「……あぁ、なるほど、ザックリとは理解できました」

つまりふたつの人格が、アスタロトさんというひとつの体を同時に動かしているということなのだろう。そんな俺の言葉を聞いて、アスタロトさんは少しほっとした様子で再び右半分に仮面を付ける。

「まぁ、どちらが主人格というわけでもないので、少しややこしいかもしれませんね」

「どちらが上というわけでもないので、私やシャルティア様がふたつの人格を区別して呼ぶ必要があるときには、それぞれ右と左と呼んでいます」

……結構混乱してはいるが、まぁ、そういう種族なのだと思うほかなさそうだ。