軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

機械仕掛けの神の物語⑨

石畳の道に所狭しと立ち並んだ屋台は、どこか古き良き時代の雰囲気を漂わせ、そこだけ時代が巻き戻ったかのような錯覚を覚える。

日が暮れ提灯に光が灯り、その淡い輝きに照らされながらアリシアとマキナは道を歩いていた。

「いや~タイミングよかったね。ちょうど近場で祭りがあったとは……」

「凄い人だね……この浴衣って服も合わせて、なんだか不思議な雰囲気があるね」

「まぁたしかに、この雰囲気は独特かもしれないね」

数日の船旅で日本に辿り着いたふたりは、初めはアリシアのオススメという高級温泉宿にやってきた。そしてたまたま、近くで祭りがおこなわれていると聞き、荷物を置いてふたりで遊びに来ていた。

アリシアが用意した浴衣に身を包み、物珍しさからキョロキョロと視線を動かしながら歩いているマキナ。全知で知識だけはすぐに手に入るが、こうして自分でその場にきて歩くというのは、やはりまた違った感覚なのだろう。

そんな姿を微笑ましそうに見たあとで、アリシアは近くの屋台で食べ物を購入する。

「アリシア、それは?」

「たこ焼きだよ。マキナも食べる?」

「う、う~ん、食べたいけど……アリシアにいろいろなものを食べさせてもらって分かったんだけど、私ってかなり猫舌みたいだからさ、もう少し冷めてからがいいかな」

「ふむ……マキナ、あ~ん」

「え?」

猫舌を理由にたこ焼きを食べるのを断ったマキナだったが、直後にアリシアが意地の悪い笑みと共に告げた言葉で、つい反射的に口を開いてしまった。

そしてそこに、アリシアはいっそ見事と言えるようなコントロールで……熱々のたこ焼きを放り込んだ。

「ぎにゃぁぁぁ!? あふっ、あふいぃぃぃ!?」

もちろん放り込まれたマキナはたまったものでは無い。叫び声と共に恥も外聞も捨てて地面を転がる。ただそれでも、両手を口に当ててたこ焼きが零れ落ちないようにしているのは女性としての最後の抵抗なのかもしれない。

そもまま、ゴロゴロと地面を転がったあと、少ししてマキナは立ち上がり、烈火のごとくアリシアに詰め寄った。

「なにするの!? 酷いよ、アリシア!」

「あれ? マキナって猫舌だったの? いや~ごめんごめん、気付かなかった」

「言ったよ! 私結構ハッキリと猫舌だって言ったよ!!」

「あっ、大丈夫安心して。認識阻害しといたから、誰もマキナの痴態には気付いてないよ!」

「……そこに気遣いできるなら、もっと別のところを気遣ってほしかったよ……私、神の力使いこなせるようになったら、絶対一番初めに猫舌治す」

「あはは、なんか贅沢な使い方だねぇ」

「むぅ~」

楽し気に笑うアリシアを見て、マキナはぷくっと頬を膨らます。別にそれほど怒っているわけではないが、このまま有耶無耶にというのも釈然としない。

マキナはアリシアが手に持っていたたこ焼きの容器を素早く奪うと、さっきのお返しとばかりに告げる。

「アリシア、あ~ん」

「あ~ん」

「……」

「う~ん、なかなかにデリシャス」

「なんで平気なの!?」

「いや、だって別に私猫舌じゃないし……」

「むぅぅぅ……このっ、このっ!」

「あっ、ちょ、待って! まだ口の中にたこ焼きあるから……」

残念ながらアリシアに逆襲は通用しなかった。しかし、その後に半場やけくそ気味に行ったほっぺを引っ張るという反撃は、若干効果があったようだ。

「……あはは、いや、ごめんごめん。舌の火傷は治しといたから、他のも食べようよ。熱くないのもいっぱいあるからさ」

「ふ~んだ。アリシアの……いじわる」

「ごめんって、あ、ほら見てマキナ、綿菓子売ってるよ! アレなら熱くないから!」

怒っているというよりは拗ねているマキナに平謝りしつつ、アリシアは近くにあった出店で綿菓子を購入してマキナに手渡す。

マキナは不満そうな顔を浮かべつつ、綿菓子を一口食べて……目を輝かせた。

「美味しいっ! すごいよ、アリシア! これ、ふわふわだよ!」

「……もう機嫌治ったよ。扱いやすいというか、安上がりというか……」

「うん? なんか言った?」

「いや、なんでも、ほらほらいろいろ回ろう!」

「わわっ、ちょっと引っ張らないで……この服動きにくくて、こけちゃうから」

祭りを楽しんだあとは、温泉宿に戻り、夕食の前にふたりで温泉に入ることになった。

「はぁ、いい湯だね~」

「ふぁぁ、温泉って気持ちいいね……けど、凄い部屋だね。小さな庭に温泉までついてるなんて」

「なんせ超高級宿の最上級の部屋だからね。夕食も最上級だから、期待してていいよ」

「ふふふ、そっか。楽しみだね」

並んで温泉に浸かりながら、明るく話すアリシアを見て、マキナも自然と笑顔になる。広い温泉の中で、自然と肩が触れ合うほど近くに座っていることからも、二人の仲の良さが伝わってくる。

「本当はここで日本酒でも軽く飲みたいところなんだけど、マキナはまだまだおこちゃまだし、私だけ飲むわけにもいかないしね~」

「むっ、そんなことないよ。ほら、考えてみてよアリシア。私はもう神になったわけだし、人間の法律とかは関係ないわけだよ。だからお酒を飲んでもまったく問題ないんだよ」

「いや、そうじゃなくて……絶対苦いだの、美味しくないだのいうのが目に見えてるって意味だよ」

「……そんなの、飲んでみないと分からないじゃん」

「じゃ、飲んでみる?」

売り言葉に買い言葉というべきか、アッサリとアリシアの挑発に乗ったマキナは、アリシアがとこからともなく取り出したお猪口を受け取る。

「いいよ。私はもう立派な大人なんだし、お酒ぐらい余裕だよ!」

「だといいね~それじゃ、どうぞ」

「ありがとう。じゃ、さっそく――ッ!?」

苦笑しながらアリシアがお猪口に日本酒を注ぐと、マキナはお礼を告げたあとで一気に飲み干した。飲む前は余裕そうな表情を浮かべていたマキナだが、酒を飲んで少しするとなにかを堪えるように唇を噛み、プルプルと震え出した。

その状態が数秒続くと、ついにこらえ切れなくなったのかマキナは苦々しい表情で告げる。

「……か、辛いよ……なにこれ、こ、これがお酒なの?」

「日本酒だね。言っとくけど、これ辛口じゃないよ?」

「……ア、アリシアは……こ、こんな辛いのが、美味しいの?」

「日本酒はね、主に香りを楽しむお酒なんだよ。だからそんなに一気に飲むんじゃなくてさ、こうしてお猪口に注がれた酒の立ち香、口に含んで舌の上で滑らせるようにして鼻から空気を抜くようにして感じる含み香、ふたつの香りを楽しみながら飲むのが美味しく飲むコツだね」

「へ、へぇ……」

慣れた様子で自分のお猪口を傾けて日本酒を飲むアリシアを見て、マキナもその動きを真似しつつ、アリシアに言われたことを実践してみた。

するとまだ辛さは感じるものの、アリシアの言うふたつの香りというのを微かに感じることができた。

「……ふぅ……う~ん。やっぱり辛いけど……けど、ちょっとだけ、香りを楽しむってのが分かったかも?」

「まぁ、慣れもあるからね。何度か飲んでるうちに美味しく感じるようになるかも?」

「なんで疑問形なのかな?」

「結局好みの問題だしね。あと日本酒は悪酔いしやすいから、同じくらいの量の水と交互に飲む方がいいかもね。というわけで、はい水」

「ありがと……う~ん。神になったからかな? あんまり酔うって感覚はないけど……そ、その、やっぱり慣れてないからかな? 水の方が美味しいよ」

「あはは、相変わらず安上がりだなぁ」

そう言って笑い合うふたりの表情は、本当に幸せそうなものだった。

温泉から上がり、高級感がある和室の部屋のテーブルでの夕食の時間。部屋の形としては向かい合わせで席に座るのが自然だが、ふたりは並んで座っている。特にどちらかが言い出したわけでもなく、自然とこうして隣に並んでいる方がしっくりくるからだった。

「……う、う~ん」

「マキナ? 食べないの?」

「い、いや、分かってるんだよ。これは、刺身っていうちゃんとした料理で、食べられるんだって……ただね、その、生魚を食べるのは初めてだから……ちょっと勇気がいるというか」

「あ~なるほど」

言わずもなが、マキナが人生において一番多く食べたのはゼリー飲料であり、次いで軍用缶詰である。アリシアと知り合ってからはいろいろなものを食べるようになったが、生魚を食べるのは初めてということもあり、少し躊躇しているようだった。

そんなマキナの様子を見て苦笑したあと、アリシアは慣れた様子で箸を使って刺身を一切れとってマキナの方に差し出した。

「ほら、マキナ。あ~ん」

「う……うん。あ、あ~ん」

「……どう?」

「……美味しい! もっと生臭いんだと思ってたよ」

「まぁ、刺身初体験じゃ躊躇するのも仕方ないよね。まぁ、それでも生臭さは多少あるだろうし、苦手なら湯引きするのもいいかもね」

「湯引き? ……あぁ、この小さな鍋に刺身を……」

アリシアの言葉に一度首を傾げたマキナだったが、すぐに全知で調べたのかすぐに頷く。そして言われた通りに湯引きを実行すると、生のまま食べるより気に入ったのか、幸せそうな表情を浮かべた。

「……アリシアがつけてるそれが、ワサビってやつかな?」

「そうだけど……マキナはやめておいた方がいいんじゃないかな? ほら、マキナって子供舌だしね~」

「むっ、そんなことないよ! 私は立派な大人なんだから……ワサビぐらい全然平気だよ!」

「あっ、いやそれは量が多すぎ――」

「~~~~~!?!?」

「――やっぱこうなったか、ある意味期待を裏切らないというか、なんというか……」

子供舌と言われたことにムキになりワサビを食べたマキナは、すぐに驚愕の表情を浮かべたあと涙目で悶絶する。そのある意味予想通りともいえる光景を見て苦笑しつつ、アリシアはマキナに水を手渡した。

だが、その表情はどこか優し気で……本当に些細な食事の時間でさえ、こうして楽しいと感じることができる。その幸せを噛みしめているようにも見えた。

アリシアが突発的に企画した世界何周かの旅……特にコレといった目的を決めるわけでもなく、世界のあちこちをふたりで観光して回る旅は……実に十年も続いた。

仲睦まじくたくさんの地域を回り、さまざまなものを楽しんだアリシアとマキナだったが、その旅もいつまでも続くわけではない……彼女たちの始まりの場所でありゴールでもある島、いまは管理する者がいない無人島にて終了を迎えていた。

十年前よりずいぶんと草が生い茂ったように見えるその人工島の一角で、初めて出会った日のように並んで満点の星空を眺めながら、ふたりは言葉を交わしていた。

「……ところでアリシア、結局このコアはもういらないの?」

「う~ん、持ってたところで使い道ないしね」

「そっか、まぁ、私にももう必要じゃないし、壊してもいいんだけど……もしかしたらいつか、アリシアが使う時が来るかもしれないし、『この島に封印』しておこうかな」

神となったことで姿形こそ変わっていないものの、十年の旅で神としての力をそれなりに使えるようになったマキナは、神になる過程で使用した大邪神のコアを、いまは使っていない思い出の場所……かつてのマキナの家だった建物の中に入れて軽く手を振る。

するといくつもの魔法陣が浮かび上がり、マキナの家は手のひらに乗るほどの小さな鉄の箱に変わったあとで、地面に沈んでいった。

「……じゃあまぁ、必要になることがあったら遠慮なく『盗み出させてもらう』よ」

「……盗むって、元々はアリシアの持ち物だったのに」

「あはは、まぁ、いまはもうマキナにあげちゃったわけだし、マキナのものだからね」

「ふふふ、そう言われるとそうなのかもね」

顔を見合わせて楽しそうに笑い合ったあと、マキナは少しだけ寂しそうな表情を浮かべた。それを見て、別れの時が近づいていることを感じ取ったアリシアも、表情を真剣なものに変える。

「……そろそろ、行くの?」

「……うん、そうしようかなって思ってる。だけど、その前に、アリシアにお願いがあるんだ」

「お願い?」

前置きをしたあとで、マキナは真剣な表情でアリシアの目を見つめ、掌に小さな歯車を作り出してアリシアに差し出した。

「……私はこれから本当の神になるためにいろんな世界を巡る。たくさんのものを見ると思うし、いろいろな経験をすると思う。そして、どれだけかかるか分からないけど……いつか、自分の世界を創造する」

「……」

「そうならないように頑張るつもりだけど……それでも……もしいつか、私が原点を……愛を忘れて、無慈悲な神になったら……貴女が、私を『壊して』、アリシア」

それはこれから真の神となるために歩き出すマキナの心からの願い。もし自分が、様々なものを知り見ていく過程で変わってしまったら……望まぬ道へ進んでしまったなら、己を破壊してほしいというもの……。

強い覚悟の籠ったその言葉を聞いたアリシアは、マキナが差し出した歯車を受け取りながら微笑む。

「いいよ……その代わり、原点を忘れないまま神になれたら、その時は神様パワーってやつで、私を助けてね?」

歯車はアリシアの手に乗ると、一瞬光を放った後でその体の中に吸い込まれるように消えていった。その歯車が、マキナを破壊するための鍵となるものであることを理解しつつ、それでもアリシアは親友の願いを受け取った。

「ふふふ、うん、『約束』だね……いつかまた会えた時、私が、『マキナ』が残っていたなら……必ず」

そう言ってマキナも微笑みを浮かべ、少しの間を空けたあとで……片手を空に掲げた。すると星空に複雑かつ巨大な魔法陣……世界を渡る術式が現れた。

全知によって知り得たその術式……世界転移の魔法をアリシアが興味深そうに見つめる中で、マキナの体が光を放ちふわりと浮かび上がる。

「……まだまだ話してたいけど、キリがなくなりそうだし……そろそろ……行くね」

「うん、いろいろ大変だろうけど、頑張ってね……マキナ」

「うん、ありがとう……アリシア」

まるで夜空に吸い込まれるように、ゆっくりと空へと昇っていくマキナだったが、アリシアと距離が離れるにつれ、その体は少しずつ震え出し、平静を装っていた表情が変わり始める。

そしてその瞳から涙が一筋零れると、マキナはせきを切ったように叫んだ。

「アリシア! 貴女と出会えて、本当によかった! 私、忘れないから……絶対、絶対、アリシアのこと、アリシアと過ごした日々のこと……忘れない! 大好きだよ、アリシア!!」

「……うん……私も……忘れない」

そして煌めくような光を放ち、神になることを望んだ少女はこの世界から去っていった。

ここでひとつ……あまりにも皮肉なすれ違いの話をしよう。

マキナという存在は、アリシアがイリスと死に別れてから……遠い未来、宮間快人と出会うまでの間に知り合った大勢の人々の中で、唯一……『アリシアを救えたかもしれない存在』だった。

なぜなら彼女は、元々が人間であり、アリシアとの相性も良く……そしてなにより『悠久ともいえる時を一緒に歩ける存在』だったから……。

そして実は、本音を言ってしまえばマキナは……『世界の創造よりもアリシアと一緒に居たかった』。

ではなぜ、彼女はこの世界を去るという選択をしたのか……それこそが、アリシアとマキナの間に起った小さな、そして致命的なすれ違いだった。

マキナはこの世界を去るまで、ただの一度もアリシアに対して全知の力を使わなかった。それは、なによりアリシアのことが大好きで、大切だからこそ…‥相手が話したくないことまで知れてしまう全知の力を使うのは、裏切りのように感じていたから。

そして、だからこそ、マキナは最後まで……『アリシアの探し物がなんなのか』……それを知らないままだった。そのせいで彼女は、ひとつの勘違いをしてしまうことになる。

それはすなわち、己のせいでアリシアが何百何千年と続けていた探し物を……中断しているという勘違いだった。アリシアが告げた「探し物は自分の足でするに限る」という言葉も相まって、全知の力を持つ己がアリシアの傍に居続けては、邪魔になってしまうと思ってしまった。

己が望めば、アリシアはいくらでも一緒に居てくれただろう。だけどそれは、大好きな親友であり、恩人でもある彼女を自分が縛り付ける結果にしかならないと、そう思ったからこそ、彼女はこの世界を去るという選択肢を選んだ。

アリシアのことが大好きだからこそ、なによりも大切だからこそ……マキナは、アリシアの元から去った。

そしてそれは、アリシアにも言えることだった。

アリシアも本音を言えば、マキナともっとずっと一緒に居たかった。彼女にとってはイリスを失って以来初めて、親友と呼んだ相手であり、ずっと共に在りたいと感じた存在だった。

マキナこそ、自分が探し続けていた存在なのではないかと……そう感じるほどに……。

だからこそ、彼女はそんな大切な親友が願った「世界を造る」という夢を、止めることができなかった。マキナと離れたくないという己の未練がましい思いで、彼女の……親友の邪魔をしたくないと思ってしまった。

それは本当に、皮肉な話だ。

お互いに同じ未来を願っていたはずだった。しかし、相手を大切に思うからこそ、アリシアもマキナもその未来から目を逸らしてしまった。

IFの話に意味はない。現実として、マキナはこの世界を去り、アリシアは再びひとり残されることになった。

だが、それでも、もしもの可能性を語るのであれば……。

もしも、マキナが全知によってアリシアの探し物がなにかを知っていたら……。

もしも、アリシアが自分の探し物がなんなのかを詳しくマキナに話していたなら……。

もしも、マキナが一言アリシアに尋ねていたなら……。

もしも、アリシアの心にこの時点で現状に対する焦りが生まれていたなら…‥。

そして、なによりも……。

「……言わるわけ……ないよ……大好きな親友が……やっと見つけたやりたいことを頑張ろうとしてるのに……『私の前からいなくならないで』なんて……『私をひとりにしないで』なんて……そんなこと……言えるわけ……ないよ」

マキナが去った星空を見つめたまま、大粒の涙を流し続けている彼女が……あとほんの少しだけ、素直だったら……。

人の枠組みを超えたふたりの少女が、仲睦まじく変わりゆく世界を旅する……そんな未来が、あったのかもしれない。

そして、この日を境に、アリシアという英雄の心は、加速度的に壊れ始めていくことになる。なぜなら、彼女は出会ってしまったから……己の答えとなり得たかもしれない存在に……。

それは『ふたつ目の呪い』と言ってもいいのかもしれない。アリシアにとってこれから巡り合う存在が、彼女の中で『マキナという基準を超えない限り』……彼女はきっと、答えに辿り着くことはできない。

そしてその存在が……宮間快人が現れるまで、彼女の心にあまりにも長い冬が訪れる。