軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

新築パーティを行おう⑤

家主であるにもかかわらず一切準備に関わってない新築パーティも明日に迫り、今日俺はシンフォニア王国の王城を訪れることになっていた。ちなみに迎えが来るらしく、現在は家の玄関で迎えを待っている状態だ。

なぜ王城に訪れるのかというと、国王であるライズさんから新築パーティ前に城のほうに来てほしいと手紙が届いたからだ。

届いた手紙の内容を要約すると……えっと、なぜか俺はシンフォニア王都に家を建てたのにも関わらずシンフォニア国民という扱いにはならないらしい。

パッと見ただけだと、なんか除け者にされたようにも見えるが、実際はもっとヤバいものだった。

というのも、どうも俺の家に関しては、特別地帯というか独立国家というか……なんか、シンフォニア王国の法律が適応されないということになるらしい。

それに伴い俺には納税の義務はなく、俺及び俺の家に住む者に対して非常事態を除き、国側から命令のようなものを出すことは禁止されるらしい。

それを他の貴族にも周知させるという意味合いで、簡単な手続きというか……特例処置の証となる書状を渡すので、受け取りに来てほしいということだった。

いや、正直なぜこんな話になっているのかサッパリ……分からない……と言いたいんだけど……、

「なぁ、アリス」

「なんすか?」

「この件にってさ……俺がいま頭に思い浮かべた、えっと、地球の神様とか関わってたりする?」

「……というか、提案したのは私ですけど……原因は九分九厘ソイツです」

「……だよね」

そうだよね。思えば事前にあの方に関しては配慮すべきだった。ライズさん……とたぶん、クリスさんにラグナさんもかな? 俺の考えが足らないばかりに、余計な心労を与えてしまって本当にごめんなさい。

そんな風に申し訳ない気持ちを抱きながら玄関で待っていると、貴族家の当主であり、その手続きにも参加するリリアさんたちが屋敷から出てくるのが見えた。

俺とリリアさんの家は隣同士なので、屋敷の大きさから多少距離があるとはいえ姿は確認できる。ただ、リリアさんはあくまでアルベルト公爵家当主として参加するので、王城には別々に向かうことになっている。

リリアさんたちが馬車の準備をしているのを眺めていると、俺の家の門の前に豪華な馬車が止まるのが見えた。

そして馬車の御者台から150㎝ほどの女性が下りてきた。ウェーブがかった金色のセミロングヘアに赤い瞳、白銀の鎧に身を包んで、背にはどうやって抜くのか分からないが、身長の倍はありそうな大剣が付いている。

話したことはないが、たしか六王祭とかでライズさんの警護をしていた方だったかな? 近衛騎士かなにかだろうか?

女性は開けておいた門から庭を通り、俺の前までたどり着くと、胸に手を当てて軽く会釈をした。

「お待たせして申し訳ないであります。自分は、今回の案内役を任されましたレイチェルと申します」

「あっ、えっと、初めまして、宮間快人です」

「ご丁寧な挨拶、痛み入るであります」

なんかちょっと独特の喋り方をする方だが、仕草などからはまさに上流階級といった気品を感じる。

そんなことを考えていると、レイチェルさんは姿勢を戻したあとで苦笑を浮かべながら口を開いた。

「ミヤマ様には、以前『うちの旦那』がご迷惑をおかけしたようで、申し訳ない限りでありますよ」

「旦那さん? えっと……ライズさん、ですか?」

旦那という言葉を聞いて、一番初めに思い浮かんだのは多くの妻を持つというライズさんのことだった。そんな俺の言葉に、レイチェルさんは再び笑みを浮かべながら首を横に振った。

「たしかに国王陛下も魅力的な男性ではありますが……生憎と自分の好みとは少々違うであります。自分の旦那は、ミヤマ様とも交流のある『お洒落ガイコツ』でありますよ」

「……え? ガイコツってことは、ゼクスさんですか?」

「そうであります」

なんと、レイチェルさんはゼクスさんの奥さんらしい。これは、失礼かもしれないが、正直いってちょっと驚いた。

いや、この世界ではいろいろな種族の人が恋愛をしているのは理解していても、やはりリッチであるゼクスさんの恋愛というとイメージが湧きにくい部分がある。

「意外でありますか? ですが、そうでもないであります」

レイチェルさんはそういうと、着ていた鎧の一部を外して露わになった腕をこちらに見せてきた。驚いたことにそこにあったのは、人形のような球体関節……。

「自分はリビングドールと呼ばれる、いわゆる死霊系に属する魔族でありますから、同じように死霊系であるゼクスと結婚するのは、それほど珍しいことではないのでありますよ」

「な、なるほど……」

そうか、さっきからなにか微妙な違和感があったが……よく見ると、レイチェルさんは瞬きをまったくしていない。

魔導人形であるツヴァイさんに近い種族ってことかな? う~ん、魔族に関してはまだまだ出会うたびに新しい発見があるものだ。

そんな風に感心しつつレイチェルさんと軽く会話をしていると、いつの間にかリリアさんとジークさんがこちらの方に近づいてきていた。

ふたりはレイチェルさんの前まで移動すると、丁寧な様子で頭を下げ、代表してリリアさんが口を開いた。

「お久しぶりです、レイチェル『騎士団長』」

「おぉ、これはこれは、リリアンヌとジークリンデではありませんか。久方ぶりでありますね……っと失礼。いまはリリア公爵様でありましたな」

「ふふふ、相変わらずお元気そうでなによりです」

「リビングドールの自分が元気というのも妙な表現でありますね。ふたりとも、騎士団に居た頃よりずいぶん強くなられたみたいでありますな。特にリリア様には、もう自分も敵わないでありましょう……元上司としては、ふたりの成長に鼻が高いですな」

どうやらレイチェルさんは、シンフォニア王国の騎士団長らしく、かつて騎士団に所属していたリリアさんとジークさんとは旧知の間柄らしい。

自分ではもうリリアさんに敵わないという内容を、ニコニコと嬉しそうな笑顔で話すレイチェルさんの表情からは、なんとなく……彼女の人柄が伝わってくるようだった。