軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

終わりの神が謳う愛⑨

お姫様抱っこにシロさんの危険極まりない発言と、羞恥心に開始早々クライマックスみたいなダメージを被ったが……悲しいかな、まだ序盤である。

そう考えても課題をふたつクリアしてはい終わりではないだろう。となると、これから先の課題にも先ほどのような……要するにカップルがいちゃつくような課題が用意されているのは考えるまでもないことだろう。

そう思いつつ、俺は若干諦めの籠った目で目の前にある三つ目の課題を見る。

『ここにあるのは伝説の棒状クッキー。恋人同士が両側から同時に食べ進め、ピッタリ半分ずつ食べることで扉は開かれる。途中で折れたりした場合は、自動で新しいものが補充される』

ポッ〇ーゲームである。クッキーの形状、書かれている文字から想像できる実際の構図……どこをどう取っても、ポッ〇ーゲームである。

「なるほど、これはとても難しそうな課題ですね。しかし、幸いにも私と快人さんの身長差はほぼありません。食す際の負担は軽減されるでしょう」

「……楽しそうですね、シロさん」

「はい。とても楽しいです」

正直滅茶苦茶恥ずかしいし、ポッ〇ーゲームなんてやったことがないから、できれば遠慮したいところではあるが……やはり断れる雰囲気ではない。

覚悟を決めて棒状クッキーを手に持ち、軽く咥えてからシロさんの方に向けると……シロさんは何の躊躇もなく、反対側から食べ始めた。

というか……想像以上に近いんだけど!? それに、なんというか、普通のキスとは違ってゆっくり近づいてくるから緊張感もあるし、さらにはなんとなく目を開けているせいでシロさんの顔もいつも以上にハッキリと見える。

吸い込まれそうな金色の瞳に、汚れひとつない純白の肌……顔のどの部分を見ても、眩いほどに美しいまさに神といえる造形。

それだけでも俺の緊張はヤバいのに、シロさんはかなりの速さでクッキーを食べ……中心の少し手前でピタッと停止した。

これは、間違いなくアレである。俺の方からキスして来てほしいという隠れ――いや、まったく隠れていない全力投球のメッセージである。

これはヤバい。ジュースの時のような不意打ちとは違って、完全に俺の方からゆっくりキスをする流れになってる。

しかし、だからと言って回避する手段もない。シロさんはおそらく、いま停止した位置から一ミリも動かずに俺を待つだろうし、シロさんが悲しむことを考えるとクッキーを折ってうやむやにするわけにもいかない。

そうなると、やはりというべきか……俺の選べる選択肢は、ひとつだけである。

「……んっ」

唇が重なる瞬間のシロさんの声が、やけにハッキリ聞こえた。そして次に襲い掛かってくるのは、圧倒的とさえいえる心地よさ。

微かに湿り、特別なことなどしなくてもこちらに吸い付いてくるような感触のシロさんの唇は、一度触れてしまうとなかなか離れられない抗いがたい魅力に満ち溢れていた。

それでもなんとかクッキーを食べ終えて、顔を放そうとしたが……。

(快人さん、待ってください。もう少しだけ……大好きな貴方と、こうしていたい……だめ、ですか?)

サラッと、言われて嬉しくないはずがない言葉が頭に直接叩き込まれ、甘えるような上目遣いの目を向けられてしまっては……離れることもできない。

結局俺はそのまま、かなりの時間……シロさんとのとびきり濃厚なキスを味わった。

ポッ〇ーゲームを終えたあとも、次々と試練は続いた。愛してるゲームやら、ふたりてパフェを食べさせ合う試練だとか、そんな嬉し恥ずかしの試練が続いていた。

その試練の数々は、俺の理性と羞恥心に多大なダメージをもたらしたが……それでももしかすると俺は、まだ……『油断していたのかもしれない』。

それを知識としては知っていたし、大変危険なものであることも理解していた。だけど、俺にはソレの経験はなく、同時にそれは異世界の遊びであるということで、心のどこかでないだろうと思っていた。

そう、無駄に異世界事情に詳しいアリスが裏で糸を引いている。その意味を俺は、まだしっかりと理解していなかった。

数々の試練を乗り越え、ついに辿り着いた最後の部屋。俺はいま、目の前に用意された試練を見て、絶望とも取れる表情を浮かべているだろう。

これは駄目なやつだ。本当に駄目なやつだ……シロさんとコレをやった日には、俺の理性がどうなってしまうのか分からない。

それは広い空間にあって、異様な存在感を放っていた。カラフルに色分けされた円が、規則正しく並んでいる一見すれば美しいともいえる光景。

だがそれは、ただただ俺に恐怖をもたらす。俺はこのゲームを知識としては知っている。

うん、そう……どう見ても『ツイ〇ターゲーム』である。

呆然とする俺とは対照的に、もはやテンションが上限突破しているのか、キラキラと眩しいほどの笑顔を浮かべているシロさん……そして、触れる場所の指示を出すのはもちろんアリス……まともな結果になる未来は見えない。

『では触れる部位と色の指定は、こちらで指示します! それでは最後の試練を始めましょう! 題して、ドキッイチャラブツイ〇ターゲーム!』

……やめてください。理性が死んでしまいます。