軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

大団円といっていい形に落ち着いた

シロさんからの褒美、ライフさんの仮祝福は滞りなく終わった。俺の頭に浮かんでいた疑問に関しても、考えたところで答えが出そうになかったので頭の隅に置き、改めてクロたちに挨拶をしに行くことにした。

ちなみに、ライフさんの祝福によって、会場に居る人たちの一部が滅茶苦茶若返っている。ライズさんとかも、まるで10代と言われても信じてしまいそうな見た目に変わってる。

ちなみにライフさんの祝福は……俺には効果は無かった。上位の神が祝福をかけていると、下位の神の祝福は弾かれるみたいだ。

まぁ、そもそも俺はまだ21歳。若返りたいと考えるような年齢でもないし、シロさんの祝福の効果で不老らしいし、ライフさんの祝福の効果が無かったとしても問題はない気がする。

そんなことを考えながら移動して、六王が居る場所へと近づく。すると一番初めに俺の接近に気が付いたアイシスさんが、パァッっと分かりやすいほどに表情を明るくして、座っていた椅子から立ってこちらに向かってきた。うん、仕草一つ一つが本当に可愛らしい方だ……やっぱり天使なんじゃないだろうか?

「……カイト! ……こんばんは」

「こんばんは。アイシスさん、六王祭の運営お疲れさまでした」

「……うん……頑張った……カイトは……楽しんでくれた?」

「ええ、本当に楽しかったです」

「……カイトが楽しんでくれたなら……私も……嬉しい」

そう言ってはにかむように笑うアイシスさんは、控えめに言っても天使だった。誰だよ、こんな可愛らしい方に死王とかいう物騒な通り名付けたやつ。

死の魔力もそうだけど、その通り名もアイシスさんが避けられている要因なんじゃないかと思う。付けたやつ、完全に悪意があるだろ……見つけたら恋人として、一発ぐらい殴って……。

「あいたっ!? な、なんでいきなり殴るんすか!?」

居たわ、犯人……驚くほど近くに居たよ。

「……悪意を感じたから、かな?」

「え!? 漏れてました? いや、まぁ、確かに私は『ミステリアス系超絶美少女』なので、悪意的なのもオプションとして内包してますが……い、いや、誤解ですよ!? 私は決して『いい儲けになりそうだから、カイトさんグッズを販売しよう』とか、そんなことを画策しては――みぎゃっ!?」

「お前……肖像権って知ってるか?」

「ワタシ、イセカイゴ、ワカリマセン――もう一発っ!?」

相変わらずふざけた奴だ。すぐ傍で『カイトグッズは欲しいけど、カイトが嫌なら我慢する』みたいな愛くるしい表情浮かべているアイシスさんを少しぐらい見習ってほしいものだ。

っと、ある意味いつも通りのアリスにツッコミを入れていると、明るい笑顔を浮かべたクロが近づいてくる。

「カイトくん! どうだった? お祭り、楽しかった?」

「え? あ、あぁ、どの日もすごく楽しかったよ」

「そっか~頑張って準備したかいがあるよ……それで、カイトくんは『どのお祭りが一番楽しかった?』」

「……」

満面の笑みでクロが告げた言葉に、周囲の空気が一瞬だけ凍ったような気がした。

な、なんてやつだ……天使のような笑顔で、恐ろしい爆弾を放り投げてきやがった!?

「……まぁ、どの日もいい感じでしたけど……最新鋭の技術をふんだんに使った私の企画に比べれば、もう少しってところですかね」

軽やかな口調で恐ろしい戦いの先陣を切るアリス。

『新しければよいというものでもないでしょう? 私は安らぎというものに、派手さは必要ないと思いますね』

いつの間に現れたのか、穏やかな笑顔で告げるリリウッドさん。

「いや、やっぱ祭りってのは戦い合ってこそだろ! 困難を乗り越えた先にこそ、真の楽しさってのがあるんだよ!」

当然のごとく参戦してくるメギドさん。

『貴様の祭りは野蛮すぎる。参加者を楽しませるという意味であれば、手広く様々な要素を取り入れたワシの祭りこそ一番じゃろうて……』

こういうことには参戦しないかと思ったら、結構煽り気味に参加してきたマグナウェルさん。

「ふふふ、カイトくんはあんまり派手なのは好きじゃないんだよ。ボクが企画したみたいな、シンプルなお祭りがいいんだよ」

自信満々と言いたげな笑みを浮かべつつ告げるクロ。だけど、うん……お前の祭りは全然シンプルじゃねぇよ!? ベビーカステラ祭りだったからね!

徐々にヒートアップしていくクロたちを前にし、俺は滝のような汗を流しながら答えを探していた。どう答えても角が立ちそう……どうすりゃいいんだ?

あっ、そうだ! 七日目があるじゃないか! アレならそこまでの六日間の集大成なんだから、どれも楽しかった的な結論に……。

「快人さんが最も楽しんだのは、私と回った七日目です。私がそう決めました」

なに参戦してきてるんだ神界のトップ!! 七日目っていう選択肢が潰れちゃったじゃないか!? く、くそ、どうすれば……って、あれ? そういえば、アイシスさんだけ参戦していないような……。

そう思ってチラリとアイシスさんの方を向くと、アイシスさんは笑顔を浮かべながら口を開いた。

「……私は……どのお祭りも凄かったと思う……どれも……私には出来ない……皆……すごいと思う……だから……カイトが全部楽しかったって言ってくれて……私も嬉しい」

本当に純粋に皆のことを凄いと思っているみたいで、迷いない笑顔を浮かべるアイシスさんを見て、クロたちはバツの悪そうな顔に変わった。

「……そ、そうだよね。どれが一番とか言っても、し、仕方ないよね」

『同感です。皆、それぞれの個性を色濃く出しましたし、比べること自体が間違いでしょうね』

『う、うむ。その通りじゃな、それぞれ違って、それぞれ素晴らしかった。優劣など付ける必要はない』

「あぁ、確かに俺も他のやつらが作ったみてぇな祭りは、作れねぇなぁ……」

「……なんか毒気抜かれちゃいました。アイシスさんには敵いませんね」

流石純粋さと天使っぷりにかけては他の追随を許さないアイシスさん。険悪だった空気が霧散した。

一歩間違えば喧嘩が始まりそうな空気だったはずだけど、アイシスさんのおかげで丸く収ま……。

「それでも私と回った七日目が――おや?」

「お願いだから空気読んでください」

ただ一人、まったく状況が分かっていない天然神が余計なことを言いかけていたので、手で制しておいた。

拝啓、母さん、父さん――純粋に他人を凄いと思えるのは、本当に素敵なことだと思う。それが当たり前にできるアイシスさんがいてくれたからこそ、六王祭の最後は――大団円といっていい形に落ち着いた。