軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

アリスの魅力の一つなのだろう

昼食を食べ終えたあと、ふたたびアリスと共に祭りを回り始める。

やはりどのアトラクションもさすがというべき面白さで、どれも心から楽しむことができた。そしていくつかのアトラクションを回ったあと、アリス一押しのアトラクションがあるということでそこに向かうことにした。

たどり着いたそのアトラクションの外観は、一言で言うなら洞窟のような感じだった。

「さぁ、到着しましたよ! ここがアリスちゃん一押し! 今日のメインともいえる『スーパーラブラブイルミネーション』です!」

「……ごめん、よく聞こえなかったから、もう一回言ってくれ」

「……え?」

正確には聞こえなかったのではなく、聞いた内容がいまいち理解できずに聞き返した感じだ。アリスは俺の言葉を聞いて、虚を突かれたように固まったあと、落ち着きなく視線を動かして、微かに頬を赤く染めた。

「……い、いえ、ですから……スーパー……ら、ラブラブ、イルミネーション……です」

「ごめん、もう一回」

「……だ、だから……す、スーパー……ラブラブ……って、なんなんすかこの羞恥プレイは!?」

「恥ずかしいなら、そんな名前つけなけりゃいいのに……」

真っ赤な顔で叫ぶアリスは大変可愛らしく、普段とのギャップもあってついからかってしまった。

まぁ、それはともかくとして、イルミネーションっていうことは洞窟の中が綺麗にライトアップされているってことかな?

「……ま、まぁ、気を取り直して説明ですが……このえっと、イルミネーションは……まぁ、早い話がとても綺麗な場所ですね。最新鋭の技術を余すところなく使った、夢のような空間です。しかし、同時に特定の方にとっては地獄ともなる空間ですね」

「地獄? どういうこと?」

「……こちらをご覧ください」

「……お前……悪魔か……?」

アリスが特定の方にとっては地獄と語った意味は、洞窟の入り口に立っていた看板を見てすぐに理解することができた。

看板には三つの矢印が書かれており、進むべき順路が示されているような形だったが……俺にはわかる。この選択肢は地獄への道を示した悪魔の所業だと……。

三つの矢印にはそれぞれ文字が書いており、左が『グループ・ファミリー用』、真ん中が『恋人・夫婦用』、右が『一人用』という内容だった。

まぁ、早い話が『リア充用』『カップル用』『ぼっち用』という選択肢である。そして、このアトラクションの名前はスーパーラブラブイルミネーション。

ラブラブという冠を付けておきながら、わざわざ一人用の順路を用意するという……徹底的にぼっちを抹殺するという意思を感じる地獄のごとき施設である。

「……アリス、ぼっちにいったいなんの恨みがあるんだ……」

「いや、ほら……一応寂しい独り身にも道を示した感じですね」

「やめろ! それで傷つくぼっちもいるんだぞ!!」

「大丈夫です。カイトさん、いまの貴方はぼっちではないです」

元ぼっちとしては、なんだか悲しい気持ちになるが……まぁ、そもそもぼっちはスーパーラブラブイルミネーションなんて名称のアトラクションに近づくことはないか……。

そんなことを考えつつ、看板を眺めていると……ふと、看板の下に小さな矢印があるのに気が付いた。

あれ? 順路は三つじゃなくて四つあったのか? しかしこの矢印はやけに小さいな……。

偶然見つけた小さな矢印に書かれた文字を読んでみると、そこには……『ゴリラ用順路・地中』と書かれていた。

だから、執拗なゴリラいじめをやめろ!? というか、このゴリラというのが特定の人物を指してる気がしてならないんだが……。

「……なぁ、アリス」

「なんすか?」

「ゴリラ用順路って、どういう人が通るわけ?」

「赤くて暑苦しいゴリラですね。角も生えてたりします」

メギドさんじゃねぇか!? いや、コイツのことだから悪ふざけの一環みたいな感じなのだろうが……メギドさんが見たらまた喧嘩になりそうで怖い。

それにしても、悪い顔してるなぁコイツ……ちょっと、懲らしめておこうかな。

「……アリス」

「はい?」

「このアトラクション、名前なんだったっけ?」

「……へ? い、いや、ご存じでしょ?」

「なんだったっけ?」

「……え?」

俺の言葉を聞いたアリスは、わかりやすいほど焦った表情に変わる。だが、逃す気はない。

「……なんだったっけ?」

「……い、いや、だから……ごにょごにょ……イルミネーションで……」

「もっと大きな声で」

「これ、完全にいじめっすよね!? 酷い性癖を見た気分なんですけど!?」

顔を真っ赤にして恥ずかしそうに叫ぶアリスの姿は、なんというか……もっとからかいたくなってしまうというか、本当に変な性癖に目覚めてしまいそうだ。

う、うん、なんかいろいろ危ない方向に進んでしまう気がしはじめたので、この話はここで終わらせよう。

「冗談はさておき、入ろうか」

「そ、そうですね。では一緒にスーパーラブラブ……あっ、えっと……イルミネーションを楽しみましょう!」

「……自爆するなよ」

拝啓、母さん、父さん――アリスは元気よく宣言したと思ったら、もじもじと恥ずかしそうな表情を浮かべる。そういうギャップとでもいうのだろうか? 時折みせる女の子らしさもまた――アリスの魅力の一つなのだろう。