軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

かつての仲間だった

リリアさんたちと少し雑談をし、待ち合わせ場所に向かうことにした。いまから向かえば20分前には着くので、丁度いいぐらいの時間だろう。

のんびりと景色を楽しみながら移動していると、ふと妙なもの……いや、妙な人を見つけた。

木で出来た大きな杖を手に持ち、いまにも倒れそうなほどヨロヨロと歩く小柄な人物。濃い緑色のローブを被っているせいで男性か女性かまでは分からない。

ともかくまともな状態とは思えない挙動をしており、心配になった俺は近付いて声をかける。

「……あの、どうかしましたか?」

「……いいところに来た若者、その優しい心は美徳だ。素晴らしい、称賛しよう。願うならば、この愚かな身を助けてくれるとありがたい」

「え? あ、はい。俺に出来ることでしたら……」

回り込んで声をかけると、その人物の顔が見えた。ローブで長さは分からないがオレンジ色の髪に緑の瞳の女の子だった。

身長は130cmと非常に小さいが、この世界に置いて見た目と年齢は一致しない。俺を若者と呼んでいることからも、結構な年齢の方なのだろう。

「いや、生物というのは不平等なものだよ。経口摂取を必要としない種も居れば、たかだか『10日絶食』しただけで倒れそうになる者もいる。まぁ、私のことだね」

「は、はぁ……」

「ああ、誤解しないでもらいたい。別に私は変な宗教家というわけでも無ければ、己を痛めつけることが趣味な変態でも無い。いや、学者や研究者とは皆一種の変態ではあるし、そういう意味合いであれば私も変態なのか? まぁ、私が変態であるか否かは興味深い議題ではあるが、この場においては関係ない」

「……え、えっと、つまり、どういうことですか?」

「……研究に没頭しすぎてここのところ何も食べて無い。出店を探そうと思ったが広すぎて迷った。食料を恵んでくれるとありがたい」

なんてややこしい喋り方をする人なんだ。あぁ、うん。なんで俺が知り合う人は、皆どこかおかしいのだろうか?

ともかく、要約すると「お腹が空いたからなんかくれ」ってことみたいなので、マジックボックスからいくつかの食べ物を取り出して手渡す。

すると女性はフードを取り、ものすごい勢いでそれを食べ始めた。フードの中から現れた顔は、間違いなく美少女と言える容姿であった。濃いオレンジのショートの髪だが、前髪が長く目にかかっていることもあって、少し暗い雰囲気を感じる。

特徴的な長耳をしているので、たぶんエルフ族だとは思う。

女性はあっという間に俺が差し出した食材を食べ終え、ついでに渡しておいたお茶を飲んでから笑みを浮かべる。

「いや~助かった。礼を言うよ『ミヤマカイトくん』、君は実に素晴らしい青年だ」

「え? な、なんで俺の名前……」

「出す食材もいい趣味をしているし、このお茶も美味しい。うむ、やはり嗜好とは性格による影響で質が変わるものなのだろうか? 判断材料が少ないのでなんとも言えないが、よい趣味の者は人物的にも優れている場合が多いと思わないか?」

「い、いや、それより……」

「ああ、君の名前を知っていた理由かい? なに、君はすでに有名人だ。私が知っていてもおかしいことではないだろう? まぁ、もっとも、私の場合は『民』や『友人』から話を聞いたので、一般人とは情報に多少差はあるかもしれないがね」

「は、はぁ……」

滅茶苦茶喋るなこの人……まるで機関銃みたいなトークだ。全然付いていけない。

「……えっと、民や友人というのは?」

「うんうん、やはりそこを疑問に感じるだろうね。心配しなくていい、丁重に説明しよう。まず、民というのは『リグフォレシアのエルフ族』のことだね。私はこう見えてエルフ族の『最長老』なんだよ。まぁ、私は引きこもりがちなんで、君と会ったことはないけどね。噂だけは聞いてるよ」

「は、はぁ……なるほど」

「しかし、私のような日陰者を最長老に担ぎ上げるだなんて、馬鹿馬鹿しいと思わないかい? 私は薄暗い部屋に引きこもって研究してる方が性に合ってるんだよ……まぁ、その結果としてこうして無様を晒しているわけだから、あまり褒められた話でもないだろうがね」

「……」

すげぇ、すげぇよこの人……桁違いのトークスキル? こっちが一言話す間に三言は話してくる。全然会話が追いつかない。

「次に友人だね。これは『ヒカリ』……おっと、いまはノインと名乗っているんだったね。ノインと『ラグナ』のことだよ」

「なぁっ!?」

「聞いてくれたまえ、今回私がここに来てるのはそのラグナが原因でね。招待状を手配してやったからこいと、まぁ強引に誘われたわけなんだ。いやはや困ったものだよ。私としては現在研究中の『魔物の毛を伸ばす魔法』の開発を急ぎたかったんだが……そこは昔からの友人だからね。無下にも出来ず、こうして日のあたる場所に出てきたわけなんだよ」

「ちょ、ちょっとまってください!?」

「しかし日の光はキツイね。溶けそうだ……うん? なにかな?」

本当に放っておけばどこまでも話していそうな女性の言葉を遮り、いま聞こえてきた衝撃の内容について尋ねることにした。

あと、その変な魔法は10日間絶食してまで開発するようなものなの!?

「貴女は……ノインさんやラグナさんと知り合い、なんですか?」

「うん? あぁ、そうか、失敬。私としたことが、君の名前を知っているからと名乗るのを忘れていたよ。無礼ものだと思わないでくれ、これでも一応の礼義は心得ているつもりだし、君に助けられた礼は必ずするつもりだ。っと、いけない。また話が逸れたね」

「……」

「私の名前は『フォルス』……森の賢者なんて分不相応な二つ名もあるが、それはまぁ置いておこう。お察しの通り、初代勇者と共に旅をした……まぁ、どこにでもいる三流魔導師だよ」

ニコリと人懐っこい笑みを浮かべながら告げられた言葉に、今度こそ頭が真っ白になった。

拝啓、母さん、父さん――俺の妙な人遭遇率はどうなってるのか? いい加減呪われてるんじゃないかとすら思ってきたよ。ともかく、偶然にも出会ったのは、ノインさんの――かつての仲間だった。