軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

真実であることを示しているみたいだった

昼食を終え、再びリリウッドさんの案内で祭りを見て回る。

リリウッドさんの話では、どうやら珍しい植物を選んで案内してくれているらしく、目にする植物は本当に見たことが無いものばかりで、年甲斐もなくワクワクした。

そしていくつかの場所を回り、現在は3メートルぐらいの細長い木が沢山生えているエリアに来ていた。

「お、おぉ……」

『どうですか? 面白い木でしょう?』

「はい。まるでゴムみたいです」

今回リリウッドさんに紹介してもらった木は、非常に柔らかく、手で押すとぐにゃぐにゃと曲がる。

クッションやソファーの素材にも使われるらしく、手触りも抜群。少し欲しくなった。

『先にある台座は、この木の素材を使っています。土足で歩けるようにしていますので、体験してみましょう』

「はい」

リリウッドさんに促され、柔らかい木を使った台座へ向かう。

足を踏み入れてみると、子供用遊具みたいに弾み、少し体が上下する。あっ、コレちょっと楽しい。

「へぇ、思ったより弾力があっていいで……え?」

『ええ、座り心地もいいですよ。うん? どうかしましたか?』

「い、いえ、なんでも……」

感想を伝えるためにリリウッドさんの方を振り向くと、丁度そのタイミングでリリウッドさんも台座に乗った。

すると、どうなるか? 反発によって軽く上下に動くリリウッドさんの体、大きく揺れる豊かな双丘。思わず目が釘付けになってしまった。

女性はそういう視線に敏感だと聞くし、俺は慌てて視線を逸らしたが……リリウッドさんはまったく気付いた様子もなく、不思議そうに首を傾げていた。

……本当にガードが緩すぎる。

いや、しかしそれにしても、リリウッドさんの胸は凄い大きさだと思う。

ゆったりした民族風の服を着ていてもハッキリ分かる大きさ。その上、綺麗な丸型でまったく垂れたりしていない。

俺は正直、どちらかと言うとスレンダーな体型が好みだが……リリウッドさんほどの美巨乳となると、そんなことは関係なく目で追ってしまう。

大は小を兼ねるというが、まさにそれだ。

……って、待て待て!? なにを考えてるんだ俺は!?

そんな汚れた目で見ては、リリウッドさんにも失礼だ。

ときおり視線が向くのは男の性なので無理だとしても、変なことは考えないように気をつけよう。

『カイトさん? 大丈夫ですか?』

「あ、はい! リリウッドさんに案内してもらえるのが楽しくて、つい呆けてしまいました。さぁ、次に行きましょう!」

『え? あ、はい』

気恥ずかしさからやや強引にリリウッドさんに声をかけ、次の場所へ向かう。

なんだろう? この妙な恥ずかしさは……リリウッドさんとは、こうしてゆっくり話す機会があまり無かった。

以前魔界に訪れた時には、あくまで俺の案内兼護衛を真面目に行っていて、リリウッドさんは真面目な表情を多く浮かべていた。

しかし、昨日と今日は……なんていうか、素のリリウッドさんを見せてくれている気がする。

穏やかで優しいところはいつも通りだが、いつもの柔らかい微笑みだけではなく、明るい笑顔も見せてくれている。そして、いまも可愛らしく首を傾げる仕草を見せてくれた。

界王としての顔では無く、女性らしい仕草を見せてくれるから、妙に恥ずかしいのかもしれない。

俺は昨日と今日のリリウッドさんを、ガードが緩すぎると表現した。しかし、正確に表現するなら……『いままで隙を見せ無かったリリウッドさんが、昨日から俺に対して、隙を見せてくれるようになった』と言うべきだろう。

それは、リリウッドさんからの深い信頼のように感じられ、正直嬉しかった。

「次はどんな植物が見られるんでしょうか?」

『次は、そうですね……小さな花がカーペット状に並ぶエリアに行ってみましょうか?』

「おぉ、なんだか聞くだけで綺麗だって確信できますし、すごく楽しみです」

『……』

花のカーペットか、イメージは出来るけど六王祭の巨大な会場……きっと俺の想像より壮大だと思う。俄然期待が高まってきた。

っと、そこでふとリリウッドさんが俺の顔をジッと見ているのに気が付き、首を傾げながら口を開く。

「リリウッドさん?」

『……カイトさんは、自然はお好きですか?』

「はい。と言っても、リリウッドさんみたいに詳しいわけじゃなくて……綺麗だなとか、リラックスできるなとか、その程度の感想ですが……結構好きですよ」

『知識は有れば便利ですが、自然を愛するのに必ず必要なわけではありません。カイトさんの好きだという気持ちだけで、植物たちは嬉しいものです』

そこでリリウッドさんは一度言葉を止め、満開の花みたいに綺麗な笑顔を浮かべる。

『……もちろん私も、自然を好きだと言ってくれる貴方を、とても好ましく思っています』

「あ、ありがとうございます」

『ふふふ、では行きましょう』

優しい声で告げるリリウッドさんの頭、右耳の少し上辺りには、小さく、そしてとても美しい桃色の花が咲いていた。

拝啓、母さん、父さん――勘違いかもしれないけど、その花は……リリウッドさんが俺に向けてくれた好意が――真実であることを示しているみたいだった。