軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

結構楽しみだったりする

六王の使者であるキャラウェイさんによってもたらされた六王祭への招待状……そこに記載された驚くべき記念品の数々に俺達は完全に驚愕してしまった。

「驚かれる気持ちは分かります。実際私も驚いていますが……申し訳ありませんが、話を進めてもよろしいでしょうか?」

「あ、はい。すみません」

どうやらまだ説明は続くらしく、キャラウェイさんが穏やかに声をかけてきて、リリアさんが慌てた様子で頷く。

するとキャラウェイさんは姿勢を正し、真剣な表情で口を開く。

「では次に特典について、招待状にはランクに応じて特典が付与されています」

「……特典?」

「はい。招待を受けた方は、事前に申請して頂ければ護衛……いわゆる同行者を連れてくる事が可能になります」

「成程、確かに招待客には貴族も多いでしょうし必要な処置ですね」

招待を受けた者に関しては、招待を受けてない者を護衛として同行させる事が許されるらしい。

「ただし、同行者の行動範囲と人数はランクによって変動します。ブロンズとアイアンランク1名までで、行動範囲もかなり限定されます。シルバーとゴールドランクは3名まで、会場の中央区画を除いた場所への立ち入りが許可されます」

「……成程、では、お嬢様のプラチナとミヤマ様のブラックは?」

「プラチナランクに関しては同行者5名まで、『中央塔以外』の全区画への立ち入りが可能です。また同時に、プラチナランクの招待状を提示して頂くと、出店等の商品が『半額』になります」

「わ、割引もあるんですか!?」

どうやらプラチナランクからは他とは一線を隔すみたいで、なんと出店の割引特典までついてくるらしい。その効果があるのは招待状を持つ者のみらしく、同行者には適応されないらしいが……それでも十分凄まじい。

「……そして、ブラックランクですが……こちらには同行者数、立ち入り区画等の制限は一切ありません。何百人でも連れて来て頂いて結構という事です」

「……へ?」

「さらにブラックランクの招待状を提示すれば、全施設・全商品が『無料』となります」

「無料!?」

どうやらブラックランクはさらに格が違うらしい……全部無料で、何人でも同行者を連れていけるらしい。

いや、まぁ、幸い俺はそんな何百人も知り合いは居ないけど……

あまりの内容に唖然とする俺に対し、キャラウェイさんは穏やかな微笑みを浮かべながら言葉を続ける。

「そして、ゴールドランク以上の招待状を持つ方は、7日目に中央塔にて行われる六王様主催のパーティーへの参加資格もあります」

「それはまた、なんともすごそうですね……」

「はい、六王様も参加されますので、大変栄誉な席です。参加資格を持つ者は100に満たないと言われています」

「……となると、この中でそれに参加できるのは、俺とリリアさんって事ですね」

六王主催のパーティーに参加できるというのは、恐らく貴族達にとっては大きなステータスとなるのだろう。

だからこそ他に比べてかなり厳しく参加制限が決められているみたいだ。

「そして最後に、ミヤマ様……」

「は、はい」

「ブラックランクの方には、六王様が期間中の宿泊施設を手配すると伺っていますが……なにか記載はありますか?」

「え? え~と……」

キャラウェイさんの言葉を聞いて、招待状の入っていた封筒を見てみると……招待状より一回り小さいカードが入っていた。

『中央塔最上階スペシャルスイートルーム』

……目眩がしてきた。名称から考えて、恐らく会場の中央に立つ塔という事だろうけど……それも公開羞恥プレイなんじゃ……いや、他の人には知られてないのか? いや、でも、スイートルームって……気のせいだろうか? 物凄く嫌な予感がする。

具体的には、想像を遥かに超えて無駄に豪華すぎる部屋が用意されているような、そんな恐怖が……

「ブラックランクを持つミヤマ様は、六王様方にとって最大級に重要な来賓という事なのでしょうね……素晴らしいです」

「そ、そうですか……」

「はい! 大変栄誉な事ですよ!」

少し興奮した様子でぐっと手を握りながら話すキャラウェイさんに対し、俺は曖昧な返事しか返せなかった。

何かこれはまた物凄く疲れそうだと、そんな風に思いながら……細かな部分の補足説明を行うキャラウェイさんをボーっと眺めていた。

説明も一段落し、キャラウェイさんは次の場所に向かうという事で、屋敷を後にする事になった。

全員でというのもアレだったので、俺とリリアさんがキャラウェイさんを玄関まで見送り、別れの言葉を告げたタイミングで……キャラウェイさんは俺の方を向いて、真剣な表情を浮かべる。

「……ミヤマ様、私的な内容になりますが、申し上げて構いませんか?」

「え? あ、はい」

「申し訳ありませんでした!」

「……へ? はい?」

六王の使者としてではなく、個人的な用件という事でなにかと思ったが……なぜかキャラウェイさんは、俺に深く頭を下げて謝罪してきた。

え? なにこれ? どうなってるの? なんで俺、今日会ったばかりの方に謝られてるの?

「……ミヤマ様がこの世界に来た際に『認識阻害魔法をかけたのは私なのです』」

「……え?」

「欲に目が眩み、大変無礼な行いをしました。謝罪して許されるような事ではありませんが……一言だけ、伝えておきたかったのです。どうぞ、自己満足だと笑って頂いて構いません」

「……」

自己満足だと告げながらも、必死に頭を下げるキャラウェイさんを見て、俺は少し沈黙した後で苦笑する。

「……顔を上げてください。俺はその事は全く気にしていませんから」

「……し、しかし……」

「ほら、実際俺になにかあった訳でもありませんし……」

あの時認識阻害魔法をかけられた事によって実害があったかと言われれば、精々迷子になったぐらい……それだって、クロと出会うきっかけになったんだから、むしろ感謝したいぐらいだ。

そう思いながら気にしていないと告げるが、キャラウェイさんはまだ頭を下げたままで硬直していた。たぶん予想と違った反応だったので、どうしていいか分からないという感じだろう。

「……じゃあ、こうしましょう。キャラウェイさんの謝罪は確かに受け取りましたので、俺はその件を許します。なので、キャラウェイさんも気にしないで下さい」

「……ミヤマ様」

「今日は、丁寧な説明をして頂いて本当にありがとうございます。またお会いする事があれば、その時は気楽に知人として接してくれると、嬉しいです」

「……はい」

もうこの話は水に流しましょうという俺の提案を聞き、キャラウェイさんはゆっくりと顔を上げる。

そして俺の方を向き、ネコミミが映える柔らかい笑顔を浮かべた。

「ありがとうございます。ミヤマ様……六王祭等で、またお会いする事もあるでしょうが、その際には必要であればなんなりと申しつけてください」

「え~と」

「寛大なお心を頂いたお礼がしたいのです。是非、なにかあれば協力させて下さい」

「……はい。では、機会があればよろしくお願いします」

俺が頷くと、キャラウェイさんはその場で片膝をつき、まるで騎士のような礼をした後で立ち上がる。

「……それでは皆様、また六王祭でお会いしましょう」

「はい。キャラウェイさんも、お仕事頑張ってください」

「ありがとうございます……それでは」

キャラウェイさんはそう言って再び軽く頭を下げ、微笑みを浮かべて去っていった。

その後姿が見えなくなってから、リリアさんと共に屋敷の中に戻ろうとすると、ふと小さな声が聞こえてきた。

「……相変わらず……優しい方ですね」

「……え?」

「……えっと、あれです。恋人として、鼻が高いですよ……と、そういう事です」

そんな嫌味のない賞賛の言葉を告げながら、リリアさんは一足先に屋敷の中に戻っていった。

拝啓、母さん、父さん――六王祭の説明を聞き終えたんだけど、本当にとんでもない事になったものだ。まるで国賓みたいな扱いに戸惑いもするが、クロ達がプロデュースする祭りは――結構楽しみだったりする。