軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

プレゼント大作戦を決行する事にした

土の月25日。アマリエさんの誕生日パーティにて、リリアさんが悲願を達成するという大一番からはや三日。

現在の俺は少々困った事態に遭遇している……というのも、そのパーティーの場で、リリアさんからキスをされるという物凄いサプライズが発生して、俺はリリアさんの気持ちを知ると同時に、俺自身の気持ちも再確認する事が出来た。それはいい。

……問題は、三日経っても何の進展もないどころか……どうも最近、リリアさんとギクシャクしてしまっている事だ。

あの日以降、リリアさんに避けられているというか……どうも俺が話しかけると、慌てて話を切り上げてどこかに行ってしまうようになっている。

原因はどう考えてもあのキスだろう……だってリリアさんにしてみれば、もう告白をしてしまったみたいなものだし、恥ずかしがり屋のリリアさんが慌てふためいているというのは良く分かる。

現状俺が返事なんてものはしていない状態だし、きっと不安な気持ちもあって、俺にどう接して良いのか分からないんだと思う。

ただ問題は、俺がその件について話そうとしても即逃げられてしまうため、一向に話が進まないどころか、自分の気持ちを伝える隙すらない。

しかも軽やかに避けるとかではなく、猛ダッシュだ……その手の話に少しでもなると、物凄いスピードで視界から消えてしまう……困った。

「……って言う訳なんですけど、どうすればいいと思いますか?」

「成程、リリがあの時おかしかった原因はそれでしたか……う~ん」

俺の話を聞いて、ジークさんは困った様子で首を傾げる。

相談に乗ってもらうなら、やはり屋敷に居る人の中ではジークさんが一番だと思い尋ねてみたが、やはり中々難しいみたいだ。

「リリはあの性格ですから、強引にいっても逃げてしまうでしょうし……かと言ってこのままズルズルと引き伸ばしても……悩み所ですが、やはりここは堅実な方法が良いと思います」

「おぉ、一体どんな方法でしょうか?」

「ええ、それは――「話は聞かせていただきました!」――ッ!?」

「……え? ルナマリアさん?」

ジークさんの言葉を遮って鋭い声が聞こえ、声のした方を振り返るとルナマリアさんが居た……なんで、腕組んで壁にもたれかかってるんだろう? あと、よく分からないドヤ顔やめて、なんか腹立つから……

突然現れたルナマリアさんは、ニヤリと意地の悪そうな笑みを浮かべ、軽く額に指をあてながら口を開く。

「……ここは、恋の水先案内人と名高い、私に任せてもらいましょうか!」

「……ルナマリアさん、言ってて恥ずかしくないんですか?」

「なんでそんな冷静なツッコミ!? み、ミヤマ様……ここは、流れに乗ってくれるのが良い男というものですよ?」

「そ、そうですか……」

正直、全く、これっぽちもアテにならなさそうな、自称恋の水先案内人は、たっぷりともったいぶるような笑みを浮かべて沈黙した後、大きく頷きながら俺達を見つめる。

「……私に、良い考えがあります!」

「あっ、結構です」

「ちょっとっ!? ミヤマ様!?」

「それで、ジークさん。堅実な案というのは……」

「あげく無視!?」

……だってそれ、絶対上手くいかないやつじゃん。もう、聞かなくても分かるよ。

あと、単純にルナマリアさんとジークさんでは信頼度が違う……優しく誠実なジークさんと、人をからかう事が生きがいみたいに性根の曲がってるルナマリアさんじゃ、どちらに相談するかなんて考えるまでもない。

ただ、まぁ、よっぽど自信があるみたいだし……聞くだけなら、聞いてみようかな? 本当に期待できないけど……だって、ルナマリアさんだし。

「……な、なんでしょう? なにやら、ミヤマ様の心の中で、物凄く貶されている気が……」

「……はぁ、分かりました。じゃあ、一応言ってみてください」

「ここに、お嬢様の部屋の鍵を用意しましたので――「却下。お疲れさまでした」――早っ!?」

「……ルナ、もう少し真面目に……」

やっぱりそういう、夜這いかけろとかそんなくだらない案だったみたいだ……毛先程でも期待した俺が馬鹿だった。

改めてルナマリアさんは無視する方向で決めて、俺と同様に呆れているジークさんに声をかける。

「ジークさん、改めて教えてもらっていいですか?」

「え? ええ、と言っても月並みですが……プレゼントを贈るのが良いと思いますよ。丁度もうすぐ、リリの誕生日ですし、話すきっかけには十分なると思います」

「……え? リリアさんの……誕生日?」

ジークさんが告げた案がどうというより先に、聞こえてきたリリアさんの誕生日という言葉の方が気になって、思わず聞き返す。

「ええ、光の月前の風の月7日目です」

「……もうすぐじゃないですか!?」

「ふむ、中々良い案じゃないですか、ジーク。丁度屋敷でもささやかなパーティを行う予定ですし、そこでぐっと来るプレゼントを渡せば……」

「……まだ居たんですか、ルナマリアさん」

しれっと会話に混ざってくるルナマリアさんに呆れつつも、確かに良い案だと感じた。

風の月7日目まで、今日を含めて12日ある訳だし……その間にプレゼントを用意すれば良いんだから、十分に時間はある。

それにリリアさんにはいつもお世話になっているし、この前も礼服を頂いた訳だから……なにかお返しをと考えていたところだったので……リリアさんと話す機会も作れて、お礼もできる一石二鳥の案だ。

「確かに、凄く良い案ですね……ありがとうございます。ジークさん! やっぱり、ジークさんに相談して良かったです!」

「そ、そうですか? よ、喜んでいただけたなら、私も嬉しいです」

「本当に、ジークさんにはいつも助けてもらってばかりで……」

「そんなことないです。私の方こそ、カイトさんにはいつも助けられてますよ」

「……いちゃつくなら、余所でやっていただけませんか?」

本当にジークさんに相談して良かったと思いながら、ジークさんの手を握ると、ジークさんは頬を染めはにかむように微笑みを浮かべてくれた。

その可愛らしい仕草に、なんだか幸せを感じていると……呆れ果てたようなルナマリアさんの声が聞こえてきた。

「カイトさん、もし私に手伝える事があればなんでも言って下さい」

「本当にありがとうございます。凄く心強いです」

「まぁ、仕方がありませんね……不肖ルナマリア、ミヤマ様とお嬢様の為に、ここは一肌も二肌も……」

「結構です」

「ちょっとっ!? ミヤマ様、ジークの時と私とで態度違いすぎませんか!? そんなに恋人が大事ですか!!」

「はい」

「ぐぅっ……み、ミヤマ様も、中々言うようになりましたね」

どうにも胡散臭いルナマリアさんの協力申し出は置いておいて、ジークさんのお陰で方針は決まったので、それを目指して動いてみる事にしよう。

拝啓、母さん、父さん――以前の件が原因で、どうも最近リリアさんとすれ違いがちになってしまっている。それを解決するため、そしてリリアさんに俺の想いを伝える為に――プレゼント大作戦を決行する事にした。