作品タイトル不明
白神祭昼⑪
マグナウェルさんとアリスとの話がひと段落したあと、マグナウェルさんもメインステージのある広場に戻る予定だったということで一緒に移動することになった。
いまのマグナウェルさんの姿は一般には知られていないので、注目を集めたりしないので問題なく移動して、目的の広場に辿り着く。
かなり広くスペースを取った広場で、中央に話に聞いたメインステージがあり周囲には観客席のようなものもある。
そして一際大きくスペースを取られた豪華な客席……いや観賞用スペースといえるほど広い場所に、マグナウェルさん以外の六王たちの姿もあった。
パッと見た感じ、六王たちはそれぞれ同行者を2人ずつ連れてきているみたいで、クロの少し後方にはゼクスさんと……もうひとり名前を知らない人が立っていた。
名前は知らないが、フィーア先生の一件で見たような覚えがあるので、クロの家族の……伯爵級のひとりで間違いないと思う。
アイシスさんの後方にはイリスさんともうひとり、白いとんがり帽子を被ったザ・魔女みたいな見た目の方が立っていた。
たぶんあの方が話に聞いたポラリスさんという人だろう。これでもかというほど魔女っぽいし、きっとアイシスさんみたいに多彩な魔法を使うことに長けた人なんだろう。
そんなことを考えていると、アイシスさんがこちらに気付いたみたいで、はにかむように微笑んで小さく手を振ってきた……可愛い。
俺も軽く手を振り返してから、他の六王たちに視線を動かす。
メギドさんの同行者はバッカスさんとアグニさんみたいだ。というか、メギドさん観賞しつつなにやら巨大な樽……十中八九酒であろうものを手に持っている。
酒飲みながら鑑賞しているみたいだ。メギドさんらしいというかなんというか、けどメギドさんはアレで芸術とかにも造詣が深いし、神族の劇なども普通に楽しんでいる気がする。
リリウッドさんのところは、リーリエさんと……見覚えのない方だが、この人はたぶん七姫ではないと思う。俺が会っていない七姫はブロッサムさんという方のみだが、黒の髪にポニーテールと聞いている。しかし、リリウッドさんの後方に控える方は赤髪なので、別の……おそらく伯爵級の方だろう。
アリスのところは……後方にパンドラさんと、これも見覚えのない方が立っていた。う~ん、パンドラさんが後方にいるってことは、幻王に関しては分体っぽい。
そしてもうふたり、観賞スペースにはファフニルさんとエインガナさんがいるので、マグナウェルさんを待っているのだろう。
やっぱり、神界初の祭りということもあって勇者祭にも引けを取らない雰囲気で、広場の注目をかなり集めているのが見て取れる。
まぁ、実際は六王を直接目にする機会は少ないし、貴重な機会ということだろう。
「……どうします? ミヤマ様、大衆の注目を一身に浴びつつ六王様方に挨拶に行きますか……」
「……一緒に行きますか、ルナさん?」
「断固として拒否させていただきます」
「じゃあ、今回はやめときましょう」
いや、俺も六王祭とかである程度顔は知られてしまったという自覚はあるのだが、それでもあんな広場中から注目されるであろう場所に行くのは御免である。
「さて、それではワシも皆の元に戻るとする。ではまたな、ミヤマカイト」
「あ、はい。お疲れ様です」
六王の元に戻るというマグナウェルさんと軽く言葉を交わしたあと、俺たちはステージがよく見える場所に移動する。
いまは、なんだろう? オーケストラみたいな感じで、神族たちが様々な楽器を演奏している。かなり荘厳な感じの曲で、聞き入ってしまう美しさである。
しかし、それにして今日の祭りではいろいろな人にあってるな……トーレさんにフォルスさん、エリーゼさん、アハトにエヴァル、カミリアさんにロズミエルさん、ジュティアさん、そしてマグナウェルさん。
この調子だと他にも会いそうな気がするが……まぁ、それはそれで楽しいとも思うので、そこまで悪くはないかもしれない
いや、会えると決まったわけではないが、もし会うとすれば次は誰だろうかと考えていると、なんだか楽しくなってくる。
『ッ!? な、なんとっ、我が神、我が神ではありませんか!!』
「……神? なんのことかはわかりませんが、偶然の出会いとは嬉しくもあり悲しくもありますね。出会いには別れが付随します……あぁっ、つまり出会いとは悲しみの始まりともいえるのですね。やはり、世界には悲しみが満ち満ちています」
「……」
……やっべぇの来たな……なにこれ? 俺なにか悪いことした? なんでよりにもよって、俺の知り合いの中でもトップレベルにヤバい鳥とヤバい蛇がセットでやってくるの?
このふたりだけはセットにしちゃ駄目だろ。というか、鳥の方に至っては割とでかい声で『我が神』とか言ってるし……。