軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

白神祭昼③

大樹姫ジュティアさんとの不意の遭遇のあと、リリアさんたちが立ち直ってから改めてレストランに移動した。

スカイさんが案内してくれたレストランは、形式としてはファミレスに近い感じで、あんまり固い雰囲気ではなく個人的に少しほっとした。

ただよくよく見ると、メニューの酒類のところにシャロ―グランデがあったりした……一杯10000R……日本円にして100万円というとんでも価格だが。

いや、でも、勇者祭で1本だけ景品として用意され、1000年でたった100本しか市場に出てなかった幻のワインと考えると、そのぐらいの値段が妥当なのかな?

あっ、よく見たらグロリアスティーもある。こっちは一杯5000R……日本円で50万円。とんでもないけど、これも幻の一品とか言われてるので、やはり妥当なのかな?

というか、一杯の値段がこれだとすると富裕層向けのエリアで売られている品は、一体いくらなのかと気になる。

そんなことを考えていると、いつの間にか席から離れていたスカイさんがワインらしきものを二本持って戻ってきた。

「皆様、せめてもの歓迎の気持ちということで、私に一杯ご馳走させてください。ワインが飲める方にはシャロ―グランデを、ワインが苦手という方には神界にしかないブドウで作ったジュースを用意しています」

この気遣い、本当に凄い方である。高価なシャロ―グランデをご馳走してくれるというのももちろんそうだが、ワインが飲めなかったり苦手だったりする人のためにジュースも用意するあたり、滅茶苦茶仕事が出来そうな感じがする。

スカイさんのありがたいサプライズに皆喜び、昼食と共にとても美味しい一杯をご馳走になった。

昼食を食べ終えたあとは、どこに行くのだろうかとスカイさんに尋ねてみると……。

「どうでしょう? この近くに富裕層向けの購入エリアがあります。最高級の品々が揃っていますので、買う買わないは別にして、見学してみませんか?」

「あっ、見て見たいです! さっきの売り場とはまた違う感じなんですよね?」

スカイさんの言葉に陽菜ちゃんが嬉しそうに反応する。たしかに、さっき寄った買い物エリアは、どちらかというと土産になるようなものが多く、値段も手ごろなものばかりだった。

それはそれで楽しく買い物ができたが、富裕層向けのエリアにも興味が無いと言えば嘘になる。

「お嬢様なら、普通に購入できるのでは?」

「出来ますが、必要もなく高価なものを買ったとしても意味がないでしょう?」

「屋敷に飾れば箔が付くのでは?」

「十分すぎるほどついてるんですよ、箔は……」

人間族最強で、元王女現公爵で、マグナウェルさんと取引のある飛竜便のオーナーで、アイシスさんと取引がある宝石店も経営していて、王都の目玉観光地である天空城の所持者で、最高神クロノアさんの本祝福を受け、六王からの覚えもめでたい……確かに十分すぎる。というか、改めて考えるととんでもない気がする。

たぶんリリアさん、現状で国王であるライズさんより発言力があるんじゃないかな?

レストランから富裕層向けの購入エリアはそれほど離れていなかったので、すぐに到着することができたが……さすがというべきか、ターゲットがターゲットなだけあって出店ではなく店舗の形で、外観からもかなり高級感が漂うデザインだった。

食品やインテリアなどで店舗ごとに分かれているらしく、結構な数の店があるように見える。

とりあえず最初はシャロ―グランデやグロリアスティーといった、いわゆる俺たちでも知っている品が売っている店に行ってみることにした。

そこには飲み物がいろいろと取り扱われているらしく、先ほどスカイさんが持ってきてくれたぶどうジュースなんかも売っているらしい。

いいのがあれば購入するのもいいかもしれないなと、そんなことを考えつつ店舗に入ると……。

「あれ?」

「うん? おやおや、おやおや、また会えたね! 嬉しいねぇ、嬉しいねぇ、素敵な偶然に笑顔になっちゃうぜぃ!」

紅茶……グロリアスティーが入っていると思われる缶を手に持ったジュティアさんの姿があった。行くところってのは、もしかして富裕層向けの購入エリアだったのかな?

「おっと、そうだった、そうだった、まだ名乗ってなかったね。ボクはジュティア、改めてよろしく」

「宮間快人です。よろしくお願いします」

「あっ、そっかぁ、そっかぁ、なんか見覚えがある気がしてたけど、君がそうだったんだ。いいねぇ、いいねぇ、こういう偶然は大歓迎だぜぃ!」

まさか、まさかの再遭遇であるが、相変わらずジュティアさんはニコニコと弾けるような満面の笑みを浮かべており、つられてこちらまで少し楽しい気持ちになった。

そんな中……チラリと視界の端で、手を目を覆いながら天を仰ぐリリアさんと、キラキラと嬉しそうな目を俺に向けるジークさんといった、対照的なふたりの姿が見えた。