作品タイトル不明
第十七幕 セザイア商人と、たね明かし
時は遡る。アンジェリーナがアルメタニアの森の入口にいたときのことだ。
暗く冷たい一軒家のテーブルをはさんで、ジャミルの前には夢のように美しい女性が座っている。彼が静かに礼の姿勢をとると、女性は嫣然と笑った。
「ジャミル=ラシムール公爵子息。特級商人であるあなたに、 お(・) 願(・) い(・) があるの」
「お声がけいただき光栄です。エリティア・マリー・ラグイアーナ殿下。もちろん、お役に立てるならば何なりと」
丁寧に言葉を返してジャミルは椅子に座った。
「用件は聞きました。ヴェルニローザ呪王国、呪術師の忘却薬をご所望ですね」
「ええ。お互いに利益もある、良い話だとは思わない?」
「ですが売り手にも買い手にも危険がともなう。輸入が禁じられた禁忌薬だということは承知しておられる?」
「もちろん、でも危険を冒す代わりに成功報酬はあなたが望むものを差し上げるわ。金塊でも、宝飾品でもね!」
エリティアは含みをもたせながら、品よく笑った。
わずかに首をかしげて、ジャミルは黙り込む。今、彼の顔に浮かんでいるのはアンジェリーナが警戒する「淑女の皆様を骨抜きにする」という微笑みだった。
「いいでしょう、お引き受けいたします」
「よかった、話のわかる人で」
ジャミルは無言で鞄から色つきのガラス瓶を取り出した。
紫色のガラスで、商品ラベルも貼られていない未使用のものだ。
「この瓶は呪術師との取引に使われるものです。ここに忘却薬を満たしてお渡しすればよろしいですね?」
「ええ、それでいいわ。さすがセザイア商人ね、話が早いわ。それから今後の連絡は彼を通じてちょうだい」
紹介されたのはエリティアの隣に侍っていた取り巻きの男性だった。
表情は取り繕っているけれど、不機嫌という態度が丸わかりだ。
「エリティア様を裏切ることは許さない」
「もちろんです」
棘のある言葉と態度をジャミルは軽く受け流す。エリティアは困ったような、けれどしあわせそうな笑みを浮かべた。
「ラシムール公爵子息、ごめんなさい。彼は私が好き過ぎて仕方ないの。美しくて、優しくて、私のことが大好き。私の蒐集品にふさわしい男性なのよ」
「エリティア様……」
「ふふ、本当のことでしょう。では、帰りましょうか」
真っ赤な顔をした男性を引き連れて、エリティアは背を向ける。
ジャミルを残して、エリティアと取り巻きの男性、そして最後に侍女が部屋を出て行った。
そして三人が出て行った後も、ジャミルは黙ったまま椅子に腰掛けている。十分に時間をあけたところで、嫌そうに深々と息を吐いた。
愛想の欠片もない、いつもどおりの冷ややかな顔だ。
「醜悪だな、アンジェリーナに見せる価値もない」
そうつぶやいて、彼は誰もいないはずの空間に向かって話しかける。
「アンジェリーナにも教えましたが、いかにもという場所で話すことは盗み聞きされてもいい話ということです。リゾルド=ロバルディア王国に戻ったら、これから話すこと含めてすべて伝えてくださいね」
かの国が情報収集を目的とした特別な兵士を鍛えていることにジャミルは薄々勘づいていた。そういう人物が、自分につけられていることも理解している。それを踏まえた上での行動だから当然だ。
「私はこの話を受けます」
気配に、わずかな揺らぎを感じてジャミルは苦笑いを浮かべる。
「断れば、代わりの商人が商品を手配するだけです。その人物が良心的とも限りません。相手によっては、ためらうことなく本物を手配するでしょう。そして呪術師の呪い薬を飲まされては、いくらジルベルトでもまともでいられるわけがありません」
呪術師の呪い薬は誰にでも必ず効く、だからこそ高額だった。
ジャミルは机の上に置いた瓶を手に握った。キラキラと日の光を弾く薬瓶を手の内で転がす。
「私はこの紫の瓶を使って彼らの目をあざむきます。あなた方は、この瓶の行先を追ってください。そうすれば、自ずと私の行動を監視することにつながるでしょう。その代わり、彼らに怪しまれないよう私に直接接触することは避けてください。いいですね?」
紫色の瓶をテーブルに置いて、ジャミルは椅子から立ち上がった。
「この瓶は商品見本です。おみやげとしてお持ち帰りください。リゾルド=ロバルディア王国の皆さんには、どうぞよろしくとお伝えくださいね」
一瞬、とまどうような空気が流れたのを感じてジャミルは軽く首をかしげた。他人からすれば誰もいないはずの空間に、もう一度視線を向ける。
「質問は『なぜそこまでする』、でしょうか?」
まだ訓練中の兵士らしい、気配を隠す技に未熟なところが残っていた。
ジャミルはテーブルを指先でトンと軽く叩いた。
「一つは自分のためです。彼らは私に具体的な報酬の話をしなかった。契約書もないただの口約束です。それは事が終われば約束を反故にするか、最悪私の命を奪うつもりだからでしょう。信用に値しない、いかにも悪徳商人らしい手口です」
しかも失敗すればジャミルだけが罪をかぶることになる。自分達は一切手を汚すことなく、おいしい結果だけを手にすることができるのだ。
「いろいろあって、わかりやすく彼らの商圏を荒らしましたからね。おそらく罰を与えたつもりなのでしょうが、まだまだ」
ジャミルはくっきりと口角を上げる。
「この程度でどうにかしようとは、なめられたものです。よろこんで受けて立ちましょう」
ジャミルは小さく笑った。
物語のように結末がわかっていては面白くない。
想像の上をいく、歯ごたえのある展開のほうが彼らも楽しんでくれるはずだ。
「それともう一つは、アンジェリーナのためです」
ジャミルの指先がトンともう一つ、テーブルを叩く。
ジルベルトが自分を忘れたと知れば、アンジェリーナはこの瓶と同じ紫水晶色の瞳をにじませて泣くのだろう。心の傷は深く残って、一生背負っていくに違いない。そんなことくらいジャミルでも容易に想像がつく。
「傷はつけた側ではなく、傷ついた側が一生背負っていくものです。そんな理不尽が、あたりまえのようにまかり通ることを私は何よりも許せない」
ほんのわずかな時間、ジャミルは瓶の輝きに目を止める。
未使用だけれど、この瓶は細かな傷がついて表面には欠けたところもある。けれどガラス特有の無垢な輝きだけは損なわれていなかった。
この瓶と同じようにアンジェリーナにも傷ついて欠けたところがある。それでも輝きを失わない彼女がジャミルはほしくて手を伸ばした。
結局、最後までこの手が彼女の心に触れることはできなかったけれど。
「本当は私を選んでほしかったのですが、残念なことだ」
ガラス瓶に背を向けるとジャミルは静かに扉を開ける。
そして誰にともなくつぶやいた。
「私だってしあわせになりたい。ですが誰かを不幸にしてまで、しあわせになりたいとは思わないのですよ」
ーーーー
回想を終えたジャミルは商品の入った小さな木箱を抱え直した。
「そういえば、そんなこともありましたねぇ」
「まあ、独り言なんて珍しい。どうしましたの、ジャミル様?」
「いいえ、少し前の出来事を思い出していました。お騒がせして申し訳ありません」
つぶやく声を拾って振り向いた貴族女性にジャミルは柔らかく微笑んだ。
ふたたび前を向くと、貴族女性は品よく首をかしげる。
「あら、あそこに人だかりができているわ」
ジャミルの視線の先では女性が一人、捕らえられている。
しかも周囲の人間に聞けば、エリティア王女にそっくりな女性が王女を詐称した罪で捕まっているらしい。人々は半信半疑ながらも、そうとしか思えない状況に騒然としている。
ジャミルは人々の群れを割って、女性をエリティアの元まで導いた。そしてエリティアを拘束している兵士にさりげなく声をかける。
「何の騒ぎです?」
「ジャミル=ラシムール公爵子息!」
次の瞬間、視線が合ったエリティアはジャミルの名を叫んだ。
兵士の足元に座り込んだ彼女はずいぶんと暴れたようで、いつもきれいに整えてある髪は崩れて、ドレスは薄汚れている。しかも大声を出して叫びすぎたのか、自慢の美しい声もかすれて聞き取りにくかった。
「助けなさい、これは命令よ!」
「なぜ、あなたの命令を私が聞かなければならないのでしょう?」
ジャミルが不思議そうな顔をすると、途端にエリティアは凄みを効かせた低い声を出す。
「……そんな態度でいいの。バラすわよ?」
「わかりませんね、何のお話です?」
完全に脅し文句を口にしたエリティアにジャミルは笑みを深める。
ニヤリと笑って、エリティアは精一杯声を張り上げて兵士に叫んだ。
「この男は輸入が禁止されている呪術師の忘却薬を持っているわ。紫の小瓶がその証拠よ。私は見たの!」
ざわり、と人垣が揺れる。忘却薬と聞いて今度は兵士がジャミルを取り囲んだ。けれどジャミルは涼しい顔のままだ。
「紫の小瓶を持っていたとして、何か問題が?」
平気な顔をしてジャミルが答えると、兵士の表情がますます険しくなる。するとジャミルの背後から貴族女性が前に進み出た。
「ジャミル様。もしかしてアレを勘違いしたのではないかしら?」
「そうかもしれませんね。紫の瓶を使って納品されましたから、ぱっと見た限りでは違いがわからないでしょう」
ジャミルと話しながら、困惑したように眉を下げた貴族女性の顔を見て兵士は固まる。
「こ、公爵夫人!」
彼女は古くからラグイアーナ王国を支えてきた公爵家の当主夫人だ。
芸術にも造詣が深く、社交界では勢力をエリティアと二分している。まさにエリティアの競争相手と呼ぶ存在、そして公爵家は第一王子派の筆頭でもあった。
兵士と視線を合わせて公爵夫人は微笑みを浮かべる。
「こちらの方はセザイア帝国の特級商人、ジャミル=ラシムール公爵子息です。家同士の付き合いがあって、今回、希少な商品を取り寄せてもらったの。これからお茶会に参加するから、それをお友達に配ろうと思って持ってきたのよ」
「商品ですか?」
「ええ、これよ。ジャミル様、兵士の方に見せてくれるかしら?」
「仰せのままに」
ジャミルは抱えていた木箱を開いた。
そこには優美な曲線を描く淡い紫色の瓶が、布製の台座の上にきれいに並べて置いてある。ラベルに書かれた文字を読んだ兵士は固まった。
「……美容液?」
「ええそう、たった一晩でお肌がツヤツヤピカピカになると評判の美容液です。あまりにも評判が良すぎて、出荷するとすぐに売り切れてしまうというヴェルニローザ呪王国製の最新作ですの!」
劇的なまでに声を高らかにあげて、公爵夫人は一つ瓶を取り上げると頭上に掲げた。淡い紫色のガラス瓶が、きらりと陽光に輝く。
ヴェルニローザ呪王国は薬だけでなく、こういう日常的に使われる商品も輸出していた。特に美容液のことはラグイアーナ王国でも噂になっていたので、ざわめく女性達の声が大きくなる。それを満足そうに眺めて、公爵夫人は瓶の蓋を開けた。
「数が少ないものを、ジャミル様にお願いして手に入れてもらいましたの。価格はお高めですが、効果は抜群なのです。さあ皆さんご覧になって、このお肌の輝きを!」
「おお!」
公爵夫人は自ら自分の手の甲に美容液を塗った。
すると塗っただけなのに肌には艶が出て、日の光を浴びて一気に輝いた!
公爵夫人は人々の顔を見回し、特に女性達の顔を見て声を張り上げる。
「ジャミル様の尽力により、ヴェルニローザ呪王国では生産者が原材料を安定して入手できるようになったのですって。ですから安価で大量に生産できる目処が立ったそうよ。この機会を逃さずに皆さんもぜひ手に入れて試してみてくださいませ!」
公爵夫人の声が終わるかどうかというタイミングで女性達が店へと一斉に走り出した。女性達の後ろ姿を見送った公爵夫人に、呆然としていた兵士は我に返ると青ざめた顔で謝罪の姿勢をとった。
「公爵夫人、疑ってしまい申し訳ございません!」
「いいのよ、この状況では仕方ないわ。それに捜査に協力するのは当然だもの」
ジャミルは呆然と足元に座り込んでいるエリティアに視線を向けた。何か口元が動いたような気がして、ジャミルは膝をつき、声に耳をかたむける。
「何か言いたいことがありますか?」
「ねぇお願い、助けてよ」
かすれた声が繰り返し、繰り返し、願いを口にする。
けれどまったくジャミルの心には響かなかった。はじめて会ったときは容姿の美しさもあいまって感嘆したものだけれど、あのときとはあきらかにこちらの精神状態が違う。ジャミルを見上げて、エリティアはかすれた声を必死に絞り出した。
「どうしてジルに薬が効かなかったの」
ジャミルは冷ややかな眼差しで、エリティアにだけ聞こえるようにささやいた。
「それはそうだ、瓶の中身はただの水ですから」
「水?」
「ええ。ですが謝罪はしませんよ。だまされるほうが悪いのでしょう?」
ハッと目を見開いたエリティアに、ジャミルは口元を歪めた。
「あなたの作戦は悪くなかったと思います。ジルベルトを手に入れて、さらに王位とリゾルド=ロバルディア王国の後ろ盾まで手に入れる。失敗しても私に罪を負わせることができるし、国内からセザイア帝国の影響を排除できますしね。自国の利益を優先したという一点だけ見れば、王女として責任を果たしたことになるでしょう」
「そうです、私はこの国と民を思って!」
「ですが相手が悪かった。王女なら敵に回す前に、手を出していい相手かどうか見極めなければなりません」
ジャミルは立ち上がろうと地面に手をついた。さりげなくエリティアのドレスのドレープの隙間に手を滑らせる。完全に立ち上がったところで、兵士と視線を合わせると不自然にふくらんだ一部分を指した。
「こちらの女性、ドレープの下に何か隠していませんか?」
「何だと!」
兵士が裾を持ち上げると、紫色の小さな瓶が転げ出た。ラベルが貼られて、蓋も開いている。ラベルの文字を読んだ兵士は目を見開いた。
「――――ヴェルニローザ呪王国製、忘却薬」
「そんな」
はめられたとわかって、エリティアはジャミルに叫んだ。
「謀ったわね!」
「いやだわ、この期に及んで他人に罪をなすりつけるなんて!」
あからさまに嫌悪感をにじませて公爵夫人がエリティアを追撃する。ジャミルは反論することもなく無言のままだ。
ここまでくれば誰も彼女の言葉を信じないとわかっているから。
「おい、蓋が開いている。これを誰に飲ませた!」
厳しい顔をした兵士に問い詰められて、エリティアはぐっと言葉に詰まった。
誰に飲ませたかなんて、言えるわけがない。言えばさらに立場を悪くする。
沈黙するエリティアは否定もできず、そのせいで逆に自分の罪を認めたような不自然な間ができてしまった。
その態度で兵士達は完全に黒と判断したらしい。エリティアを見る兵士達の目つきが犯罪者を見るものになった。周囲の人々もエリティアを白い目で見て、ひそひそと噂している。
「信じられない、こんなことが現実に起きるなんて」
「ええ本当に、まるでラグイアーナオペラのようだわ!」
こうして嘘が真実になる。
いくら容姿が似ていても、人々はもう彼女が王女だとは思わなかった。そしてエリティア自身もこの期に及んで王女だとは言わない。
エリティアにも王女としての矜持がある。これ以上、王家の醜聞につながるようなことを言えるわけがなかった。
ーーーー
喜劇の終わりを見届けたジャミルは、何事もなかったかのように公爵夫人とともに場を後にする。すれ違いざま、ジャミルは連行されるエリティアにささやいた。
「残念ながら私は唯一を決めている。人を蒐集品と呼ぶ、あなたとは違って」
最後に嫌味くらいはと言い置いたけれど聞こえたかどうか。
薄く笑って、ジャミルは公爵夫人の背を追った。程よく離れたところで、公爵夫人は深々と息を吐く。そして信頼を込めた眼差しをジャミルに向けた。
「スワラティ竜王国から、わざわざ駆けつけてくださってありがとう」
「重要なお客様から呼ばれたのです。商人として当然のことでしょう」
ジャミルはにこやかに微笑んだ。
「ジャミル様にお願いしてよかったわ。これでエリティア様を排除できそうだし、広告塔の役割まで果たせて大満足よ」
公爵夫人は美しくも冷ややかな笑みを浮かべる。
今回の件、表向きは王女を詐称した偽者が騒ぎを起こしたとして、王家には無関係と処理されるだろう。だが裏では公爵家が動いている。エリティアと忘却薬をネタにして今の王家を黙らせることさえできれば十分だった。
「エリティア様は『国のため、民のために』なんて言っていたけれど、結局は自分のためなのよ。男性を『蒐集品』と呼んで侍らせたために、お友達のお嬢さんが何人も婚約解消になっているわ。家同士のつながりを強くするものが婚約、それを壊しておきながら国のためとは笑わせる。あの方は、まるでラグイアーナ王国という大きな船を沈めるセイレーンのようだったわ」
暗い顔でそうつぶやいた公爵夫人は、次の瞬間にっこりと笑った。
「ですがこれで憂いは晴れました。もう二度と表舞台にあの方が姿を現すことはないでしょう」
「ご満足いただけたようで幸いです」
「けれどあなたには危ない橋を渡らせてしまったわね。何か問題があれば今度は我が家が力になるわ」
感謝の意を表して、ジャミルは公爵夫人に首を垂れた。
あえて口にはしないけれど、今回の件ではジャミルも損失がある。それはジャミルがすべての計画を独断で行ったことだ。上司である皇太子殿下に相談すれば、間違いなく「王女の申し出を断れ」と言われるだろう。それが当然だし、合理的な商人らしい判断だった。
ジャミルの鉄壁の無表情がほんの少しだけ崩れる。
「きっと呼び出されて叱られるでしょうね。間違った判断を下したことを」
それでもジャミルは間違った判断の先にあるものが欲しかった。
商人は信用を重んじる。信用という看板が汚されては物を買うこともできないし、売ることもできない。信用を得るためなら己が全てをかけてでも不名誉を払拭するだろう。
ジャミルが守りたかったものはアンジェリーナと、彼女の自分への信用。さまざまなものを天秤にかけて、魔除けの聖女の商人であることを選んだ。
手元に輝く紫色の瓶に視線を落として、ジャミルは柔らかく目を細める。
「それでも、大切なものを守ることができてよかった」
公爵夫人はジャミルの横顔を見て微笑んだ。
「お互いに大切なものが守れたようで何より。また贔屓にさせてもらいますよ」
「光栄に存じます」
怒りも、胸の痛みも。
すべてを呑み込んだジャミルは、ただにこやかに微笑んだ。