軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第61話 キャサリンの過去だぞ

ある日のことだ、

また俺がリシュエンの街を、暇つぶしに散策していると、

なんと、キャサリンにそっくりの女性を見つけたのだ。

スライムのリーダー、キャサリン、その体は、当然スライムでできている。

見た目はほぼ人間に近いが、キャサリンの肌は水色で、どうしてもスライムだとわかる。

だが、街に歩いていたその女性は、見た目はキャサリンと同じなのだが、ちゃんと人間の皮膚をしていた。

これはいったいどういうことなのだろうか。

もしかして、ドッペルゲンガー……?

他人の空似にしては、あまりにも似すぎている。

俺はその女性のあとをつけてみることにした。

女性は、シルビアと名前を呼ばれていた。

キャサリンじゃないんだな……。

シルビアはリシュエンの街に住む、ごく普通の女性だった。

母と父と三人で暮らしていて、薬草をとる仕事をしている。

俺はこのことがどうしても気になった。

なら、本人に直接確かめるのがいいだろう。

俺はユグドラシル王国に戻り、キャサリンのもとを訪れた。

通訳に、ゴブリンのミヤコを連れていく。

【なあ、キャサリン。今日リシュエンの街で、お前にそっくりの女性をみかけたんだが……、あれはどういうことなんだ? なにか知っているか……?】

俺がそう尋ねると、キャサリンは答えた。

「ああ、シルビアのことですね」

【なんだ、知ってるのか】

「そうですね……あれはまだこの街にやってくる、少し前の話です――」

キャサリンは過去のことを話し始めた。

そのとき、キャサリンにはまだ名前はなかった。

キャサリンはその当時、まだスライムガールに進化する前、スライムヒューマンの状態だった。

スライムヒューマンは、マネキンのような見た目のスライムだ。

人間の形をしているが、顔はなく、のっぺりとしている。

その日、シルビアはレルギアーノ大森林に、薬草をとりにきていた。

そこに現れたのが、一匹の獣だった。

ブラッディべアは、薬草をとっていたシルビアに襲い掛かる……!

そのときだった。

そこにキャサリンが飛び出した。

「きゃ……!」

シルビアの代わりにブラッディベアに貫かれたのは、キャサリンだった。

「す、スライムさん……!? そんな……、私のかわりに……!?」

倒れるキャサリンにかけよるシルビア。

だが、キャサリンはまだ死んではなかった。

キャサリンの肉体はスライムだ。

スライムはすぐに復活すると、ブラッディベアに反撃をする。

キャサリンが合図を送ると、どこからともなく、無数のスライムたちが集まってきた。

そして、スライムたちはブラッディベアを取り囲むと、一斉におそいかかる!

スライムたちは合体し、キングスライムに……!

そして、体重の増えたキングスライムに押しつぶされる形で、ブラッディベアは倒れた。

倒れたブラッディベアに、キャサリンがとどめをさす。

キャサリンがブラッディベアを思い切りパンチすると、ブラッディベアは空のかなたに消えていった。

ふぅ、と汗をぬぐうしぐさをするキャサリン。

すると、さっきまで震えていたシルビアが、キャサリンの手をとり、お礼を言う。

「スライムさん……。私を助けてくれたのね……? ありがとう」

あたまをかいて、照れるキャサリン。

すると、急にキャサリンの身体が光を帯びた。

そしてなんと、キャサリンはスライムヒューマンから、スライムガールに進化したのである……!

キャサリンの見た目は、目の前のシルビアそっくりだった。

キャサリンの中で、人間の見た目といえば、目の前にいるシルビアしか記憶になかったのだ。

「え……!? わ、わたし……!?」

目の前に自分そっくりのスライムが現れ、シルビアは驚いた。

スライムガールとなったことで、喋れるようになったキャサリンは、それに応える。

「わ……! 私、あなたの姿になってるわね……!?」

「わ……! しゃべった……!? あなた、進化したの……!?」

「どうやらそうみたい……。あなたの見た目をお借りしたみたいね……。ごめんなさい、でも、私この見た目きにいっちゃった。だってあなた、かわいいもの」

「ふふ……謝らないで。私も、あなたが私そっくりになって、なんだかうれしい。どうぞ、私の見た目を使ってちょうだい。あなたは私を助けてくれたんだもの。そのくらいのお礼はしたいわ」

「そう、ありがとう。人間さん。……あなた、名前はなんていうの?」

「私はシルビアよ。ふふ、なんだか姉妹ができたみたい。私たち、友達になりましょう?」

「そうね……! 賛成……!」

キャサリンの性格も、どことなくシルビアに似ていた。

それは、進化の際にシルビアの魔力を取り込んだのかもしれない。

こうして、二人は定期的に会うようになったのだ。

「……と、まあそんなことがありまして。シルビアとは今もたまに森の中で会うんです」

と、キャサリンは俺に話してきかせてくれた。

【なるほど、そういうことか。じゃあ、このキャサリンの見た目は、もともとはそのシルビアからもらったものなのか】

「彼女は唯一無二の親友です」

【じゃあ、今度この国にも招待するといい】

「いいんですか!?」

【もちろん、大歓迎だ】