軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第5話 実がなったよ

俺も7メートルほどの大木に成長し、そしてついに本日実がなった。

なんの実なのかは自分でもわからない。

自分で食うわけにもいかないしなぁ。

とにかく、赤い実がなった。

今日もいつものようにスライムたちが水を運んできてくれる。

俺はためしに、スライムたちのもとに実を落としてみることにした。

いつもありがとうなー的な意味を込めてだ。

俺が実を落とすと、スライムたちはしばらくいぶかしげに見つめたあと、パクリと口にした。

実を食べると、スライムはその場で進化をしはじめた。

「おお……!? お前らまた進化するの……!?」

するとこんどは、スライムは人型の姿に進化した。

さしずめヒューマンスライムとでも名付けようか。

とにかく、人型のスライムがあらわれた。

「世界樹様、進化の実をお恵みくださりありがとうございます! きゅい」

スライムはそういって、去っていった。

どうやら進化の実なのか、あれは……?

スライムたちが進化し、人型になったことで、スライムたちは喋れるようになったみたいだ。

だがそのかわり、こちらからの声がきこえなくなってしまった。

まあ、そのうちなんとかなるだろう。

それから、養分を持ってきてくれた白狼たちにも実をあげた。

白狼たちも実を食べると、別の種に進化しはじめた。

白狼たちは立ち上がり、二足歩行の獣人に進化した。

獣人といっても、まだどちらかというと獣よりだ。

ワーウルフとでも名付けようか。

「世界樹様、ありがとうございます。この恩には必ず報います……!」

ワーウルフたちは俺にお礼を言って、去っていった。

そういえば、すっかり俺はみんなから世界樹様とか呼ばれているなぁ……。

まあ、俺もかなり大きくなってきて、周りの木にも負けないくらいになってきたからな。

それでも、世界樹様は大げさだと思うが……。

それからしばらくして、今度は人間の集団がやってきた。

どうやら旅の集団らしい。

なにやら宗教的な衣服に身をまとった集団だ。

キャラバンを引き連れていて、怪我人もいるようだ。

人間は全部で15人ほどだった。

人間たちは俺の木の根元までやってきて、そこで休憩しはじめた。

俺がちょうど影になるから、ここを休憩場所に選んだのだろう。

雨風もしのげるしな。

「どうしましょう……司祭が……このままでは司祭が……」

一人の人間が、司祭と呼ばれた男を抱えながら、そんなことを言う。

どうやら司祭は病気のようで、倒れて苦しんでいる。

俺は、もしかしたらと思い、実をひとつ地面に落としてやることにした。

「こ、これは……? 司祭、とりあえずこの実を食べて元気を出してください……!」

男が司祭に実を食べさせると、なんとみるみるうちに司祭は元気を取り戻した。

「おおおおおお……!?」

「司祭様……!」

「これはどういうことだ……!」

「わからない……だがこの実が……!」

人間たちは大喜びしはじめた。

俺も人助けができてよかったよ。

どうやら人間は実を食べても進化はしないようだな。

だが、病気まで回復してしまうとは、俺の実はいったいなんなんだろうか。

すると、その宗教団体は俺のことを囲むと、万歳しはじめた。

「おお! 奇跡の実をお恵みくださったご神木さま……!」

「ご神木様に万歳……!」

おいおい、大げさだな……と思うが、悪い気はしない。

それからしばらく俺のもとで休憩したあと、彼らは去っていった。

いったいなんだったのだろうか。

彼らがおいていった布には、「エルドウィッチ教」と書かれていた。

まさか俺が司祭を助けたことで、のちにあんなことになるとは、このときは思いもしなかった。