軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

54話 エドワード、カロージェロに嫌々相談する

エドワードは侍女の件を嫌々カロージェロに相談した。

カロージェロも、嫌々聞き、渋々同意する。

「……ジーナさんも、私に直接頼んでくれればよかったのです。よけいな男によけいな真似をさせて、時間の無駄でしょうに」

「お前が信用出来ないから俺に頼んだんだとさ! ジーナの苦悩を察してやれよ」

相変わらずの毒舌の応酬を繰り広げ、エドワードとカロージェロはオノフリオ侯爵家に頼むことにした。

エリゼオ男爵に頼まないのは、侍女の教育も令嬢教育も、公爵家として考えれば下位貴族の教育係では足りないと考えたからだ。

ただ、あまり厳しい者でも困る。

エドワードは思案し、隣国の公爵令嬢とその侍女に対して最低限でいいので教育をほどこしてほしい、ただ、城主として、その側近として忙しくしているので、厳しい教育者では困る、あくまでも優しく、そして忍耐のある長期間こちらに来て教育をほどこせる方をお願いしたい、としたため、カロージェロはそれを添えて父であるエリゼオ男爵に、オノフリオ侯爵に取り次いでほしい旨を書いて送った。

「カロージェロから手紙が来まして。カロージェロが今仕えている城主――公爵令嬢とその侍女に、教育係をつけたいので送ってほしいとのことで、ご相談に伺いました。こちら、城主代理であるエドワード殿からの書状となります」

エリゼオ男爵の話にオノフリオ侯爵は驚く。

なぜ公爵家に頼まない? と考えたからだ。

エリゼオ男爵も、そう考えたのでエドワードの弁明を伝えた。

「あの城塞は、公爵領からだと通行に不便で、教育係を引き受ける者がいないそうなのです。そして城主としての仕事も大変で、令嬢教育をしっかりと行う暇もないとのことで……。あの城塞の城主としては、国内より我々との外交が主になるので、国内の令嬢としての教育よりも手っ取り早く我が国との外交的な教育に力を入れたいということでした。ちなみに、すでに我が国の言葉は話せるそうなので、会話は問題ないとのことです」

オノフリオ侯爵はすべて真に受けたわけではないが、弁明としては筋が通っているためそれを受け入れた。

「そうか……。となると、我が国との交流のためのマナーなどが必要なのだな。さて、どうするか……」

オノフリオ侯爵はエリゼオ男爵へ、自分に任せるように伝えエドワードの手紙を読む。

「ふむ、やはりそうらしい。幼いながら城主の仕事に追われ教育がままならないが、自国との交通の不便さで長期滞在を前提とした教育係が呼び込めず……は建て前だろうが、通常の淑女教育ではなく、むしろ領主としての社交的マナーが必要なのか」

エリゼオ男爵は言っていなかったが、エドワードの手紙には、さらに追加があり、上級使用人で紹介できる者がいたらお願いしたい、とあった。

これも、隣国との交流を考えて、とのことだった。

ただし、こちらは使用人となるのでカロージェロの魔術で篩にかけるのは了承してほしい、とあった。

オノフリオ侯爵は考え込んだ。

――正直、相手に密偵を送り込むことが出来るチャンスではある。

あるのだが……それは、カロージェロがいなければの話だった。

罪を見透かすカロージェロがいたら、密偵を送り込んでも撥ね除けられるだろう。

「……そこは諦めるしかないか。一応、潜り込ませておくが……たぶん追い返されるだろうな」

オノフリオ侯爵はため息をついた。

夫人や執事にも相談し、幾人かの使用人と候補を挙げていたのだが、ふと先日あった騒動を思い出した。

「……コンシュ侯爵令嬢だったか。あの騒動の後だから引き受けてくれるかもしれないな。王妃教育も受けていたし、社交の知識もあるだろう。何より、噂が落ち着くまで国内に居づらいだろうし、いい気分転換になるかもしれない」

オノフリオ侯爵はそう考え、もう一つの侯爵家であるコンシュ侯爵家に手紙を書き出した。