軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

40話 再会と決着

シルヴィアは、ジーナと一緒に寝ていた。

ジーナの傷は順調に回復して、もうほとんどわからないくらいだったが、「ここで無理して次の襲撃で万が一の事態が起きたらシルヴィア様を守れないだろう」と、完全回復するまではおとなしくしていることにした。

とはいえ、シルヴィアと一緒に眠るくらいは大したことではない。

シルヴィアは、エドワードがいなくなったので情緒不安定になってしまったのだ。ジーナもいなくなったらと思うと不安で、ずっとそばにいる。片時も離れず寝るのもくっついて寝ていた。

……自分の髪を、フワフワと撫でている。

これは、この撫で方は……。

パチリとシルヴィアが目を覚ました。

そして、傍にたたずむ大きな人影が目に入る。

「ようやく、後始末まで終わりましたよ、シルヴィア様」

ガバッと起き上がったシルヴィアに、ジーナも目を覚ました。

シルヴィアは文字通りエドワードに飛びつき、号泣した。

「えどわーどぉ! いなくてさみしかったよぉ~!」

エドワードもシルヴィアを抱きしめ、涙声で、

「俺がそばにいなくてもしゃんとしてください、って、言ったでしょう……?」

と叱った。

それを、遅れてやってきたカロージェロが、その光景を見て立ち尽くした。

……あぁ、本当に自分は見誤っていた。

業腹だが、エドワードはシルヴィアを大切に想っている。

今までの何もかもが、シルヴィアのために動いていたのだ。

彼の罪はいまだに深く赤い。だが、そこには相変わらず『殺』の字はなかった。

あれだけ人を殺してまわったのに、彼はそれを罪だと思っていない。

彼は主君のために倒したのだ。――つまりは主君のためならば、それを罪だと思わずやってのける。

本来ならばその思想こそ怖いのだが、カロージェロは逆に、ならば、彼の罪はシルヴィアとは関係がなく、これからもシルヴィアのためならば罪を罪と思わず犯していく、それほどに主君思いだと安心したのだった。

落ち着いたエドワードが、起き上がり微笑みながら二人を見つめていたジーナに改めて謝罪をする。

「……俺の策が甘かったせいで、ジーナには大怪我をさせてしまった。本当にすまない」

ジーナは首を横に振って言った。

「謝らなければいけないのは私の方です。そもそも私がいろいろエドワード様の言いつけを守らなかったから負った怪我なんです。カロージェロさんを説得できず、かといって見捨てることもできず、戦いにおいては相手を殺す覚悟もできず。……そのせいでエドワード様に大きな負担をかけてしまいました」

カロージェロは二人の会話を聞いていて悟った。エドワードは、確かにカロージェロが告発したとおり賊を招き入れた。だがそれは、一網打尽にするための策だったのだ。

「いや、そもそもソイツがコソコソ夜中に歩き回るからあっちこっちに抜け道ができちまったんだよ! さっきも、おとなしく寝ときゃよけいな真似をせずに済んだのによ……!」

エドワードがギロッとカロージェロを睨んだ。

それはなぜかというと、シルヴィアの魔術の性質によるものだった。

エドワードはシルヴィアに頼み、賊を殲滅しやすい場所に誘導するよう、城塞に細工してほしいと頼んでいたのだ。

シルヴィアは言うとおりにした。

『この屋敷の人間じゃない者が夜中入ってきたら、そこに誘導するように他の道を塞ぐこと』

昼間はイレギュラーが多いし、まさか日の高いうちから大勢で殺しにかかってくるほど殺意と無謀さは高くないだろうと考えてだった。

だが、何も知らないカロージェロが、夜に城塞を見回っていた。

本人としては家令の役目であるし、エドワードを疑ってかかっていたので何か裏で動いてないかと警戒してだったのだが、カロージェロが歩き回ることで、シルヴィアの魔術が解けてしまったのだ。正確には、歩いた部分に穴が開き、通路が出来上がってしまったのだった。

殲滅しようと思ったら賊があちこちに逃げていくのでエドワードは追いかけて殺し回る羽目になり、それを知ったジーナが慌ててシルヴィアを起こしてそのことを話したら、「お城の人が夜中に歩きまわったです。それで、ふさいだ道をあけちゃったです」と眠い目をこすりつつ教え、歩き回った人間に心当たりのあるジーナはエドワードにそのことを伝え、シルヴィアに部屋に閉じこもるように伝えると、エドワードの制止を振り切ってカロージェロの保護に向かったのだった。

そんなことは知らないカロージェロだったが、自分が夜中に見回っていたことがエドワードの策を破綻させたことはなんとなく察した。

言ってもらえなければわからないとは思ったが、あの頃のカロージェロにはエドワードはもちろんジーナが言ったとしても見回りはやめなかっただろう。だから二人は言わなかった。――そして、二人は自分のように己の考えのみで行動しておらず、話し合って決めているのをカロージェロは理解させられた。