軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

582.おれにまかせろ

「やったです!」

エミリーが快哉をあげた。

動かなくなった鬼のもう一本の角も折れて、そのまま消えて果物がドロップされた。

蛇のような鱗に覆われた、とてもふしぎな果物……果物? だった。

俺はそれを拾い上げる。

「どういうものなんだろこれ」

「すっぱい匂いがするです」

エミリーが俺の横からスンスンと鼻をならして、言った。

「すっぱい匂いって事は、ちゃんと果物なんだな」

「はいです、果物の酸っぱさの匂いです」

「なるほど」

「こういう傾向はきっと、簡単に変わらないわよ」

セレストは反対側の隣にやってきて、蛇鱗の果物を見つめながら言った。

ファミリーの知恵袋として、色々情報や知識を仕入れてる彼女はより強くそう思うのだろう。

「そうだな」

「これで終わりなのです?」

「さて、どうなんだろうな……あっ」

いいながらまわりを見回す俺は、いつの間にか現われた それ(、、) を見て、苦笑いをしてしまう。

なんと、鬼を倒した場所の少し先に、三つの階段が現われていた。

「階段が三つあるです」

「今度は三人で別々に降りろって事なのかしら」

「そういうことだろうな」

「ちょうどいいわね、こっちは三人だし、向こうも三人だし――向こうも階段が三つ現われてるのでしょう? きっと」

「そうなんだろうけど……やっかいだぞ、これは」

「え?」

首をかしげて不思議がるセレスト。

「やっかいって、何が?」

「階段がこれで終わって、三つで打ち止めになる保証がどこにもないって意味だよ」

「あっ……」

「あっ……」

セレストとエミリー、二人は同時にハッとして、声を漏らした。

そう、それが一番怖い。

これで終わる保証がどこにもないし、次で更に増えたらどうするべきかという問題が新たに発生する。

そうなったらどうするべきか――。

「いや、それは後で考えよう。まず一旦上に戻ろう。さくらたちの側が違う状況になってる可能性もあるし」

「そうね、その方がいいかもしれないわね」

「はいです」

俺達は下に続く三つの階段を放置して、上の階に戻った。

ニホニウム地下十四階、戻ってくると、さくら、アリス、イヴの三人が既に戻っていて俺達を待っていた。

「おじさんがそういう顔してるってことは、そっちも階段三つだったみたいだね」

「どういう顔なんだか」

俺は苦笑いして、自分の頬をべたべたと触ってみた。

「まあ、そういうことだ」

「三つなのはいいけど、その次がね」

さくらはおどけて、肩をすくめてみた。

彼女と一緒にいたアリスとイヴの表情をみると、さくらからその推測をすでに聞かされているって感じだった。

「どうするおじさん?」

「とりあえずクリアしてみよう。四つになるかどうかは分からないけど、それを気にして先に進まないのはどうしようもない」

「そだね、今みたいに戻ってきても別にペナルティはなかったし。ダメな時はダメでいっか」

さくらがそう言い、俺は仲間達を見回す。

エミリー、セレスト、アリス、イヴ。

みんながそれぞれのリアクションで「了解」と示してくれた。

「タイミングはどうする? また同時撃破が条件だったらだけど」

「二段階で行こう」

「二段階ってどうやるのです?」

「最初はみんなが自分のペースで倒す。そうすると多分、一番遅い人のタイミングがわかると思う」

「なるほど、そのタイミングに合わせて、二回目で突破するのね」

セレストは静かにうなずき、納得した。

「無難なやり方だね、安全策。突撃で一発突破狙うやり方もできると思うけどな」

「どうやるのさくら」

「おじさん以外のみんながまず倒してく。あたしの見立てだと、おじさん以外はそんなに差は無いと思う。自然にある程度そろうんじゃないかな」

「あっ、わかった」

アリスがポンと手を叩いた。

「五人が終わった後、リョータが最速で最後を締めるって事だね」

「そういうこと。さすがリョーちん使ってるだけあってわかってるね」

「へへ」

さくらに褒められて、アリスは照れ笑いした。

さくらの言うとおり、俺を中心に据えて建てた戦略は、常に俺≒リョーちんを切り札に使っているアリスに伝わり易い話だった。

「……それでやってみましょうよ」

セレストは少し考えた後、そう提案した。

「いいのかセレスト」

「ええ、リョータさんに合わせるの、私達にとってチャレンジで、いい刺激で経験になると思うわ」

「はいです。ヨーダさんに合わせられるように頑張るです」

エミリーもセレストの提案に同意を示した。

「あたしもいいと思う、いざって時はリョーちん使えるしね」

「低レベルのくせに生意気だ」

アリスも同様に同意して、イヴはいつもの調子で反対はしなかった。

「よし! じゃあそれで行こうよ。いいよねおじさん」

「わかった。逆にみんなに合わせられるように頑張るよ」

最後の俺のトドメが大事になるから、責任重大だが、ここまで頼られているんだからやらねばと思った。

「それじゃ、再びレッツゴー」

「「「おー!」」」

かけ声をして、俺達は再び、さっきの組み合わせで地下十五階に降りていく。