軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

579.ZとG

「じゃあ、おじさんはエミリーさんとセレストさんとで組んで。こっちは残りのみんなで行くから」

さくらがざくっとチーム分けをした。

「その分け方でいいのか?」

「アリスはどうしたっておじさんと別じゃん?」

「ああ、りょーちんがいるからな」

同時にモンスターを倒す、という攻略法が前提にある以上、「完全に同じ力」を持つ俺と、その俺のコピーを召喚できるオールマイトを持ったアリスは別チームになる。

「で、知識面だとあたしとおじさんはわかれる」

「そうだな」

これまた同じ理由で、同じ異世界人で、見た事の無いダンジョンとその出来事があった場合に、少しでも対応の下地がある俺とさくらが固まっていていいことはない。

「あとは純粋に戦力で分けた、おじさんとエミリーさんとセレストさん、あたしとアリスちゃんとウサギちゃん」

「なるほど」

俺は小さく頷いた。

確かに、バランスがいいかもしれない。

俺とりょーちんをのぞけば、こっちはエミリーとセレストの、物理と魔法の最強コンビ。

向こうは前衛のイヴに、オールマイティで対応力の高いアリスとさくら。

「とりあえずこれでくんでみて、ダメだったら再編成ってことで」

「わかった」

俺は頷き、もう一度みんなをぐるっと見回す。

「みんな、よろしく」

「ハイです」

「頑張るわ」

「任せて」

「高レベルについていくなら問題ない」

さくらをのぞいたみんなが応じてくれた。

そして、さくらの編成に従って、二手に分かれて階段を降りた。

他のみんながもう片方の階段を降りていったのを見送ってから、ちょっと遅れて俺達も降りる。

エミリーは自分の身長よりも遙かにでかいハンマーを、相変わらず軽々と担ぎ上げた。

セレストはドレスの中にバイコーンホーンを既に構えて、臨戦態勢に入っている。

「久しぶりなのです」

「え?」

「ヨーダさんと一緒にダンジョンに来るの、久しぶりなのです」

「あ、ああ」

何気ない一言、普通のやりとりだが、俺はどきっとした。

直前にさくらとそういう話をしたばかりで、俺はまるで、心の奥底まで全て見抜かれている、そんな気分になっていた。

「確かに久しぶりね。また、成長した所を見せるわ」

「私もなのです」

「それはたのしみだ」

俺は深く頷いた。

まったく他意なく、純粋にそう思った。

仲間の中で、エミリーとセレストが一番、「成長」している。

俺がソロにこだわるせいで、二人と組んでダンジョンに行くことは少ないが、その分たまに行ったときに二人のレベルアップに驚かされる。

出会った頃は、速さが足りなかったからと言って、あえてスライムの攻撃を受けて、勢いをそいだ所で反撃をしていたエミリー。

一方でまったく動かないゴミ相手に、焼却の大魔法を ぶっぱ(、、、) していただけのセレスト。

二人とも強くなった。

エミリーはパワーだけじゃなく、スピードやテクニックもついてきた。

ハンマーの重さと慣性を上手く使いこなした距離の詰め方や追撃の仕方など、見ていて惚れ惚れとする。

まるで、ドラ○ンボールの様な超人バトルを見ているような爽快感がある。

一方で、ただの棒立ちな砲台だったセレストも、機動性がめちゃくちゃ上がった。

ファイヤボールを無限に吐き出せるバイコーンホーンを複数抱えて、それを糸で操作して全方位から相手の行動を制限しつつ、必要な時は足の止まった敵に大魔法をたたき込むスタイル。

その動きはまるでガン○ムのような、ロボットの高機動バトルを見ているようで興奮する。

そんな二人が、「更に成長した」という。

二人とも階段を下りながら、俺を見つめていた。

まるで、「成長したのを見てて」そして「それを褒めて」と言っているような目だ。

それが、なんだかちょっと嬉しくて、わくわくした。

「じゃあ、まずは二人だけにやってもらおうかな」

「私達だけなの?」

「どうしてなのです?」

「向こうもりょーちんはまず出さないから、同じ戦力で臨むって意味で、まずは二人で」

「なるほど、そういうことね」

「分かったです」

俺の言葉にあっさり納得してくれた二人。

さくらがいなくてよかった。

もしいたら「ブラックなのを押しつけるのが怖いんでしょ」って突っ込んできてる場面だ。

そんな事はない。

……断じてない、と誓って言える。

そんな事じゃなくて、今はまず、二人の成長が見たい。

どれだけ動き回って、ハイレベルな戦闘を見せてくれるのか、それが見たいという気持ちだけで、二人に先に戦ってくれと言った。

そして、ニホニウム十五階に降りた。