軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

554.光と闇

鈴の形に似ている果物を十数個ゲットして、まとめてグランドイーターのポケットにしまった後、いよいよ階段を降りて、地下十階に足を踏み入れた。

「……まずは異常なし、と」

降りてきたのは、上の階までとまったく同じ、内臓みたいな見た目のダンジョンだった。

ダンジョンスノー――赤い雪こそ降っているが、それは通常のダンジョンの範疇内。

もっと何か大きく違う、と想像していただけにちょっと拍子抜けだった。

ダンジョンの構造を把握する。

入り組んだ形の迷路みたいなダンジョン、離れたところには下に続く階段があった。

まだまだ、ニホニウムダンジョンは続くのか。

俺は気を取り直して、モンスターと遭遇するために歩き出した。

九階の時とちょっと違う歩き方をする。

特に意味はないけど、エンカウントするだけの時は意味なく歩き方を変えてみたりしている。

円を描くようにぐるぐる回ったり、二点を決めて行ったり来たり、その二つの合わせ技だったり。

特に意味はなくて、適当にその時の気分で変えたりする。

今も、意味なく九階の時と違う歩き方をしてる。

そうしていると、モンスターと出会った。

「あれ?」

モンスターに向かって行こうとしたが、見失った。

直前まで少し離れたところに見えた、空中に浮かぶ炎の玉のようなもの。

それが近づこうとしたら消えた。

かと、思えば。

少し待つと普通に現われた。

近づくのがよくないのか? と、九階の天邪鬼の事を思い出して、その場に立ち止まったまま少し待った。

が、そいつはまたも消えた。

消えて、しばらく何もしないでいると、ちょっと離れたところにまた現われた。

銃を抜いて、近づいていく。

まったく最初は反応しなかったが、いきなりまた消えたり、現われたりした。

「こっちの行動と関係ないみたいだな」

向こうが攻撃してこないから、俺も攻撃はしないで、まずは様子見をした。

天邪鬼と違って、こっちの行動・意図とまったく関係なく、でたり消えたりしている。

「人魂――いや、狐火の方か?」

妖怪に関する知識を総動員して、この階のモンスター、妖怪の正体をあてようとする。

攻撃してこないから、もうちょっとテストする事にした。

そいつが消えた瞬間を見計らって、消えた場所に通常弾を撃ち込む。

銃弾は外れて、壁にめり込んだ。

「ふむ」

頷き、少し待つ。

そいつが再び現われて、また消えたのを待って、今度は消えた場所じゃなくて、周囲一帯に通常弾をばらまく。

すると、ばらまいた通常弾の一発が「当たった」。

空中で、何かに当ったような感じでちょっと減速して、軌道がずれた。

直後、薄くともった人魂だか狐火だかがパァン、とはじけ飛んだ。

そして、青――というか緑色の楕円形の果物をドロップした。

「レモンか?」

そうつぶやき、近づいて拾い上げる。

匂いはレモンじゃなかった。

濃厚な匂いのする果物だった、拾い上げただけで、甘酸っぱいのがわかるくらい、濃厚な匂いを放っていた。

表面の皮はつるつるっとしている、レモンのような、柑橘系のツブツブな皮とは明らかに違う。

持った感じ、その皮は厚いブドウ程度のものだった。

中にあるような果肉はまったく違う感触だ、刃物じゃなくて、手でも剥ける感じの皮。

だから、俺は手でその皮を剥いた。

中から出てきたのは、オレンジ色の果肉。

「これは……マンゴーか?」

中の果肉には見覚えがあった。匂いも知っていた。

一口食べて見ると――酸っぱさが勝っていたが、食べたことのあるマンゴーの味だった。

見た目が緑なのは完熟じゃないのか、それともそういう品種なのか。

「こんなマンゴーもあるんだなあ」

と、これまで甘酸っぱさの果物ばっかりだったニホニウムだったから、このマンゴーの味もすぐに納得した。

もったいないからそれをぺろりと平らげてから、ダンジョンの中を歩き回る。

俺のドロップSでもすっぱいままだから、そういう品種なのかもしれないな。

そう思って、エンカウントした妖怪を倒していく。

ついたり消えたりする、空中に浮かぶ炎の姿をした妖怪。

ついたり消えたりするのは見た目だけで、存在そのものが消えるわけじゃない。

その証拠に、追尾弾とか使うと、ついてても消えてても、追尾弾は普通にそれを追いかけて、倒して青いマンゴーをドロップさせる。

視覚に頼り切りな冒険者だと厳しいかな、なんて分析をしていると。

出会った火の玉がすぅと消えた。

銃を構えた途端、なんとダンジョン全体が暗くなってしまった!!

「むっ」

思わず声が出てしまうほどの暗闇。

顔の前に手を持ってきても、そこにあるって見えない。

あらゆる光が消えたような、そんな暗闇に包まれてしまう。

「……鏡か」

三種の神器がキーアイテムになると確信して、予習してきた俺は反射的にそうつぶやいた。