作品タイトル不明
512.強い仲間達
「というわけで表彰されることになった」
プルンブムダンジョンの中、いつものように日参してきた俺は、プルンブムにその事を報告した。
いつものように向かい合って、雑談するそれぞれのポジションで話を聞いていたプルンブムが微かに首をかしげた。
「精霊と仲良くしている事をアピールするための表彰だから、プルンブムの名前が出る。それによって何かダンジョンに変化があるかも知れない。まずかったらプルンブムの名前は伏せてもらうようにするけど」
どうかな? って顔をして彼女に聞く。
プルンブムは少し考えてから。
「それは……何かが変わるのかえ?」
「なにか変わるかって言われると難しいところだな。何が起きるのかも分からない」
「ふむ。そなたがここに来られなくなる、ということは?」
「それはない」
プルンブムの問いに対して、きっぱり否定した。
「なら、何も問題はないのじゃ。興味も無い故、好きにするがよい」
「ありがとう」
俺は少しほっとした。
今の短いやりとりが、精霊との付き合いのコツの全てだ。
今までに出会った精霊はみんな、一つのこと以外はまるで興味の無い者達ばかりだ。
一つの事にしか興味がないと言うことは、極端に言い換えれば頑固ということ。
そんな精霊との付き合いは、簡単と言えば簡単だし、難しいと言えば難しい。
今のところ俺は上手くやれている。
「そういえば、この前にそなたの仲間が来ておったのじゃ」
「仲間」
「ほれ」
プルンブムが手をかざすと、俺達から少し離れたところに一人の女が出現した。
まるでマネキンのように立ちっぱなしで動かないそれは――
「セレストか……なんかちょっとちがうな」
プルンブムが出したそれは、実際のセレストと微妙に違っている。
一目でセレストだとわかるが、なんか違う。
それは彼女が俺の偽物を作ったときと同じ感じだったから、軽く突っ込んだが深くは考えなかった。
「セレストがどうかしたのか?」
「なにやらもめ事をしておったのじゃ」
プルンブムが更に手をかざす、するとセレストの向かいに三人、冒険者風の男が現われた。
男達はセレストに向かって、さげすんだ顔で何かをいっていた。
セレストは最初、「はいはい」って感じで聞き流していて、しまいには付き合い切れないとばかりに身を翻して、立ち去ろうとした。
しかし――
『あの程度の男のしたにつくなんてな。あんなのどう見たって大ほら吹きのペテン師だろう』
男の一人がいきなり声を出して言葉を発した。
それまでサイレント映画というか、声のない人形劇みたいな感じだったのに、そこだけ声があった。
直後、セレストがぶち切れた。
振り向かないまま、手が動く。
すると糸に操作された無数のバイコーンホーンが乱れ飛び、それが男達をボコボコにした。
全方向からとんでくる魔法アイテムの体当たりを、男達は反応しきれなくて、一対三なのにあっというまにボコボコにされてしまった。
そこでプルンブムによる再生が終わって、セレストと男達の人形が消えた。
「と、いうわけじゃ」
「はあ。ちなみになんであそこだけ喋ってたんだ?」
「そなたを侮辱したのでな、そこだけよく覚えておった」
「ああ……」
なるほど、そういうことか。
「スカッとしたのじゃ。その娘に代わりに礼をいってくりゃれ?」
「わかった」
「にしても、そなたの仲間はほんに強いのう」
「あれでもかなり手加減してたけどな」
「そうなのかえ?」
「ああ」
俺は深く頷いた。
セレストの糸操作、それでバイコーンホーンを操作したが、炎の玉は出さずに物理的にぶつけるだけで終わっている。
炎の玉を出してたら、相手は今ごろ黒焦げだな。
「なるほど。他にもそなたの口から出てくるものたち……エミリー、アリス、イヴ、そしてさくら、だったか」
「うん」
「そのもの達も皆これほど強いのか?」
「強いよ、みんな自慢の仲間達だ」
「どれくらいつよいのじゃ?」
「そうだな……」
俺はあごを摘まんで、少し考えてみた。
みんなはどれくらい強いんだろう。
それを深く考えたことはなかったけど、日に日に強くなっていく仲間達の事を改めてよく考えてみた。
「みんな、ファミリーの長になれる位には強いかな」
うん、それくらいは強いはずだ。
「なるほど。それを束ねているのがそなた、というわけじゃな」
プルンブムは、俺の答えに満足したようすだった。