軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

502.大ダメージ無効

「ダンジョン性の一致か」

「そう一致した」

「って事はこのさき解散はない?」

「ベストマリアージュ!」

「なるほど」

よっぽど気があったんだなあ。

イヴがニンジン以外の事でこんなに真剣になるなんてな。

うん? ニンジン以外?

俺は少し考えて、試しに聞いてみた。

「ニンジンもっとあげるから解散してって言われたら?」

「ウサギはニンジンだけで生きるものじゃない」

「イエスさん大激怒だな」

というか、本当にニンジンにも 食いつかない(、、、、、、) とは相当のものだ。

「ダンジョン性の一致っていうけど、具体的にはどうするんだ?」

「もうおわった。後は何かあったら微調整」

「…………ダンジョンか。どうしたんだ?」

「低レベルには絶対クリア出来ないダンジョン」

「俺が?」

イヴがニヤリと笑った。

「行ってみても?」

「いいよー」

ものすごく気楽に返された。

これはいよいよだな、と。

俺は真剣な気持ちになって、転送部屋でカリホルニウムに飛んだ。

巨大迷路のようなダンジョンの中、早速ゴブリンとエンカウントした。

パッとみた感じ。

「なにも変わってないな」

そのゴブリンは前に見たゴブリンとまったく一緒だった。

エンカウントしたてで距離があって、それで向かってくる速度とか見る限り、強さは変わらないようだ。

とは言え俺は慎重に、まずはいつも通り通常弾を込めて小手試しの攻撃を放った。

「むっ」

銃弾はゴブリンに当って、はじかれた。

「硬くなったのか?」

まだ距離がある、今度は火炎弾と冷凍弾を試みる。

着弾した二発の弾丸――はしかしゴブリンを止められなかった。

炎は燃え上がったがそれだけ、氷は薄皮一枚凍ったかどうかってレベルで、ゴブリンの前進はまったく妨げられる事はなかった。

近づいてきたゴブリン、射程内に入ると、ジャンプしてこん棒を振りかぶってきた。

この分じゃ攻撃力も強化されてるにちがいない。

俺はさっとよけた、こん棒が外れて地面に叩きつけられた。

「むむ」

俺はまたもとまどった。

こん棒が地面に叩きつけられた時の音、勢い、そして衝撃。

何もかも、前と同じだった。

念のために回復弾を用意して、更に飛びかかってくるゴブリンのこん棒をガードで受けてみた。

弱かった。

しっかりガードすればダメージにもならない程度の攻撃力だ。

そのまま至近距離で反撃。

+10を抜いて成長弾を連射。

通常条件下における、今の俺の最大火力だ。

「むむむ」

それはまったくきかなかった。

+10成長弾を受けたゴブリンは傷一つつかなかった。

その後もいろんな弾や攻撃を試してみたが、あらゆる攻撃はゴブリンに効かなかった。

「リペティション!」

最終手段としてリペティションを撃ってみたが、それもきかなかった。

『低レベルには絶対クリア出来ないダンジョン』

イヴの言葉が耳元でこだましたようだ。

状況は飲み込めないが、確かにこれじゃ、俺には絶対にクリアのしようがない。

あらゆる手段を尽くしてもゴブリン一体倒せなかった。

弱点を突く追尾弾でも、あたったが何も起こらなかった。

無敵か? と思ったがすぐにその考えを振り払った。

イヴは「低レベルには絶対クリア出来ないダンジョン」といった。

完全なる無敵ならそういう言い方をしない。

「誰もクリア出来ないダンジョン」になるはずだ。

俺だけが攻撃無効?

状況だけ見るとあり得るが……多分それも違う。

イヴは「ダンジョン性の一致」といった。

それなら俺個人じゃなくて、もっと広い範囲で何かをしたと考えられる。

俺個人を狙い打ちするには、イヴはもとより、カリホルニウムでさえそこまで敵視したり憎んだりしてない。

二人の共通点は「低レベル」がきらいなこと。

そこから考え得ることは――。

「うわっ!」

考えごとに没頭しすぎて、ゴブリンのこん棒が鼻先をかすっていった。

慌ててよける――慌てすぎて銃を取り落としてしまった。

重力に引かれて落下していく銃は、ゴブリンの足にあたった。

「――っ!」

ゴブリンは自分の足を抱えて飛び上がった。

ぴょんぴょんジャンプして、言葉にならない悲鳴を上げた。

「わ、わるい。小指は痛いよな」

思わず謝ってしまった。

普段からさんざんモンスターを倒してきたおれ、もっと痛い思いをさせているんだが、思わず謝った。

それだけ、小指をぶつけたというのは痛さもさることながら、精神的な申し訳なさがあった。

「……あれ?」

足を抱えて飛び回るゴブリンを見て、不思議におもった。

痛いってことは……ダメージが?

「……」

俺は銃を拾い上げ、通常弾をうった。

狙い澄ました弾丸はゴブリンのもう片方の足の小指にあたった――がはじかれた。

小指が弱点というわけでもないようだ。

「……なら」

思いついたもう一つの可能性を試して見ることにした。

未だにぴょんぴょん跳ね回ったるゴブリンに近づき、がっちりと拘束する。

そして中指を親指に引っかけて――はじく。

ただのデコピン。

力SSだからものすごく手加減を意識した、よわよわのデコピン。

「――っ!」

ゴブリンは額を押さえてうずくまった。

「……なるほど」

分かったきがする。

それが分かると、イヴとカリホルニウムの狙いも分かって、ますます確信した。

大ダメージ無効。

それがこのダンジョンについた新しい能力だと思った。