軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

50.ニホニウム、地下四階

翌日の朝、おれはニホニウム、地下四階にやってきた。

入り口にあるナウボードで念の為に確認したら、ステータスはこうなった。

―――1/2―――

レベル:1/1

HP S

MP F

力 S

体力 F

知性 F

精神 F

速さ S

器用 F

運 F

―――――――――

昨日で地下三階の速さもSになったから、今日からは地下四階という訳だ。

ニホニウムダンジョンはいわゆる鍾乳洞のような、「洞窟」と呼ぶにふさわしいダンジョンだ。

それは地下四階でも変わらない、免許が必要な6階以降で変わるのかな、と思いつつ先に進む。

「お、でたぞ……またマミーか?」

一瞬戸惑った。

エンカウントしたのは、包帯でぐるぐる巻きにされた筋肉質な人型の魔物だ。

地下三階のマミーと見た目はほぼ同じで、おれは階層を間違えたのかと思った。

「間違いかどうか――倒してみれば分かる!」

この世界の洞窟、モンスターはドロップが全てだ。

いい加減その事がおれの中でも常識になってきて、まずは、目の前のモンスターを叩こうと思った。

まずは踏み込んで、肉薄しつつ直前で速さをいかして背後にまわりこんで、マミーの横腹にケリを入れた。

体が「く」の字に折れ曲がって吹っ飛んだところを、すかさず頭めがけて貫通弾。

弾が頭をぶち抜き、マミーはよろめいた後、中身が溶けてしまったかのように包帯だけがその場に残った。

……。

……。

……。

ちょっと待ったけど、ドロップはなかった。

モンスターはいなくなったけど、包帯がそこに残ってて、あるはずの種がドロップしない。

「……地下三階とは違うな」

何となくつぶやいた。

こんなことは今まで一度もなかった、地下三階のマミーは包帯だけ残して消える事はなかった。

念の為に包帯をその場に放置して別のマミーを探して狩った。

今度はマミーの弱点である火炎の融合弾で瞬殺した。

すると、やっぱり包帯だけが残った。

「うーん、どういう事なんだろうなこれ」

ドロップがないのはちょっと困る。

おれの能力はドロップS。この世界最高のAを上回るSだ。

そのドロップSで、今まで「絶対にドロップしない」モンスター達もドロップさせてきた、しかもこの世界にはないというものばかり。

倒せば絶対にドロップする、それがドロップSだと思ってる。

だから目の前のドロップしないという状況は困った。

「ドロップSにも例外があるのか? うーん」

唸ってると、異変が起きた。

中身が溶けて包帯だけ残ったモンスターだったが、まるでビデオの逆再生の如く、今度は中身が 充填(、、) された感じでみるみる内に膨らみ上がった。

包帯は包帯男に戻って、襲いかかってきた。

「おっと! そういうことか!」

納得、そして安堵。

ドロップしなかったのではない、倒し切れていなかっただけだ。

ならばちゃんと倒せばいい、って事でモンスターと再戦!

セレンでの事を思い出して、銃に追尾弾を装填して撃った。

追尾弾は敵を追いかけて100%当たる弾丸、更にそれだけじゃなくて敵の弱点を勝手に狙ってくれるという優れものだ。

それを連射したが――なんと、全部の弾丸は曲がることなく、弱点に向かって行くことなく、まっすぐマミーに打ち込まれた。

それで一瞬とまどって、マミーに肉薄されて抱きつかれた。

ベアハッグ、あるいは鯖折り。

マミーはおれの背骨をへし折る程の勢いで抱きついてきた。

「こ……のおおお!」

奥歯をギリッ、とかみしめてマミーのベアハッグを振りほどいた。

前蹴りで蹴り飛ばし、その勢いのまま後ろに飛んで火炎融合弾を打ち込む。

業炎に燃やされて、中身だけ溶けてなくなり、その場にまた包帯だけが残った。

さて、ここからだ。

こいつは復活する、まだ倒されてない。

その証拠に真後ろに追尾弾を撃つとそれは180度曲がって包帯に打ち込まれた。

ここから更に攻撃する必要があるって事だ。

包帯を踏んだ、つっついた。

反撃してこないから拾い上げて、ひっぱった。

普通の包帯にみえるが、ものすごく頑丈でちぎれそうになかった。

「ぐぬぬぬぬ!」

おれは力Sになってる、それでもちぎれない。

となると、特殊な方法が必要って事か。

……なんか似たのを知ってる。

既に打ち込んだ追尾弾をのぞいた特殊弾を装填、包帯を地面において打ち込む。

まずは 本命(、、) の火炎弾を打ち込んだ、燃えなかった。

次に冷凍弾を打ち込んだ、凍っただけでどうもしなかった。

「まさかな」

最後に回復弾を撃ち込んでみた。

回復弾の光が包帯を包み込み、それがみるみる内に溶けていった。

力Sでひっぱってもちぎれなかったものが、回復弾に撃たれて5秒もしないうちに溶けて完全になくなった。

そしてそこに、種がドロップされた。

――体力が1あがりました。

「よっしゃ!」

思わずガッツポーズした。

完全に解明するために、次のマミーを探す。

来た道を引き戻して、さっき倒したところで復活しているマミーを見つけた。

回復弾を撃ち込んだ――何も起こらなかった。

回復の融合弾、睡眠弾を撃ち込んだ――これも何も起こらなかった。

肉弾戦で、パンチのラッシュで倒して中身を溶かしてから包帯に回復弾を撃ったら、包帯が消えて種がドロップされた。

大体わかった。

このマミーは一回倒して包帯だけにした後、回復の力でトドメを刺さないといけないんだ。

そうと分かれば、おれは回復弾を用意して、本格的にマミー狩りの態勢にはいった。

倒し方さえわかれば、地下三階のマミーと強さはほぼ一緒。

作業になるパターンを探しつつ、体力をFからEにあげた。

ニホニウム地下一階。

時間はそろそろ昼になろうとしてる、エミリー達と合流する時間だ。

その前に確認する事がある。

銃を握り締めて、スケルトンを探す。

今、銃の中に込められてるのは地下四階のマミー、それをハグレモノにしてからゲットした特殊弾だ。

ニホニウムダンジョンはほぼ「おれだけ」のダンジョン。

普通に倒せばおれだけが能力を上げられる種をドロップして、集荷箱を使ってダンジョンの外に連れ出してハグレモノにして倒せば特殊な弾丸が手に入る。

はじめて手に入れた地下四階の弾丸の効果を確認してから、エミリー達に合流するつもりだ。

さっそくスケルトンが現われた。

完全に体が覚えてる動き。何が起きてもいい様に距離をとって、特殊弾をうつ。

発射した弾丸は途中はパァッ! と光ってはじけた。

時間にして0.1秒程度の光、花火が最後にはじけた程度の光だ。

その光の後、スケルトンは動けなくなった。

光の縄に縛られて、動けなくなっていた。

……なるほど。

さしずめこれは「拘束弾」、ってところか。

どう使うべきか、いやそもそも効果と範囲を確認しなければ。

新しい 道具(ちから) を手に入れて、おれはにわかにわくわくし出すのだった。