軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

36.美味い稼ぎ場

デュークから「金一封」が出た。

セレン地下一階のレアモンスターを倒して、ドロップさせて、シクロ側に『加点』した事に対する報酬だ。

昔、勤務先の会社で一回だけ「金一封」もらった事がある。その時は中身が五千円で、「諭吉じゃないのかよ!」ってすごく微妙な気分になったのを覚えてる。

デュークとわかれたあと、封筒を空けて中を見る。

なんと10万ピロが入ってた。

この世界の貨幣のピロは大体円と同じ価値がある。

金一封に10万ピロという予想以上の金が入ってることにびっくりして、ちょっと嬉しかった。

予想よりかなり早く終わったから、おれはセレンの地下一階にちょっとだけこもる事にした。

ダンジョンの中を歩いて回る。

シクロにいたときのテルルよりも冒険者はかなり多い。

ほとんど全員の目がギラギラしてる。

モンスターが近くに出るとすぐに飛びついて、倒している。

税金がかからなくてもうけが多いから、みんなハイテンションで倒してる。

そのモンスターはスライムだった、ただしテルルのスライムと違う。

体がまだら模様で、虹色になっててカラフルだ。

ちょうど一体が近くに出たから、とっさに銃を抜いて通常弾をうち込んだ。

弾は虹色のスライムを撃ち抜いて、ものをドロップした。

大体片手でわしづかみにする程度の大豆だ。

レアモンスターが大豆もやしで、普通のは大豆みたいだ。

せっかくだから少し稼ごうと、更にダンジョンを歩いて回った。

他の冒険者の稼ぎもそれとなく眺める。

10分も歩いてると、大体分かってきた。

おれと他の冒険者で、ドロップするときの内容に差はないようだ。

おれが倒しても、ほかの冒険者が倒しても大体大豆ひとつかみ分ドロップされる。

違うのはおれが倒したら必ずドロップするが、他の冒険者はドロップしたりしなかったりって所だ。

セレンの地下一階、ドロップSのアドバンテージは必ずドロップする、ってところみたいだ。

大体分かってきた――と思ったところで違う光景を目にした。

風来坊のような出で立ちの剣士がスライムを一刀両断した、そのスライムからは倍の大豆がドロップされた。

「おお、これはラッキーだ」

「ラッキー? どういう事なんですか?」

思わず風来坊の男に聞いた。

「ここは初めてか?」

「ええ、今日来たばかりです」

「そうか。このセレンのモンスターは皆特徴があってな、個体ごとに箇所が違うドロップポイントがある、そのポイントを攻撃して倒した場合ドロップが倍になるのだ」

「そうだったんだ」

「ここセレンだけの特徴なのだが、だからこそ今皆しゃかりきになって稼いでいるのだよ」

なるほど、冒険者達のハイテンションはそういう理由もあるからか。

税金がかからない、場合によってはドロップが倍。

うん、そりゃテンションも上がるってもんだ。

「お前さんも頑張れよ」

「ああ、お互いに」

風来坊の男はニカッとわらって、モンスターを求めて去っていった。

おれは聞いた話を反芻した。

さっき倒したレアモンスターの事を思い出した。

似たような見た目、似たような性質。

レアは弱点を突かなきゃ倒せないけど、普通のモンスターは普通に倒せて、その代わりに特定箇所で倒せばドロップが倍になる。

そういう性質のダンジョンって事だ。

ということは、つまり。

少し歩いて、虹色のスライムが出てきた。

銃に追尾弾を込めて、わざとちょっとずらして撃つ。

弾は曲がりつつ、スライムの体の端っこを貫通した。

青色になってる部分を貫通して――通常の倍ドロップした。

更に探す、次のスライムにも追尾弾を撃ち込んで、今度は体の中心の赤いところを貫通した。

ドロップする大豆はやっぱり普通の倍だった。

探して、見つけて、追尾弾を打ち込む。

ドロップポイントというのは本当に個体ごと違った。場所も違うし、色も違う。

途中で通常弾で撃ち抜いたり、火炎弾で丸ごと焼いてみたりもしたけど、それだとドロップは普通の量だった。

ピンポイントに一点だけ撃ち抜いた時にドロップが倍になる。

それを100%出来るのが、新しくゲットした追尾弾だった。

セレンでの主力になる予感をしつつ、モンスターを倒した、ドロップSの100%ドロップと、追尾弾での倍ドロップで。

更に、税金がかからない1割増しの買い取りで。

この日、ダンジョンでの稼ぎが50万ピロを超えたのだった。