軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

297.SSSの敵

テネシン、四階。

ランもどき、リルもどきの両方を倒した俺は、その余勢を駆ってそのまま四階まで上がってきた。

「早速来たか」

目の前に現われたのは、影が浮かんでいる様なモンスター。

ネプチューンから聞いた通りのヤツで、まずはこいつを倒す事にした。

影は肉薄してきた、速度はそれなり。

ステータスでいえば速さCって所か。

それをサッと避けて、主力の成長弾を横合いから撃ち込む。

すると影はさしたる抵抗も無く、あっさりと成長弾に撃ち抜かれて消滅した。

ドロップは――。

「ない、か。これでドロップするんなら話が早いんだが」

そう上手くは行かないかと、俺は苦笑いした。

影の状態はかなり弱い。

別に何もしなくても安定周回出来る程度に弱い。

だがドロップはしなかった。

ドロップオールS。

この世界で俺だけのこの能力でドロップしないのは、「ドロップする条件を満たしてない」から。

例えば親子スライムの子スライムとか。

子スライムをいくら倒した所でドロップはしない。

この影も一緒で、多分姿を変えなきゃドロップはしないだろう。

少し歩いて、塔の中をさまようとすぐに次の影とエンカウントした。

今度は防御態勢に入る。

HPと体力と精神全てがSS、アブソリュートロックの石で無敵モードを発動して、無限回復弾を込めた銃口を自分に当てていつでも打てるようにする。

その状態で、影の攻撃を待った。

影は向かってくるなり攻撃してきた。

それを一発食らった直後。

影はムクムクと、ランプから出た魔人のように、煙がムクムクと人の形をかたどっていった。

影が変化したのは俺の姿。

同じ二丁拳銃を持った俺もどき。

どこからどう見ても俺で、リョー様よりも遥かに俺だった。

唯一、無表情っぽい所をのぞけば、自分でも鏡を見ていると思う位そっくりだ。

その俺もどきが肉薄してくる。

「――速いっ!」

腕をクロスしてガード、そのガードごと、無敵モードの状態で吹っ飛ばされる。

パワーもある、オマケに俺が普段使わない魔法も撃ってきて、その魔法の威力もたかかった。

くらっときた。

アブソリュートロックの無敵モードを貫通してダメージがきた。

「当たり前か!」

吐き捨てるように言って、距離を取る。

アブソリュートロックを倒したこともある俺だ、俺もどきなら無敵モードくらい貫通出来る。

無敵モードじゃ動きが鈍くて反撃できないから解除した。

銃を構えて反撃、トリッキーな軌道を描く追尾弾連射で目くらましを入れつつ、俺もどきの懐に潜り込んで拳を握る。

「なにっ!」

拳を振り抜こうとした瞬間、俺もどきの姿が消えた。

何処に行った――と意識が探すのに回った瞬間には、体に衝撃が突き抜けていった。

上下の感覚がなくなって、指先に血がたまる。

高速で吹っ飛ばされた時の感覚だ。

「ふっ!」

空中でぐるっと体勢を立て直して、クズ弾を撃ってそれで勢いを殺す。

着地すると、ポタッ、ポタッと地面に何かがこぼれ落ちた。

俺の血だ。

口からこぼれる俺の血、ぶっ飛ばされた一撃で負ったダメージだ。

もう、間違いない。

パワーもスピードも、俺もどきは俺よりも高い。

ネプチューンがそう言うように、自分よりも更に強い もどき(、、、) 。

それを見て、俺は笑った。

自分ではっきりとわかるくらい、口角を持ち上げて笑った。

「感謝するよ――テネシン」

聞こえているかどうかわからないが、このダンジョンの精霊に感謝の言葉を放った。

もどきの正体、ネプチューンは「自分の才能限界」だと判断した。

俺もそう思う、なぜなら俺はまだまだ中途半端な「SS」だからだ。

「俺は、まだ強くなれる」

俺もどきが追撃をしかけてきた。

銃を構えて、二発の弾丸を同時に撃ってきた。

銃弾は融合して貫通弾になった。

俺は決断した。

格上(、、) との戦い、決断は一瞬だ。

貫通弾が命中するよりも先に、銃口を自分に当てて撃った。

加速弾。

次の瞬間、加速する世界に踏み込んだ。

俺もどきよりも更に速くなって、銃弾を避けてそいつの懐に潜り込んだ。

「やらせん!」

俺もどきが自分に銃口を当てようとしたのが見えた。

加速する世界の中でも、普通の人間の普通の動きくらいの速度がある。

その反応の早さで、自分も加速弾を撃って加速世界で対抗しようってもくろみだ。

それを払った。銃口を払いのけた。

加速弾がそれて、天井に打ち込まれる。

そのまま俺もどきを殴った。

殴られてふっとぶ――そいつの腕を掴んで引き留めた。

俺がよくやっていることだからよく分かる、さっきもやった。

吹っ飛ばされている最中は銃弾でいろいろ立て直すことが出来る貴重な時間だ。

だから引き留めた、吹っ飛んでる時に加速弾を入れられたらヤバイ。

掴んで、銃口を払って、殴った。

掴んで、銃口を払って、殴った。

それを繰り返してダメージを蓄積させる――。

「ちぃ!」

俺もどきから反撃を受けた。

加速中なのに、狙い澄ましたカウンターが頬をかすめた。

加速の差が無ければやばかったが、ここまでだ。

俺は更に集中して、加速の利を活かして、俺もどきを一方的に倒す。

途中で無敵モードに入ろうとしたが、それも止める。

嵐の様な30秒間、HPも体力も俺より上でタフな俺もどきを、どうにか殴り倒した。

ネプチューンがかなわなかった自分もどきを、どうにか倒す事が出来た。