軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第32話

村へと戻ったころには、すっかり外は暗くなっていた。

……スライム族の村には今日中に行くのは難しいかもしれないな。

そんなことを考えながら、俺はリビアとオルフェに集めてもらったゴブリン、ワーウルフたちを一瞥する。

「先程現れたワーウルフたちは、俺たちで仕留めた」

そういうと、ゴブリンとワーウルフたちからは安堵の吐息が漏れていた。

それに対して、俺はすぐに言葉を挟んだ

「だが、敵もこちらの動きには感付いているはずだ。いつ、敵が動き出してもいいようにこちらは警戒態勢を整える必要がある」

「……」

俺の言葉に、半分程度は怯えている。残り半分は、やる気にあふれているものたちだ。

……ワーウルフは全体的に、迎え撃つという空気が多いな。

「それと、皆に聞きたい。何か気づいたことがあれば言ってくれればいい。リビア、頼む」

「はい」

俺がリビアに任せる。

リビアは一つの石を取り出す。それは、ただの石だが、北のワーウルフたちが飲みこんだ魔石と似たようなサイズのものだ。

「先程交戦したワーウルフたちは、このくらいのサイズの魔石を飲みこみ、肉体を強化しました。これについて、何か知っている人はいませんか?」

「……」

皆が顔を見合わせる。ダメか、と思った時だった。

よろよろと一人のワーウルフが手を挙げた。

「そ、その……以前、ヴァンパイア種の魔物が村に来たことがありまして、その魔石をワーウルフに渡しているのを見ました」

「……なんだと!? 本当か!?」

「は、はい! そ、そのときはただ、宝石の交換でもしているのだと思っていたのですが」

「ヴァンパイア種、か。オレは見たことがないぞ?」

「オルフェ様はその時、就寝中だったはずです」

「なるほど……。そういえば、何度か北のワーウルフの村があるさらに北からヴァンパイア種が来たことがあったな」

オルフェは驚いている様子だ。

「オレが眠っている間にそんなことが……」

「……少し聞きたい。ヴァンパイア種というのはどんな種族だ? 吸血鬼という認識で間違っていないか?」

ヴァンパイア……つまり吸血鬼、というのは聞いたことがある。上界でも危険視扱いされている魔物だ。

稀に上界に現れて、世界へ恐怖の爪痕を残す存在だ。

童話などで聞いたことがある。……夜、眠らずに出歩く悪い子は、吸血鬼に襲われてしまう、と。

……ただ、彼らには意外と弱点も多いと。

ニンニークという臭いのきつい食材だったり、日差しに弱かったりだ。

オルフェは腕を組み、それから考えるように眉間を寄せた。

「リビア、何か知っているか?」

「そうですね。吸血鬼という認識で間違いありません。ただ、ヴァンパイアの前で吸血鬼とは呼ばないようにしたほうがいいですね」

「……そうなのか?」

「はい。私たちゴブリンは別名小鬼族、と言われています。鬼は私たちのような野蛮なものにつける言葉、というので……あまりヴァンパイアの方々は好みませんね」

「そうなのか。リビアは詳しいな」

ヴァンパイアともしも対面したら、決してそのことは口にしないほうがいいだろうな。

「私も母に教えてもらっただけです。とにかく、ヴァンパイア種は、妖狐種と同じで魔法技術にたけています。様々な魔道具を製作できるという話がありますので……もしかしたら、あの魔石もそれに準ずるものなのかもしれませんね」

「……なるほどな」

とにかく、今回の魔石に関してはヴァンパイア種が絡んでいることが分かったな。

……あとは、ヴァンパイア種がどこまで絡んでいるか、そこが問題になるな。

ちらと見ると、ワーウルフ、ゴブリンたちの不安の色が濃くなっていた。

俺はそんな彼らを注目させるために、声を荒らげた。

「みんな聞け!」

俺が声をあげ、オルフェをちらと見る。

彼はこくりと頷いてから、一つの剣を全員が見えるように運んでいった。

それを覗きこんだワーウルフやゴブリンが首を傾げた。

「これは、なんですか?」

「やけにボロボロの剣だな……」

「それが、奴ら北のワーウルフたちが使用している武器だ!」

俺の言葉に、彼らは驚いていた。

それから、少しばかりの嘲笑を浮かべる。

それを拾い上げるように、俺は続ける。

「ああ、みんなが今思ったことを代弁しよう。奴らはこんな貧相な武器を使っているのか、だろう? その通りだ。確かにワーウルフたちは魔石を用いて肉体を強化できる。それは確かに優れているが、そんな武器では料理もできやしないだろう」

俺の言葉に、皆が苦笑していた。

「奴らが攻め込んでくるというのなら、こちらにはいくつもの武器がある。今では弓矢をうてる者も増えてきた。奴らはそんなちゃちな剣一本だけだ。奴らが俺たちの門を破って攻め込む前に、俺たちが奴らを落とすほうが先なはずだ!」

多少過剰な言葉で士気をあげてから、俺はみんなに笑みを返した。

みんなはすっかりやる気を取り戻してくれた。

それに俺は表情に出ない程度に安堵の息を吐いた。

「それじゃあ、これで解散とする。夜の見張りだけはしっかりするようにな」

俺の言葉に、皆が頷いて夕食の時間となる。

一度俺は皆から離れると、リビアもついてきた。

「……まさかあのボロボロの剣をあのように使うとは思いませんでした。さすがですね、クレスト様」

「いや、俺もあそこまでうまくいくとは思っていなかったな。まあ、とりあえず落ち着いてくれてよかった」

「そうですね。……ただ、オルフェさんが少し心配ですね」

「そうだな。あいつは少し気負いすぎている気がするからな……別にオルフェが原因ではないんだから気にしなくてもいいんだがな」

「はい、私もそう思いますね」

にこりと微笑んだリビアを見ていた時だった。

こちらにオルフェがやってきた。彼の後ろには、同じく数名のワーウルフたちがいた。

……彼は真剣な顔で俺のほうに近づき、それから頭を下げてきた。

「クレスト……オレに出撃の許可を出してはくれないか?」

……言ったそばから、彼は好戦的なことを言ってきた。