軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第26話

残りは料理術、仕立て術、建築術か。

「そうだ。一つ忠告しておくと、同じ場所で何度も栽培をしていると……まあ、土が疲労するんだ」

「土も……疲れるのか?」

「ああ。植物は土から栄養をもらって成長していく。だから、その土が疲れていると植物の味も落ちるんだ」

「……なるほど」

「だから、そこで開墾術を使うんだ」

俺がゴブリンを見る。

「え? どうしてだ?」

ゴブリンが首を傾げていたので、説明する。

「開墾術には土を復活させる力もある。だから、果物、小麦の回収が終わったら開墾術で一度耕す必要がある。わかったな?」

「わかった!」

……これで、ゴブリンとワーウルフだけでも食糧を作っていけるな。

「それじゃあ、次だ。料理術で……先ほど植えた小麦を使ってパンが作れるんだ」

「ぱ、ぱん?」

料理術を持っているワーウルフが首を傾げている。

「料理術を意識してみるんだ。そうしたら、目の前に文字が出るだろ?」

「お、おう!」

「それに従ってパンを作ってみてほしい。これが小麦になる」

倉庫に預けていた小麦と果物のエキスをワーウルフに渡す。ワーウルフはこくりと頷いてから、スキルを発動した。

そうすると、ワーウルフの手元にパンが出来上がった。

モモンと組み合わせたので、わずかにモモンの香りがする。

ワーウルフは感動した様子でパンを持っていたが、やがて熱に気付いたようで、両手で熱をうまく逃がして持っていた。

「食べてみるといい」

俺も残っていた小麦と果物を用いて、大きめのパンを作り、一人一口程度食べられるようにちぎってみんなに渡していく。

「う、うまい!?」

「な、なんだこれは!?」

「これが、パンだ」

俺も一口食べる。うん、かなりうまいな。

一番最初に食べた手間暇かけたものに比べればさすがに味が落ちるが、それでも十分満足できる。

「ぱ……パン!」

「こ、これ毎日食べられるようになるのか!?」

目を輝かせるワーウルフとゴブリンたち。

……てっきり、彼らは肉とかのほうが好きなのかもと思っていたが、案外気に入ってくれたようだ。

「それは、ゴブリンとワーウルフの頑張り次第だな。あと、今後も進化できるようになれば、こういった便利なスキルを獲得できるかもしれない。さすがに、料理術、開墾術も一人しかいないと大変だからな。みんな、これからも頑張ってくれ」

そういうと、皆は首が落ちそうなほどに全力で頷いた。

……よっぽど感動的な味だったようだ。

残りは仕立て術と建築術だ。それを持っていた二体のゴブリンとワーウルフが期待するようにこちらを見る。

「仕立て術は――」

……そこから、仕立て術と建築術を教える。

……ゴブリンたちはあまり仕立て術には感動しなかったようだ。みんな、別に衣服は気にしていないようだったからな。

ただ、一部のワーウルフのメスからは嬉しそうな声が聞こえた。

「……案外、おしゃれとかもするのか?」

「ちょー、クレストさん。私たち女子だしー」

「ねー」

……だそうだ。

一部は気に入った、というところか。

最後は建築術だな。用意されていた木材で、建物を一つ作ってもらった。

「……おお! こんなのが作れるのか!」

「ああ。遠くにいったときに、拠点を作れるようになる。便利だぞ、かなり」

もちろん、素材の用意は大変だけどな。

……俺としては、一番助かるスキルだな。

例えば、村を守るための柵を作ったのだが、その時は一人で位置を調節しながら作っていった。

結構大変だったからな。それを二人で分担できるようになれば、話が変わってくる。

みんなはそこまでピンとは来ていないようだが、俺は嬉しかった。

「……それにしても、クレストさんってやっぱりすげぇな!」

「本当だよ! ついてきて良かった!」

「さすが我らの首領だ!」

……いや、だからおまえたちの首領はリビアかオルフェのどっちかだって。

そう内心でツッコム。今はまだいい。

いずれ、段々と俺は裏方に回るつもりだ。そして、最後は安全な村の中でのんびりと生活させてもらう。

楽しそうにしている魔物たちを横目に、俺は、改めて自分のステータスを確認する。

……やっぱり、あがっているな。

俺のステータスは、進化を始める前はすべて310程度だった。

まあ、俺にも得意不得意はあり、多少数字は前後しているのだが……今の俺のステータスは、力370、耐久力345、器用328、俊敏354、魔力412と跳ね上がっているのだ。

召喚士の力か、仲間が増えることで俺自身の強化にも繋がるようだな。

……つまり、仲間が増えれば増えるほど。

進化をすればするほど……俺の能力が上がっていくのだ。

こんな、楽にステータスを強化できるなんて。

いいことずくめだな。

「それじゃあ、今日の夕食は料理術を覚えた彼女にやってもらおうか。料理術を持っていると、普通の料理もうまくなるからな」

俺がワーウルフをちらと見る。

皆が期待するように夕食の場を整え始める。

……俺もワーウルフに料理を教えながら、一緒に鍋料理を作る。

野菜と肉を混ぜて完成だ。これだけ大人数だとやはり鍋が一番楽でいい。

味付けなどは料理術がなんとなく適量を教えてくれる。

……まあ、あくまで人間である俺にとっての適量だ。それでも、ゴブリンやワーウルフから苦情が出たことはないので、そこまで味覚は違わないようだった。

出来上がった鍋をゴブリンとワーウルフたちに振舞う。

「ああ、うめぇな!」

「クレストさんが作るときの料理がいつもよりうまく感じたのは、料理術が関係していたんだなぁ……」

「クレストさん、何でも出来るしすげぇな……」

皆がバクバクと食べていたとき、リビアが戻ってきた。

「すみません遅くなってしまって」

「……いや、別に大丈夫だ」

「ど、どうですか? 結構遠出して魔物を倒してきましたが……進化できそうですか?」

期待するような目を向けてくる。

……試しに彼女を見てみたが、

「まだみたいだな」

「……そうですか」

しゅん、と元気なく彼女は顔を俯かせた。

遅れて戻ってきたオルフェも、同じく進化できず、耳がぺたんとたれてしまった。