軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1話

あれから、数日が過ぎた。

ひとまずは、周囲で魔物を狩りながらのんびりと生活をしていた。

……正直言って、今のような生活を続けてもいいんだがな。

とはいえ、五月のガチャはもちろん五月しか回せない。

下界での生活を考えるなら、召喚士系スキルは高レベルにしておきたかった。

なので、新しい場所を探して移動することにした。

目指すはさらに北だ。

今の拠点にはもう戻ってこないかもしれない。

種など、必要なものだけを持ち、俺は森を北へと進んでいく。

「ルフナ、どうだ?」

「ガウ!」

……周囲に魔物はいないようだ。

ルフナの鼻は随分と探知能力が高い。俺もスキルで探知系スキルは持っているが、役割分担できるならこのほうが楽だ。

しばらく魔物をかわしながら移動していく。

もう、この辺りの魔物は倒したからな。ポイントの回収は終わっているので、無理に戦う必要もない。

そんな風に考えていたときだった。ルフナが足を止めた。

「……ガルル」

魔物が近くにいるようだ。

ルフナが唸ったのに合わせ、俺は感知術を発動する。

……周囲に魔物は――いた。

ん? なんだこの魔力は。

いつもと少し違う感覚だった。発見はしたのだが、魔物ではなかった。

……いや、魔物なのか? ……よく分からない。一度、見てみる必要があった。

「ゴブリア、ルフナは周囲の警戒を。ゴブリア、荷物を頼む」

「ゴブ!」

俺は背負っていたリュックサックをゴブリアに渡し、それから音を消して移動した。

……そして、感知術の反応があった方へと走り、木の裏に身を顰め様子をうかがう。

……と、いたいた。

二種類の魔物がいた。

一体は、大きなカニだ。もう一体はゴブリン、だ。

「か、囲め! こ、こら逃げるな!」

「わ、わかっているけど……ゴブー!」

……会話しているのは、ゴブリンたちだ。

人間の言葉を使っているのにも驚いたが、ゴブリンたちは連携して狩りをしている様子だった。

……感知術を改めて発動する。

俺の感知術を地図に書き起こすと、魔物は赤く表示される。

俺や、俺の管理下にいる魔物は青色の点で表示されるのだ。

……だが、あのゴブリンたちはそのどちらでもない緑色だった。

……現時点では、敵ではない、ということなのだろうか?

よくわからないな。

そう思っていると、カニ――ジャイアントシザースがその大きなハサミを振り下ろし、ゴブリンの一体を吹き飛ばした。

……かなり、ジャイアントシザースは強いようだ。

倒れたゴブリンを見て、俺は助けることに決めた。

……せっかく、知性ある魔物なんだしな。

「ゴブリン、俺の言葉が分かるか?」

俺がすっと現れ、声をかける。と、ゴブリンたちが驚いたようにこちらを見た。

「に、人間!? ど、どうしてここに!?」

……感知術を使うと、六体いたゴブリンのうち、一体を除いて俺を睨みつけてきた。

……その瞬間、地図に表示されていた緑色が赤に変わる。

……なるほどな。

まだ、緑色だったゴブリンに視線を向け、ポーションを投げ渡した。

「魔物に効くかどうかは分からないが、ポーションだ。ゴブリンの傷を治してやれ」

「……」

「に、人間の薬なんて毒が入っているに決まっている!」

ゴブリンたちが何か言っているが、俺は無視してジャイアントシザースへと跳びかかる。

ハサミが振りぬかれる。

それをかわしながら、剣を振る。俺の羊牙剣に付与された破壊術の効果か、ジャイアントシザースのハサミが砕けた。

「ギャン!?」

思っていた以上にスキルの効果が強いようだ。

俺は剣を引き戻し、ジャイアントシザースの手首へと剣を振りぬく。一瞬の抵抗があったが、剣はやすやすとそのハサミを切り落とした。

よろめいたジャイアントシザースへと、俺は一気に肉薄し剣を振り下ろした。

「ぎゃ、ギャン……っ」

ジャイアントシザースはその場で崩れ落ちた。……目から光が消えたのを確認して、俺は剣を鞘にしまった。

……カニ、か。今日はカニ鍋にでもしようか?

この辺りには色々な作物もあるようだし、カニと一緒に茹でたらさぞおいしいことだろう。

なんて夕食に想いを馳せていると、ゴブリンたちがこちらへとやってきた。

六体のゴブリンのうち、一体が俺をじっと見ていた。

……他のゴブリンよりも顔つきがどこか凛々しい。ちらと見た感じ、オス3、メス3といったところか。

「助けてくれて、ありがとう……」

すっと、俺がポーションを渡したゴブリンが頭を下げて来た。

……彼がこのパーティーのリーダーと言ったところか。

片目の部分に縦に走った傷を持ったゴブリンだ。

「まあ、別に気にするな」

「……いや、感謝させてくれ。オレたちのリーダーが怪我をしてしまって、普段慣れていない者たちで狩りをした結果が、これなんだ」

「……そう、か。まあ、気をつけてな」

「そ、そこでなんだが!」

ゴブリンがすっと俺のほうに近づき、頭を下げてきた。

「た、頼む! オレたちに狩りを教えてほしい!」

「……」

じっと俺はゴブリンたちを見る。

男に合わせ、ゴブリンたちもすっと頭をさげてきた。

……こう素直にたのまれると、ことわりにくいな。

「俺は今、生活の拠点を探しているんだ。……この辺りで生活できる場所はあるか?」

「オレたちの村がある。三十名ほどのゴブリンがいて、家とかもあるんだ」

「……そう、か。それなら、そこで数日過ごさせてくれないか? それなら、狩りの仕方も教える」

「ほ、本当か!?」

目を輝かせるゴブリン。俺が頷くと、彼らは嬉しそうに小躍りした。

……子どもみたいなやつらだな。

俺はそんなことを思いながら、苦笑していた。