軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第6話

オーガたちが拠点にしていた地点までやって来た。

戦闘の傷跡はそのままだ。特にここに移り住むという話も上がってはいない。

現状、あの村で十分だしな。

設備に関して言えば、ヴァンパイア、ゴーレム、ドリアードたちのおかげでかなり向上しているし。

「……下界というのは凄い場所ですわね。わたくしが聞いていた話とは随分と違いますわ」

「そうなのですか?」

「ええ。言い方は少し気になる部分もあるかと思いますが、人が暮らすには適さない場所と言われていましたわ。ですが、この拠点を見てみても、そこらの人間の街よりもよっぽど優れていると思いますわ」

エリスの発言は、決して言い過ぎということはない。

さすがに主要な街と比較すれば見劣りはするだろうけど、地方の田舎であれば恐らくこのオーガの拠点のほうが立派だ。

というのも、地方の田舎ともなると、外壁などはないため、危険が多い。

夜に村内で魔物に襲われるとか、畑などの作物が食い荒らされるなんてのはよくあることみたいだしな。

「そうなのですね。ちなみに、こちらにはオーガが住んでいて、クレスト様が倒してくださいました」

「村にいる間に、簡単に聞きましたわ。ここまで、色々あったみたいですわね」

エリスの視線がこちらへ向けられた。

その羨望の含んだ視線に、俺は少し居心地が悪い。

「まあ、な。上界にいたときに比べれば、俺もかなり成長したよ」

だから、力で脅そうとしても無駄だ。

そんな意味を含めての言葉だったのだが。

エリスの笑顔はますます深まるばかりだ。

「クレスト、とても凄いのですわね。村の亜人たちも、皆クレストのことを立派な首領だと話していましたわ、ふふ」

そう素直に褒められるのは、やはり慣れない。

エリスに何かがとりついている、と言われたほうがしっくり来てしまうほどだ。

「クレスト?」

「ああ、いや……何でもない。魔物が近づいているみたいだ、準備してくれ」

俺は感知術を常に発動しているので、魔物の接近にも気づきやすい。オルフェたちなら、臭いで分かるのだろうけど。

俺の言葉に、エリスは驚いたように目をぱちくりとしていた。

「クレストは魔物の接近が分かりますの?」

「ああ、一応な」

「……凄いですわね。わたくしは、朧げに魔力の動きを察することくらいしかできませんのよ?」

「それだけできれば十分なんじゃないか?」

「いえ、確定ではありませんし、不便すぎますわ。と、来たようですわね」

エリスが言うように、木々の茂みから魔物が姿を見せた。

……魔物は、ゴリラのような魔物だ。

ただ、腕が四本あり、その顔はとても凶悪だ。

「キングコングですね。目的の新種です」

「新種、というのは……魔物たちが進化しているということですの?」

「えーと……クレスト様、なんと説明しましょうか」

エリスが首を傾げている中、俺はポリポリと頬をかいた。

ガチャのスキルについてどのくらい説明するか迷っていたので、回答に時間がかかっていると、

「があああ!」

ずっと、無視されていたからだろう。

キングコングが怒ったようにドラミングを始めた。

衝撃を感じるほどのドラミングの後、キングコングはこちらへと殴りかかってきた。

それに合わせ、俺は魔法を放った。

風魔法だ。

吹き荒れる風が、キングコングを押し戻す。

「……魔法。それもかなりの技術ですわね」

エリスがぽつりと呟くような声が耳を撫でる。

とりあえず、キングコングが邪魔だな。

キングコングが体勢を戻し、俺を睨みつけてきた。

その視線を、退けるように睨みつけ、威圧する。

殺気をぶつけるように睨むと、キングコングはびくりと肩を跳ね上げた。

俺との力の差を理解したようだ。

慌てた様子で逃げ出したキングコングの背中へ、俺は一瞬で距離を詰め、剣を振り下ろした。

その体を両断した後、風魔法を放ち、血の臭いを周囲へとまき散らす。

これが餌になり、新たな魔物がやってくるだろう。

その周囲に、罠魔法を設置する。火魔法で焼いてもいいが、木々に燃え移るとそのまま火事に繋がってしまう。

水魔法と土魔法があるので、火を食い止めることはできるだろうが、余計な労力になるので罠魔法に入れる魔法は基本的に風だ。

鋭い風の刃を生み出す魔法で、踏みつけた魔物の足を奪える。

それから、建築術を使い、近くの木を加工して、椅子とテーブルを作る。

「とりあえず、座りながら話そうか」

「……く、クレスト? い、今のって全部……スキル、ですわよね?」

建築術と魔法。

それらを見せたからかエリスは驚いている。

「ああ。俺のガチャスキルは、魔物を倒して獲得したポイントで、スキルを手に入れられるんだ」

別に隠す必要はないよな。

そもそも、このスキルの効果は俺が上界にいるときにすでに全員に周知されていることだ。