軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第803話 思いがけず得た余暇の使い道

フギンとレイヴンが予定より一日早く帰郷し、午後は各自自由時間となったライト。

思いがけず得た半日の余暇に、何をしようか悩むライト。

一旦カタポレンの家の自室に戻り、ベッドでゴロ寝しながらマイページのチェックをする。

先程レオニス達の前では『夏休みの宿題の見返しと、二学期の準備をする』と言っておいたが、実際はそこら辺は既に万全に済ませていたライト。

半日分のフリータイムを他のことに活かす気満々である。

「ンー、転職神殿はこないだ行ったばかりだし、咆哮樹の枝もたくさん採ってきたからなぁ……今日はいいか」

「そしたら久しぶりに、クエストイベントを進めようかな!もし足りない素材があったら、素材集めに出かければいいし」

「よーし、そしたらまずはクエストイベントの再確認からだ!」

ライトはベッドから起き上がり、早速マイページを開いてイベントページ内のクエストイベントページをタップする。

すると、今現在の最新ページが浮かび上がった。

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★小人族の危機に備えよ act.7 【春暁の訪れ】を作ろう!★

〔春暁の訪れ 原材料〕

46.神樹の緑葉10個 報酬:1000万G 進捗度:0/10

47.マキシマスポーション1個 報酬:金糸雀色の香炉1個 進捗度:0/1

48.クラーケンの吸盤3個 報酬:150CP 進捗度:0/3

49.ギャラクシーエーテル1個 報酬:呂色の香炉1個 進捗度:0/1

50.無色のべたべた1個 報酬:200CP 進捗度:0/1

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目の前に浮かび上がったのは、クエストイベントの10ページ目。

夏休みの初めの頃に、念願の天空島に出かけたライト。その時に、天空神殿と雷光神殿がある島で、9ページ目最大の難関だった『閃光草の針葉』を入手することができた。

それにより、ようやく9ページ目をクリアして次の10ページ目に突入していた。

クエストイベントの10ページ目を眺めながら、ライトは感慨に浸る。

「はぁー、長かった……ここまで来るのにすんげー時間かかったなぁ……」

「ゲームなら、APさえあればサクサク進められる内容だったけど……今はリアルで学校に通う傍らだから、学校以外の時間で暇がある時に素材集めしなきゃならんもんなぁ……」

「ホンット、リアルの生活とイベントを並行して進めるのってキッツいわ」

はぁぁぁぁ……と深いため息をつくライト。

だが、苦労した分だけライトは様々なものを得てきた。

それは各種回復剤のレシピだったり、【遠心分離】や【詳細鑑定】などの未知の生産職スキルだったり、ナヌスやオーガなどの異種族との出会いだったり。

どれもライトにとっては得難い大事なものばかりだ。

労力に見合うだけの力を得てきたライト。

クエストイベントも10ページ目という節目を迎え、おそらくは残り僅かであろうことにライトは思いを馳せる。

「……でもまぁね、10ページ目ともなればそろそろこのイベントの完了も近いし。もしかしたら追加の延長戦とかあるかもしれないけど……とりあえず、10ページ目クリア目指して頑張ろうっと!」

クエストイベントの完遂を目指し、ライトは決意も新たに気合いを入れる。

そして、既に採取した各種素材をアイテムリュックから取り出し、それらをマイページのホログラム面に収納していく。

『神樹の緑葉』は、一番最初にユグドラツィからもらった枝についていた葉っぱを使う。

クエストのお題には『神樹の緑葉』としか書かれていないので、神樹ならばユグドラツィでもユグドラシアでも、どれでもOKなはずだ。

『クラーケンの吸盤』は、目覚めの湖の主イードにもらった吸盤を入れる。

イードがくれた約30cmの足肉から、吸盤を三つ切り取ってマイページのアイテム欄に収納する。

『無色のべたべた』は、スライム飼育場で購入した『無色のべたべたの極み』を小さじ一杯分ボウルに入れて、ポーション瓶一本分の水で溶いてよく練り上げる。

十分に溶けて粘りが強くなってきたらOK。今回は無色だけに、パッと見は水飴にそっくりである。

マキシマスポーションとギャラクシーエーテルも、材料は全て揃えてあるのでちゃちゃっと作成する。

マキシマスポーションにはオーガの里で譲ってもらった『鬼人族の秘酒』、ギャラクシーエーテルにはナヌスの里で譲ってもらった『小人族の丸薬』が材料として要求されている。

オーガの里で作る酒五種は、アイテム欄に入れると『一級品』『特級品』『薬草酒』等々全部種類が違ったが、ナヌスの里で作る丸薬も全部種類が違う。

『小人族の丸薬・解毒』『小人族の丸薬・酔い覚まし』『小人族の丸薬・解熱』などがあり、ライトが求める『小人族の丸薬』の無印品はどうやらナヌスの間で体力回復に使われる丸薬らしい。

今度ナヌスで丸薬作りを担う元気なお姉さん方に、体力回復用の丸薬をたくさん作って譲ってもらえるようにお願いしよっと……などと考えながら、【遠心分離】で二種類の回復剤を作っていくライト。

そうして出来上がった品を、アイテム欄に入れていく。

マキシマスポーションは、金粉入りのようなキラキラとした黄金色の液体で、ギャラクシーエーテルは美しい紺青色だった。

こうして全てのお題の進捗度を満了にし、クエスト達成の報酬を全て受取済にしていくライト。

報酬を受け取った後は、最後の仕上げである石化解除アイテム『春暁の訪れ』の作成に取り掛かる。

全ての材料を【遠心分離】の器に入れて、スキルを発動させる。

数秒後には薄茶色の液体が出来上がった。それは、色だけ見たらまるで焙じ茶のようだ。

ポーションの空き瓶に薄茶色の液体を入れて、アイテム欄に収納する。

アイテム欄には『春暁の訪れ 1個』という項目が新たに出現し、薄茶色の液体が間違いなく春暁の訪れであることが証明された。

「はい!春暁の訪れの、完成でーーーッす!!」

「これで10ページ目も完全クリアだーーー!!」

「万歳ー!万歳ー!バンジャーーーイ!!」

両手を垂直に高々と上げて、万歳三唱しながら『春暁の訪れ』の完成を喜ぶライト。その眦にはうっすらと涙が滲む。

ライトがこのクエストイベントを開始したのが、昨年の十一月初旬。今から九ヶ月前のことである。

つまりはここまで来るのに九ヶ月もかかったということであり、それまでの様々な苦労が改めてライトの中で蘇る。

「はぁーーー……やっぱクエストイベントのボリュームは半端ないな……次はもうちょっと楽なイベントにしよう」

ライトは独りごちながら、目尻に浮かぶ涙を人差し指で拭う。

そして『完了』のマークが出たクエストイベントの画面をふと眺める。

次の瞬間、ライトの目にとんでもないものが飛び込んできた。

「………………!?!?!?」

イベントクリアの感涙を拭ったライトの目に飛び込んできた、とんでもないもの―――それは、次のページが出現したことを現す▶マークだった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「……え、嘘。ちょ、待、まだ先があんの? もしかして……エクストラページがあんの!?」

ライトは愕然としながらクエストイベントページを凝視する。

BCOでのクエストイベントは何度か経験したことがあるが、大抵はお題50個の10ページで完了していた。

だが、何事にも例外があるように、このクエストイベントも10ページでは終わらないことが稀にあった。

それは、10ページ目が終わった先にも『エクストラ』と銘打ったページが追加される、というものだ。

例えて言うなら、コンサートやライブのアンコールのようなものである。

ライトが先程呟いていた『もしかしたら追加の延長戦とかあるかもしれないけど……』と言っていたのは、この『エクストラページがあるかもしれない』という懸念だったのだ。

決してフラグを立てたつもりはなかったのだが、その懸念が見事的中してしまったライト。思わず頭を抱えながら天を仰ぐ。

「ぐああああッ!エクストラページがあんのかーーーッ!」

仰け反った勢いで、後ろにあるベッドに倒れ込んだライト。

そのままゴロゴロと左右に転がり悶絶している。

何故ライトがそこまで悶絶するのか。それはひとえにエクストラページの難易度にあった。

このエクストラページは、本編であるクエスト50個のさらに先という位置付けからも分かるように、何しろ難易度が高い。

本編の9ページ目や10ページ目すら難易度激高だったというのに、さらにそれよりも難易度が上がるのだ。ライトが悶絶するのも無理からぬことだった。

だが、難易度が高いということは、それに応じた報酬が出るのもまた事実。これまでの報酬を考えれば、それよりももっと良い報酬が得られる可能性大だ。

それに、新たなクエストを突きつけられて尻尾を巻いて逃げるようなライトではない。

ベッドの上をゴロゴロと五回ほど往復したライト、ある瞬間にピタッと止まった。

「くッそー……こうなったら、行きつくところまで全部クリアしてやる!」

「見てろよ、運営め!絶対に、絶対にやってやるからなぁぁぁぁ!!」

ベッドから勢いよく起き上がったライト。天高く掲げた拳にグッと力を込めて握りしめながら、高らかに宣言する。

その姿はまるで、どこぞの覇王もしくは拳王を彷彿とさせる世紀末的オーラを感じさせる。新たなクエストページの出現に、ライトのゲーマー魂に火がついたようだ。

創造神(うんえい) から叩きつけられた挑戦状に、受けて立つ気満々なライトは、燃え滾る勢いのまま新たに現れた▶マークをタップした。