軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第646話 それぞれの休息日

天空島の旅から二日後。

この日も休暇で各自自由行動可となっている。

というのも、翌日からライトとレオニスはエリトナ山の遠征に出かける予定なので、そのための支度や準備を兼ねてのんびり休息を取ることになっているのだ。

レオニスは魔術師ギルドに向かい、売店で退魔の聖水を何本か購入したり、ピースから追加の浄化魔法の呪符百枚を受け取りに出かけている。

ラウルはラグナロッツァの屋敷のガラス温室で、早速植物魔法を使った野菜の育成実験をしている。

ラグナロッツァの街にはカタポレンの森のような魔力の無限供給はないので、ポーションエーテル混合水をたっぷり与えた後に、ラウルが会得した植物魔法をかける。そうすると、回復剤の効果で良い具合に育つようだ。

ちなみにラウルはエリトナ山の遠征にはついて行かないので、ライトとレオニスが不在の間は植物魔法の実践やマカロン作りに励む予定らしい。

余談ではあるが、マカロン補充のための材料費はレオニスが全て持つことになった。

何故かというと、今回消えたマカロンは全てドライアド達の餌付け?に使われたからだ。

ドライアドの加護を獲得するために、ほぼ全てのマカロンを費やしたラウル。その甲斐あってラウルが植物魔法を会得でき、これからますます美味しい野菜や穀物が作れるようになった。

それらの美味しい食材の恩恵は、主にライトやレオニス、オーガ族が受けられるのだ。

だから、マカロンの材料費を半分持ってくれ!とラウルに交渉を持ちかけられたレオニス。

しゃあないなぁ……と言いつつ全額持つことにするあたり、レオニスの心根の優しさが伺えるというものだ。

そしてライトはライトで、素材集めに勤しんでいた。

午前中は近場のカタポレンの森の中を回り、早めに昼食を済ませるライト。午後は少し遠出して、北レンドルー地方などに足を伸ばして魔物狩りに励む。

魔物狩りは職業習熟度を上げる作業にもなるので、SP回復剤であるエネルギードリンクを片手にガンガン魔物を倒していく。

エネルギードリンクをくぴっ、と一口飲んではまた手裏剣で獲物を仕留め、アイテムリュックに収納する。

どの場所も既に何度か素材集めをしたことがあるので、勝手知ったる何とやら、とばかりにサクサクとお目当ての素材を得ていく。

午後四時少し前にはカタポレンの家に帰宅して、外の解体場でサクッと魔物の解体を済ませておく。

解体後はグランドポーションとコズミックエーテルの材料を一個分の分量を取り分けて、それぞれ籠に入れる。

濃縮回復剤は、一個分を作るのに濃縮前の回復剤五個が必要だ。なので籠も十個分とかなり嵩張るが、ラウルが畑に作った四阿も活用させてもらっている。

レシピ作成の下拵えを済ませた後は、一回家の中に戻りひと風呂浴びて汗を流す。

夏の野外活動は、とにかく汗ですぐにベタベタになる。特に魔物狩りの時は、水分補給も兼ねて常時エネルギードリンクを飲んでいるので、アイギス特製マントの下に着ている普段着などすぐにびっしょりになってしまうのだ。

魔物の解体や材料の下拵えまではまだいいが、ベタベタの身体のままでレシピ作成の本番には挑めない。ここは汗を流してきれいサッパリ、気分一新で作業パフォーマンス向上である。

風呂から上がった頃には、外はもう夕方に差し掛かる。

日中の暑さも少し和らぎ、各種作業もしやすくなるというものだ。

とはいえ、晩御飯前には全ての作業を終えなければならない。明日からはまたレオニスとともに、エリトナ山の遠征に出かけるからだ。

家の外に出たライトは、早速解体場に向かう。

そしてマイページを開き、生産職スキル【遠心分離】を用いてグランドポーションとコズミックエーテルを五個づつ作成する。各五個分が用意できたら、間を置かずにその五個を再び【遠心分離】で余分な水分を取り除き、濃縮グランドポーションと濃縮コズミックエーテルを作成する。

ここら辺は既に何度もこなしてきた作業なので、すっかり手慣れたものだ。

「よし!濃縮二種できたぞ!」

出来上がったばかりの濃縮回復剤二種を、マイページのアイテム欄に入れていく。

こうすることで、クエストイベントの進捗カウントが進むのだ。

ちなみにこの濃縮回復剤二種、お題自体はその報酬欲しさに既にクリア済みである。

だが、その時に作った現物は今ライトの手元にはない。転職神殿にいるライトの使い魔、ミーナやエディにもしものことがあった場合のために、向こうの備品置き場であるバスケットに入れてミーアに預けてあるのだ。

今回ライトが新たに濃縮回復剤二種を作ったのは、クエストページの最後の締めである『深潭の微睡み』を作り上げるためである。

そうしてライトは満を持して、マイページのイベント欄を開いてクエストイベントの最新ページをチェックした。

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★小人族の危機に備えよ act.6 【深潭の微睡み】を作ろう!★

〔深潭の微睡み 原材料〕

【41.閃光草の針葉10個 報酬:500万G 進捗度:10/10】

【42.濃縮グランドポーション1個 報酬:マキシマスポーションレシピ 進捗度:1/1】

【43.氷蟹の甲羅3個 報酬:50CP 進捗度:3/3】

【44.濃縮コズミックエーテル1個 報酬:ギャラクシーエーテルレシピ 進捗度:1/1】

【45.青色のねばねば1個 報酬:100CP 進捗度:1/1】

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「ッしゃーーー!これで『深潭の微睡み』をレシピ作成する準備ができた!」

「後はこれを混ぜて『深潭の微睡み』を作成すれば、次のページに進める!」

クエストイベントの最新ページを見たライトは、全身でガッツポーズを取る。

ここまでくれば、クエストイベント9ページ目はもうクリアしたも同然である。

早速アイテム欄から該当材料をいそいそと取り出すライト。鼻歌交じりの超ご機嫌である。

一昨日天空島で採取してきた閃光草の針葉、先程の作業で作りたてほやほやの濃縮グランドポーションに濃縮コズミックエーテル、ラウルから譲ってもらった氷蟹の甲羅、そしてスライム飼育場の売店で購入しておいた青色のねばねば。

これらの材料を全て遠心分離の器に入れて、生産職スキル【遠心分離】を発動させた。

そうして数秒の後に器の中に出来上がった、二種類の液体。

一つは無色透明な液体で、もう一つは深緑色の美しい液体。もちろん後者がライトのお目当ての『深潭の微睡み』である。

ライトはポーションの空き瓶に全ての液体を吸い取り、アイテム欄に入れていく。

アイテム欄には『深潭の微睡み 1個』という項目が新たに出現し、深緑の液体が深潭の微睡みであることが証明された。

ライトは「ッしゃーーー!」という、本日二度目のガッツポーズを取りながら喜ぶ。

ちなみに無色透明の液体の方は、『超純水』という名のアイテムになる。いつも遠心分離で回復剤を作成する度に、必要成分以外の余分な水分が排除されるので、その都度この超純水が出るのだ。

これ自体はただの水なので、別にそのまま捨てても構わない物である。だが、そこは前世日本人のライト、こんなところでももったいない精神が働いてしまう。

ま、無害で普通に飲める水なら、いくらあっても無問題っしょ。俺にはアイテム欄収納の他にもアイテムリュックもあるから、収納も全く問題ないし。

それどころか、またいつかどこかで使い道が出てくるかもしれない。このBCO世界、いつ何時変なお題が出るか分からんからな!とっておけるもんは、全部確保しとかんと!

ライトはそんなことを思いながら、超純水もアイテム欄とアイテムリュックの双方に半分づつ仕舞い込んでいく。

そしてクエストイベントの最新ページに戻り、クエスト達成の報酬を全て受取済にしていった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「これでようやく……次のページに進める……」

「次は10ページ目だから、このクエストイベントもいよいよラストかな」

「……よし、クエストイベント完了まであと少し。頑張るぞ!」

ライトはしばし感無量となりながら、9ページ目右側に新しく現れた▶マークを眺める。

この▶マークを押せば、新たなクエストイベントページが出てくる。次のステップに移行できるのだ。

ライトは気を引き締めつつ、緊張の面持ちで▶マークをタップする。

ライトの瞳は、ずっと止まっていたクエストイベントを進めてクリアできた喜びに満ち溢れていた。