軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第465話 今後の予定

ラグーン学園春休み初日の土曜日。

ライトがラグーン学園に入学してから初めての春休み。その初日だけあって、朝からいつになく張り切るライト。

朝イチの魔石回収作業を早々に終え、まだひんやりと冷たい清涼な空気を感じながら少し遠出して近所の岩山まで足を伸ばしてみる。

この岩山の向こう側には暗黒の洞窟がある。

散歩がてら暗黒の洞窟に来たついでに、エネルギードリンク一本分の魔物狩りをこなしていくライト。

レシピ作成アイテムの原料が、この暗黒の洞窟の魔物由来のものも結構多いのだ。

魔物狩りでレシピアイテム原材料を確保しつつ、さらにはSPを500以上使うことで求道者光系四次職【神霊術師】の習熟度も上げられる。まさに一石二鳥である。

魔石回収と魔物狩りを終えた後、家に戻りひと風呂浴びて汗を流してから朝食作りを開始する。

レオニスも朝早くから森の警邏に出たようで、まだ帰ってきていない。

あー、そういえば今日の警邏はかなり遠い場所まで行くから戻るのは昼頃になる、とか昨夜言ってたな……とライトは思い出す。

昼までレオ兄帰ってこないなら、今のうちにまだ未解体の魔物の解体処理をちゃちゃっと済ませてしまおう!と考えたライト。

一人分の朝食をパパッと作って、ササッと食べ終える。

ライトは食器を片付けた後、早速家の裏手にある解体作業場に移動した。

グラスセンティピード、メドウウィング、暗黒茸、暗黒蘭、暗黒蜂、ブラックスライム、クイーンホーネット、極炎茸、レッドスライム、マンティコア等々。

これまでにレオニスの素材集めに同行して拾ったものや、こっそりと自分で狩った魔物が多数ある。それらを【解体新書】スキルと解体千本刀を用いて華麗な動きで捌いていく。

解体にかかる時間は、一体につき約三十秒から三分弱。構造が簡単な茸系からマンティコアなど複雑なものまで様々あり、かかる時間はそれぞれに異なってくる。

アイテムリュックから魔物を取り出したり、捌いた後の素材を都度マイページに収納したり等の作業を含めれば、一時間につき三十体捌けるかどうかといったところか。

とてもじゃないが、アイテムリュックに収納してある魔物全てを今日の午前中に捌ききることなどできない。

だが【解体新書】のスキルレベルはまだMAXに到達していないので、この機会にガンガン解体作業を進めていけばスキルレベルも上がり、より手早く短時間で解体できるようになるだろう。

「よーし、春休みのうちに解体スキルのレベルもMAXにするぞー!」

ライトは意欲的に魔物の解体をガンガン進めていった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

午前中をずっと解体作業に費やし、キリのいいところで切り上げて昼食の支度を始めるライト。

と言っても、ラウルに作ってもらった唐揚げやお好み焼きなどをアイテムリュックから出して、テーブルの上に並べるだけなのだが。

「ぼくもそろそろラウルに料理を教えてもらおうかなー。ラウルに作ってもらってばかりじゃ、いつか冒険者になって遠征とか出かけた時に困るし」

「野外で自炊できない冒険者とか、話になんないよね。料理ができればホワイトデーのお返しも自作スイーツ作って対応できるし!」

「…………あー、生産職コンテンツのスキルで『料理の達人』とか出てきてくれんかなぁ。勇者候補生だってさぁ、魔物と戦うだけじゃなくてサバイバルを生き抜く料理スキルも必須よ?」

昼食の支度をしながら、あれこれと独り言を呟くライト。

前半や半ばまではレオニスが聞いたら『おお、ライトは立派だな!さすがはグラン兄とレミ姉の子だ!』と手放しで大絶賛しそうだ。

だが最後の方の生産職スキル云々のぼやきは、ラウルが聞いたら『何ィ!? 料理をスキルに頼るだとぅ!?』と絶叫しながら憤慨もしくは卒倒しそうだ。

調理の全てをスキルに頼るとか、ラウルにとってはきっと邪道以外の何物でもあるまい。

そんなことをつらつらと考えていると、玄関から人の気配がしてきた。

どうやらレオニスが帰宅したようだ。

「ただいまー」

「レオ兄ちゃん、おかえりー!お昼ご飯の準備できてるよー!」

「おお、そりゃ助かる。ひとっ風呂浴びてすぐに着替えてくるわ」

「お風呂いってらっしゃーい」

帰宅早々汗を流しに風呂に向かうレオニス。

ライトの朝の魔石回収作業ですらそれなりに汗をかくのだ、午前中かけて往復する遠方への警邏ともなればかなり汗だくになるに違いない。

もうすぐ四月になり、だんだんと陽気も暖かくなってきている。これから洗濯物も増えるし、ラウルが使う洗浄魔法をぼくも覚えたいなー、と考えるライト。

そうこうしているうちに、レオニスが食堂に入ってきた。

頭をタオルでワシャワシャと拭きながら、席に座るレオニス。

そのタオルを首にかけてから合掌する。

「「いっただっきまーす」」

食事の挨拶をしてから昼食を食べ始めるライトとレオニス。

今から今後の予定、ライトの春休み中に何をするかの相談を開始する。

「レオ兄ちゃんはもうすぐまたラグナ教の調査に行くんでしょ? いつ行くか決まったの?」

「ああ、今度の火曜日に決まった」

「火曜日? 平日とか珍しいね」

「次に行くエンデアンは大規模な港湾都市だからな。春先になって貴族の観光旅行が増えたり、他国との貿易も盛んになって土日の混雑がかなりすごいんだと」

唐揚げをもしゃりながら、レオニスがラグナ教再調査の予定日について話していく。

「へー、そうなんだー。じゃあ土日を避けて平日にした方がいいんだねー」

「そゆこと。それに今はライトも春休み中だしな。お前のことだ、エンデアンにもいっしょに行きたい!とか絶対に言うだろ?」

「うん!!」

レオニスがライトの顔を見ながら、ニヤリと笑う。

これまでにレオニスが行った、二件のラグナ教再調査。ライトはその二件、プロステスとファングの両方に同行している。

もちろんライトがラグナ教支部の中に入ることはないが、その街を見て歩くだけでも十分に楽しいのだ。

そしてプロステスでは同級生の伯父が領主を務める領主邸に行く、ファングでは神樹の枝をワンドに加工するために職人に注文という、確たる目的がライトにもあった。

だがエンデアンに関してはそうした『ライトもレオニスとともに行く理由』は一切ない。

しかし、そうした理由などなくともライトならついてきたがるだろうことは、レオニスも理解していた。

「そしたらファングの時と同様、ラウルも誘え。港湾都市だから海産物も豊富なはずだ、ラウルなら大喜びでついてくるだろ」

「そうだね、そしたらレオ兄ちゃんがお仕事でラグナ教支部に行っている間、ぼくはラウルとエンデアンの街を散策してるね!」

「美味いもんあったら、俺も後で食えるように土産として買っといてくれよ? 俺にはエンデアンで買い物していく余裕とかないからな」

「もちろん!美味しいものいっぱい買って、レオ兄ちゃんにも食べさせてもらえるようにラウルにもちゃんと言っておくからね!」

エンデアン行きにはラウルも誘えと言うレオニス。

ファングの時と同様、ライトの護衛としてラウルを同行させろ、ということだ。

貿易が盛んで行き交う人も多い大都市を、小さな子供一人で歩かせる訳にはいかないのは他ならぬライト自身もよく分かっている。

それに、海に面した港湾都市ならば新鮮な海産物もさぞ豊富だろう。

カタポレンの森はもちろんのこと、首都ラグナロッツァも内陸部にあるのでライト達は新鮮な海産物とはあまり縁がない。

それは現代日本でいうところの『海なし県』と同義であり、海に対する憧れ、海産物への憧憬は人一倍強いものがあるのだ。

ライトやラウルもまた、そうした者の一人だった。

思えばライトがこのサイサクス世界に生まれてから、まだこの世界の海というものを一度も見たことがない。

目覚めの湖ならいつも行く場所だが、いくら広大でも湖は湖。やはり海とは別物なのだ。

サイサクス世界の海!新鮮な海産物!それらを想像するだけで、ライトのワクテカが止まらない。

港湾都市エンデアンに行く日が、今からもう楽しみで仕方がないライトだった。