軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1640話 使い魔の卵の孵化計画

南の天空島での使い魔の卵孵化を無事成功させたライト達。

次の卵を孵化させるべく、早速準備に取りかかり始めた。

「次は林檎でやるか」

「了解ー」

「サマエル、こっち来ーい。二個目の卵を孵化させるぞー」

『……ぬ? う、うむ、しばし待て』

初めて孵化した白妖狼を抱っこしながら、うっとりと頬ずりしていたサマエル。

レオニスの呼びかけに、慌てて顔を上げた。

『父上、しばしこの子を頼みます』

『うむ、任せよ』

抱っこしていた白妖狼を地面に降ろし、ラーデに後を託してレオニス達のもとに向かう。

ラウルが空間魔法陣を開き、二個目の茶色い卵を取り出してサマエルに渡した。

「次は林檎な。さーて、今度は一体何が生まれてくるか、楽しみだな!」

「ハドリーのように、小さめの精霊の類いだといいな」

「茶色い卵に果物をあげるのは、これが初めてだもんねー。どんな子が生まれるのか、ぼくもすっごく楽しみー!」

二個目の茶色い卵には、カタポレン産巨大林檎を与える予定だ。

実はライト達はこの南の天空島にくる前の日に、コテージで今日どのようにして茶色い卵の孵化を進めていくかを詳細に打ち合わせしていた。

その計画は、以下の通りである。

・昨日ハドリー達から譲り受けた茶色い卵は、全部で二十五個。

・まず六種類の食べ物を与えて様子を見る。

・与える食べ物は、大根とパイア肉とそれ以外の新種四つ。

・新しい食べ物の候補は、林檎、桃、苺、ペリュトン肉。

・孵化した種族をサマエルが気に入ったら、同種の餌で四個もしくは五個孵化させて複数の仲間を誕生させる。

・万が一あまり好みでない種族が生まれた場合は、ライト達が引き取って地上でいっしょに暮らす。

以上の計画をもとに、二個目の卵は林檎を与えることにしたのだ。

ラウルが空間魔法陣から巨大林檎を取り出し、次々とサマエルに渡す。

一個で人の頭一つ以上はある大きな林檎が、卵に触れた途端に瞬時に消えるのだからいつ見ても不思議なものだ。

しかも今回の林檎は、先程のパイア肉と異なり卵の大きさの変化がかなり遅い。

白妖狼の時は目に見えてぐんぐんと大きくなっていったのに対し、林檎の場合はじわじわと大きくなっていく感じだ。

それを周りで見ていたライト達が、小さな声で呟く。

「これ、ハドリーが生まれた時と似てるよね?」

「そうだな……やはり野菜や果物を与えると、肉食獣じゃなくて精霊のような小さな種族が生まれやすいのかもしれんな」

「……お、卵の殻に罅が入ったぞ」

ライト達がゴニョゴニョと話しているうちに、巨大林檎二十個目にして一筋の大きな罅が入った。

そこからさらに一個、二個と林檎を与えていく度に細かい亀裂がどんどん増えていく。

そうして二十五個目にして卵の殻が粉々に砕け、サマエルの手の中に黄色い花を頭に抱いた小さな精霊が現れた。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「これ……花の精霊、か?」

「頭に黄色い花がついているし、それっぽいが……何の精霊だ?」

「後でエルちゃんに聞いてみるか?」

「それが一番早いな」

サマエルの手のひらの上にちょこん、と座った精霊っぽい生き物。

初めて見る生き物を前に、ライト達が繁繁と眺め観察している。

ちなみに当のサマエルは、今のラーデより一回り小さな精霊に『……ぉぉぉ……』と感嘆の声を漏らすばかりである。

そしてライトはというと、この花の精霊に見覚えがあった。

『これ、 唐種招霊(カラタネオガタマ) だよな? 確かそういう名前のぬいぐるみっぽいアクセサリーが、何かのイベントで入手できた、気がする』

『BCOではアクセサリーとして身につける装備品扱いだったけど、このサイサクス世界では使い魔で登場するのか。意外っちゃ意外だけど、唐種招霊って黄色い花をつけてるから精霊としてもイケるよな!』

ライトがBCOの記憶を辿りつつそんなことを考えていると、レオニスがパン!と軽く手を叩いた。

「よし、そしたら次は桃だな!」

「林檎でこれだから、桃も精霊っぽい生き物が出てくるかもしれんな。ほれ、サマエル、三個目の卵の孵化を始めるぞ」

『……ン? う、うむ……』

早々に三個目の卵の孵化に取りかかる気満々のレオニス達に、サマエルが微妙な顔をしている。

その顔は『もうちょいこの感激に浸らせてくれてもよかろうに……せっかちな人族め』という文句が浮かんでいるような気がするが。それは多分気のせいではない。

しかし、レオニス達が悠長にしていられないのも当然といえば当然。

何しろこの後まだ二十個以上の卵を孵化させなければならないのだから。

それに、この卵から生まれた種族が何であるか、今すぐに分かるものではない。

花の精霊っぽいことからユグドラエルに聞けば分かるだろうが、レオニス達はまだ神樹達と直接会話するには至っていない。

神樹達もこの場面を分体入りアクセサリーを通して見ているはずだが、直接会話できない以上は後ほど聞くしかない。

故に細かいことは後回し&とにかく孵化作業をじゃんじゃか進めよう!という訳である。

そうしてライト達は、南の天空島のド真ん中で使い魔の卵の孵化を推し進めていった。