作品タイトル不明
第1514話 友情の証
フラムのためのバースデーケーキ、クロカンブッシュをあっという間に平らげたライト達。
ひとまず飲み物のカップだけを残し、取り皿やクロカンブッシュが乗っていた大皿をラウルの空間魔法陣に仕舞い込んで片付けた。
「さて、そしたら次はフラムに贈る誕生日プレゼントだな。皆、用意しとけよー」
「「はーい!」」
「おう」
レオニスの呼びかけに、ライト達がいそいそと準備を始める。
今回フラムの誕生日を祝うにあたり、各自それぞれにプレゼントを用意していた。
ライトはアイテムリュックをガサゴソと漁り、ラウルとマキシは空間魔法陣を開いて何かを取り出した。
そして一番真っ先に名乗りを上げたのは、ライトだった。
「はいはーい!ぼくが一番乗りねー!」
右手を高く上げながら、すくっ!と席から立ち上がるライト。
左手に持ったものをフラムに見せた。
「これはね、前に炎の女王様からいただいた【炎の乙女の雫】で作ったアクセサリーだよ」
『うわぁ……綺麗な飾りだね……』
アクセサリーを見て、フラムが目をキラキラに輝かせている。
ライトが作ったのは【炎の乙女の雫】を用いたペンダントトップ。
金属製のワイヤーで雫を器用に編み込み、ペンダントの飾りとして身につけられるようにしたのだ。
「でね、これをフラムの首に掛けるか、あるいはどっちかの足につけるか迷ってるんだけど……フラムはどっちがいい?」
『ンーとねぇ……足!足をオシャレにしたい!』
「分かった、足ね!」
フラムのリクエストを聞いたライト、アイテムリュックから金色のチェーンと各種工具を取り出した。
フラムの右足にチェーンを巻きつけ、適度な長さにカットした後引き輪やアジャスターを素早く取付けて整えていく。
そのあまりの器用さに、レオニスとラウルは「おお……すげーなぁ」と感心し、マキシまでもが「ライト君、すごい……」と感嘆している。
そうして出来上がったアンクレット?を、ライトがフラムの足に着けた。
「さ、これで出来上がりだよ!一応ゆったりめに仕上げたけど、フラム、キツいとかはない?」
『うん、大丈夫!』
『おお……妾の雫がフラム様の御身を飾るとは……何という光栄か』
フラムの右足にキラリと輝く【炎の乙女の雫】を見て、炎の女王が感極まっている。
ちなみにこの雫は、炎の女王の手のひらで生み出された方の雫を用いている。
『何だかすっごく力が湧いてきた!』
「そりゃそうさ、だってこれは炎の女王様からもらった雫だもん。炎の女王様がフラムを守ってくれてるんだよ」
『だよね!炎の女王ちゃん、ありがとう!』
『そんな、そんな……もったいないお言葉にございますぅ……』
【炎の乙女の雫】のアンクレットを身に着けたフラムが、己の身の内から湧き出る新たな力を感じ取っている。
それは決してフラムの気のせいなどではない。
属性の女王達が生み出す雫とは、魔石をはるかに上回る魔力の塊のようなもの。
その雫を身に着けるということは、それ即ち炎の女王の魔力がフラムに新たな力を与えているのだ。
フラムはライトのプレゼントと新たな力に大いに喜び、炎の女王は炎の女王で自分の雫がフラムの役に立てたことに感激している。
感涙に噎ぶ炎の女王。その眦からほろり……と溢れた新たな雫は、後でライトがちゃっかり回収していた。
「フラム、素敵なアクセサリーをもらえて良かったなぁ」
『うん!ありがとう!』
「さ、そしたら次は誰だ?」
「あ、じゃあ二番手は僕がいきます!」
レオニスの呼びかけに、つぎはマキシが立候補した。
マキシがもじもじしながらフラムに近づいていく。
「僕は、フラム君とは今日初めて会ったばかりですが……僕からも、フラム君へ誕生日プレゼントを贈らせてもらっていいですか?」
『もちろんだよ!てゆか、ボクの方こそもらうばかりでいいの?』
「もちろんです!僕からしたら、フラム君は憧れの神様です!是非とも受け取ってください!」
『うん!』
マキシの熱意にフラムが嬉しそうに頷く。
そうしてマキシがフラムに差し出したのは、ルビーがついたリボンだった。
「朱雀様へのプレゼントということで、身体のどこかに結びつけられるリボンにしたんですが……」
『これも、首か足に着けられるの? だったら足がいいな!ライト君のプレゼントとお揃いみたいで嬉しい!』
「……そうですね!そしたら左足のほうに着けましょう!」
赤いベルベットのリボンの中央に、ベルトのバックルのような形で大粒のルビーが縫い付けられている。
マキシはフラムの身体の大きさが分からなかったので、とりあえず長めのリボンにしたのだが。ライトですら想定外だった急成長ぶりで、チョーカー風に首周りに結ぶのはキツそうだ。
となると、一番手軽に結べるのは足。
先程ライトが右足にアンクレットを着けたので、マキシのリボンは左足に着けることになった。
マキシがフラムに近づき、左足にルビー付きリボンを結びつけた。
足の後ろの方で蝶々結びにして、足の前にルビーがくるようにマキシが調整している。
その間に、マキシがこのリボンに関する解説を話し始めた。
「このルビーは魔法石といって、ルビーにカタポレンの森の魔力を貯め込んだものです。ライト君が使った【炎の乙女の雫】程ではないと思いますが、このルビーにもかなり良質な魔力が蓄えられているんですよ」
『うん……左足の方からも、ものすごい力が湧き出ているのが分かるよ』
「あと、このリボンはレオニスさんに耐火耐熱魔法を付与してもらってるから、この炎の洞窟の中でも絶対に燃え尽きることはありません。だから安心して身に着けていてくださいね」
『ホント!? ありがとう!』
マキシの様々な解説に、フラムが感嘆したり喜んだりしている。
【炎帝】の二つ名を持つ 朱雀(フラム) の身体に着けるものなのだから、そう簡単に燃え尽きるようでは話にならない。
その難題をクリアするのが、耐火耐熱魔法の付与。
そこら辺もマキシはちゃんと理解していて、レオニスにその付与を依頼していた。
ちなみにこの依頼に対するレオニスへの報酬は、マキシの羽根。
八咫烏の羽根はラッキーアイテムというだけでなく、護身用の装飾品にも使える優秀な素材なのだ。
右足には【炎の乙女の雫】のアンクレット、左足にはルビーの魔法石のついたリボン。
左右非対称ではあるが、どちらも強力な魔力を持つアクセサリーだ。
そして何よりフラムには、生みの親の一人であるライトと新しい友達のマキシからプレゼントしてもらえたことが何より嬉しかった。
『炎の女王ちゃん、見て見て!カッコいいでしょ!』
『ええ!どちらもフラム様にとても相応しゅうございます!』
『ライト君、マキシ君、本当にありがとう!君達からもらった素敵な贈り物は、友情の証として一生大事にするよ!』
「フラムにこんなに喜んでもらえてよかったよ。ね、マキシ君!」
「はい!僕も今日というこの素晴らしい日を一生忘れません!今日はフラム君の誕生日であると同時に、フラム君と僕が友達になれた記念日です!」
フラムが宙に浮き、ライト達がいるテーブルの上の方で嬉しそうにクルクルと飛び回っている。足元のアシンメトリーなお洒落を、ここにいる全員に見せびらかしたいのだ。
大はしゃぎで飛び回る姿は、フラムが本当に心の底からライト達のプレゼントを喜んでいることが窺える。
そしてそんな大はしゃぎのフラムを見つめ褒め称える炎の女王は、いつにも増して超ご機嫌だ。
フラムがこのサイサクス世界に降臨してから早一年。
BCOではレイドボスだった朱雀と、こうして仲良く交流できることが何より嬉しいライトだった。