軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1510話 プロステス郊外での魔物狩り

ウォーベック侯爵邸を出て、プロステス郊外に移動したライト達。

街の外壁が見えなくなった頃から、狼型魔物のブラッドジャッカル、イモ虫型魔物のヘルワーム、ゴーレムの一種ロックゴーレムなどがライト達目がけて襲いかかってきた。

ライト達、もといラウルのお目当ては人食いパイアだが、選り好みはしていられないので襲いかかってきた魔物は全て狩り倒す。

ちなみにイモ虫型魔物のヘルワームは、ビッグワームの亜種=色違いのコピペモンスターだ。

そのため、レオニスが一度鷲獅子騎士団にヘルワームを持ち込んでみたことがある。

というのも、『ビッグワームで『ビッグワームの素』が作れるんだから、ビッグワームにそっくりなヘルワームでも似たようなもんが作れるんじゃね?』と考えたからだ。

しかし、結果から言うと当初はあまり芳しいものではなかった。

いや、ヘルワームでもビッグワームの素を作る製法を用いて同じようなものを作ることはできた。言ってみればそれは『ヘルワームの素』といったところか。

だが、肝心の鷲獅子達の食いつきが今一つだったのだ。

ビッグワームの素なら常に美味しそうに食べるのに、ヘルワームの素だと怪訝そうな顔でもくもくと食べる鷲獅子達。

『ンー……何かいつものと違う?』

『食べられんこともないけど、いつものと比べるとあまり美味しくなーい……』

ヘルワームの素を食べた相棒は、皆押し並べてそんな複雑な表情だった……と鷲獅子騎士達が口を揃えて証言した。

ビッグワームとヘルワーム、見た目はそっくりでも味は全く違う!ということなのだろうか。

レオニス達人族は、余程の飢饉でもなければイモ虫型魔物を食べないため、そこら辺の違いは分からないし確かめようもない。

だが、それを食する鷲獅子達が美味しくないと言うのならば、無理に食べさせることはできない。それが原因で鷲獅子達のモチベーションが下がるのは、非常によろしくないからだ。

そのため、ヘルワームの素作りは中止されるかに思われた。

しかし、後日このヘルワームの素をダメ元でコルルカ高原の演習時に持ち込んでみたところ、金鷲獅子のアウルムや野生の鷲獅子達にはかなり好評だったという。

アウルム曰く『多少癖はあるが、これはこれで味わいがあって美味い』『むしろこの癖が得も言われぬ風味となっていて、病みつきになりそうだ』とのこと。

アウルム以外の野生の鷲獅子達も、ビッグワームの素と同じくらいの勢いでヘルワームの素を喜んで食べていたらしい。

この思わぬ結果を受けて、鷲獅子騎士団団長のアルフォンソが「レオニス卿!是非ともこのヘルワームを鷲獅子騎士団に卸していただきたい!」と持ちかけた。

いつものビッグワームは自分達の鷲獅子に与えて、コルルカ高原の鷲獅子達にはヘルワームを手土産にしたい、と考えたようだ。

味的に問題がなければ、それぞれ用途を使い分けるのは大いにアリだ。

そしてレオニスとの協議の結果『生のヘルワーム十匹につき、ビッグワームの素一個と交換』という新たな契約が結ばれた。

内容的にはヘルワームと同数のビッグワームとの交換で、一見鷲獅子騎士団側に有利に思えるが実はそんなことはない。

ビッグワームの素の製法は門外不出の秘伝であり、部外者のレオニスには決して教えてもらえない。

現状では魔石との物々交換でしか得られないビッグワームの素が、ヘルワーム十匹でも得られる。これはレオニスにとっても十分に利益になることだった。

そうした新たな事情もあり、プロステスでの魔物狩りに精を出すライト達。

レオニスとラウルがヘルワームやブラッドジャッカル、ロックゴーレムや人食いパイアをバッタバッタと倒していく後ろで、ライトとマキシが手分けして魔物の死骸を拾い集めていく。

ライトは人食いパイアとヘルワームを拾い、マキシはブラッドジャッカルとロックゴーレムを拾っている。

これは、ライトのアイテムリュックには『そのまま家に持ち帰って、後でレオニスとラウルに渡す魔物』、マキシの空間魔法陣には『冒険者ギルドに素材として売り渡す魔物』という区分を設けたためだ。

「つーか、今日もやけに魔物が多いな、何でだ?」

「そうなのか? ま、人喰いパイアを狩りたい俺にしたらありがたいことだがな。それに、この程度の量ならスタンピードには至らんのだろう?」

「そりゃそうなんだが……」

「お、あっちに人喰いパイアが出たぞ。ご主人様よ、トドメ担当頼んだぞ」

「ぉ、ぉぅ、任せとけ」

今日も雑魚魔物の出現頻度が高いことに、レオニスが首を捻りながら不思議がっている。

これはひとえに 勇者候補生(ライト) が近くにいるせいなのだが。レオニスはヘルワームを、ラウルは人食いパイアを欲しているので、魔物の出現頻度が上がるのはむしろ恩恵となっていた。

そうしてライト達はプロステス郊外を順調に進んでいき、炎の洞窟入口に辿り着いた。

ここで一旦休憩を取るため、レオニスが魔物除けの呪符を用いた後四人で地べたに座った。

「ふぅー……人食いパイアとヘルワーム、結構な数が狩れたねー」

「ああ、ヘルワームは百匹くらい狩れたか。近いうちに鷲獅子騎士団に引き渡ししないとな」

「ラウルのお目当ての人食いパイアも、たくさん狩れて良かったね!」

「おかげさまでな。五十頭もありゃ当分はパイア肉を買わずに済みそうだ」

それぞれエクスポーションやハイエーテルを飲みながら、雑談に花を咲かせるライト達。

人食いパイアは平均体重500kgとされている。

肉の可食部が体重の半分として250kg、その五十頭分というと12.5トン分にもなる。

普通の人族や妖精だけなら、一生かかっても食べ切れない量だ。

しかし、この量ですらラウルにとっては『当分買わずに済む』という程度。何故ならその半分くらいはオーガ族に渡るからだ。

パイア肉はオーガの里での料理教室の他、オーガ族秘伝の酒などとの物々交換にも消費される。

また、骨は煮出して出汁にし、皮や牙は素材として冒険者ギルドに売却でき、なおかつ冒険者としての貢献度稼ぎにもなる。

料理好きで現役冒険者でもあるラウルにとって、人食いパイアはまさに一石四鳥の理想の食材なのである。

そうして二十五分程休んだところで、炎の洞窟に入るべくライト達は立ち上がった。

「さて、そろそろ炎の洞窟に入るか」

「はーい!」

「今回は炎の洞窟内部でも魔物狩りをするからな。どれも俺達の敵じゃないが、それでも皆油断はするなよ」

「了解」

「ライトはマンティコアとレッドスライムの核集め、マキシはクイーンホーネットと極炎茸の収集な」

「はい!任せてください!」

レオニスが適宜出す指示に、ライト達も頷きつつ従う。

今回はレオニスの『ピースにマンティコア狩りを頼まれた』という理由により、炎の洞窟の中でも魔物狩りをしていく予定だ。

ピースには、いつも浄化魔法の最上級呪符『究極』を大量に描いてもらっている。

そしてマンティコアは魔術師が呪符を描く際に使用する筆の材料であるため、これを狩ってピースに届けることはレオニスにとっても重要な任務なのである。

「じゃ、今から洞窟に入るぞ。気を引き締めていくぞ」

レオニスの掛け声に、ライト達も真剣な面持ちでコクリ、と頷く。

そうして四人は炎の洞窟の中に入っていった。