軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1480話 中央の天空諸島

パラスとともに、中央の天空島に向かったライトとラウル。

畑の島から真っ直ぐに向かわずに大きく迂回したため、天空竜達の邪魔に遭うこともなく無事前線から離脱できた。

途中パラスにも渡した『韋駄天の呪符』を使い、三人は全速力で飛んでいく。

この『韋駄天の呪符』は敏捷性を50%アップさせる呪符で、有効時間は三十分。

その名の通り、使用した者の走りや飛行において韋駄天の如き加速を得られるアイテムだ。

以前ライトが青龍の鱗で飛行能力を得た際に『これを使えば、もっともっと早く飛べるようになるかも!』と思い、魔術師ギルド売店で購入しておいたものである。

そして全速力での飛行中に、ラウルがパラスに中央の天空島に向かう理由を説明していた。

「なるほど……天空竜達は皇竜ラーデ様の身の引き渡しを要求し、その天空竜達を操るボスがラーデ様のご子息の一人だったのだな」

「ああ。そいつはサマエルと名乗っていて、ラーデもそいつのことを自分の子供だと認めていた。だが、そいつが何故かラーデを殺すと言い出してな……」

「何ッ!? 久方ぶりに会えた親子が、何故にそういう話になるのだ!?」

「それは俺も分からん……ラーデ曰く、昔からそういう子だ、ということだが……」

事の経緯を聞いたパラスが、心底びっくりした顔をしている。

何百年もしくは千年以上会えなかった親子だというのに、再会の感動どころか尊属殺人ならぬ尊属殺竜宣言とは、物騒どころの話ではない。

「だが、それを聞いたうちのご主人様がラーデとサマエルの間に割って入ってな。今度はうちのご主人様とサマエルが殴り合いの喧嘩になりそうなんだ」

「そ、それは洒落にならんな……」

「ああ……だが、ラーデが言うには『親の自分よりも兄や姉の言うことを聞く』らしい。だから、ご主人様達の戦闘回避のためにそいつらを天空竜達の前に連れていかなきゃならないんだ」

「そうだったのか……そのサマエルとやらの兄姉、ラーデ様の他のご子息ご息女が中央の天空島にいる、という訳だな」

「そゆこと」

ラウルの話を聞いて、前線にいなかったパラスも納得している。

そしてパラスの方も、ライト達が知らない中央の天空島の情報を話した。

パラス達が住む天空島は北側に位置すること、天空竜達の住む天空島ははるか南側にあること、その中間に中央の天空島があること等々の基本情報に加え、パラスが知る独自の情報も話していく。

「中央の天空島には、固有の種族はいないとされている。実際私も、中央の天空島を何度か遠目に見たことがあるが……外から見た感じでは木が疎らに生えた巨大な岩山で、生き物が生息している様子は全くなかった。というか、中央の天空島に皇竜の子孫がいるなどという話も今初めて聞いたくらいだ」

「だが、実際に中央の天空島に上陸したことは一度もないので、本当に生き物が全然いないのかどうかは分からん。それに、私が中央の天空島の近くを通り過ぎたのも、一番最近で五十年以上は昔の話だしな……」

パラスによると、中央の天空島にラーデの子孫がいるというのは初耳らしい。

そして、中央の天空島は緑溢れる北側とは違って、巨大な岩山でできているという。

どれ程大きな岩山かは分からないが、ライトとラウルは『カタポレンの家の近所の岩山くらいかなー』と漠然と考えている。

そうしてライト達が畑の島を飛び立ってから、二十分程過ぎただろうか。

一刻も早くラーデの子を北側の天空島に連れていかなければならないのに、一未だ中央の天空島に辿り着けないことにライトとラウルは内心焦り始める。

すると、パラスが大きな声でライト達に知らせた。

「見えてきたぞ!あれが中央の天空島だ!」

「ホントか!?」

「え、どこどこ!?」

パラスの知らせに、ライト達が思わず叫びながら前方を見た。

すると、確かに大きな岩山が生えたような巨大な浮遊島が見えてきた。

だが、どう見てもその岩山は明らかに未だに遠い位置にあるように思える。

とはいえ、目的地が明確に見えてきたのは間違いなく朗報だ。

一刻も早く中央の天空島に上陸するため、ラウルがライト達を鼓舞した。

「よし、もうちょいだ、あとひと踏ん張りするぞ!」

「うん!」

「応!」

ラウルの励ましに、ライトとパラスが威勢よく応える。

そうして三人はラストスパートをかけるように、それまで以上に全速力で空を駆けていった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

ライト達三人がラストスパートをかけ始めてから、約十分が経過した。

もうそろそろ『韋駄天の呪符』の効果が切れようかというところで、中央の天空島を目前にできる位置まで辿り着いたライト達。

目の前に聳え立つ山のあまりの威容に、ライト達はしばし固まっていた。

「「『………………』」」

想像以上に巨大で厳つい天空島に、ライト達は真上を見上げながら、ぽかーん……と口を開けたまま絶句している。

それは岩山なんて可愛らしいものではない。ライトやラウルが想像していた『カタポレンの家のご近所の岩山』の何倍も大きくて、標高で言えば2000メートルはありそうな超巨大な山だった。

その一際高い山がある島の他にも、周辺に複数の岩山が浮いているのが見受けられる。それはざっと見たところ、十くらいはあるだろうか。

しかし、それらの島は明らかに規模が小さく、それこそカタポレンの家のご近所の岩山と大差ないレベルだった。

もしファフニールやリンドブルムが住むとしたら、それらのこぢんまりとした島よりも諸島の中で最も大きな島にいる可能性が高いだろう。

一体どれ程の質量なのかは分からないが、よくこんなものが空中に浮いていられるな!と感服せざるを得ない。

しかし、こんなところでぽけーっ……と山を眺めながら無為に過ごす余裕などない。

真っ先に我に返ったライトがパラスに声をかけた。

「……と、とりあえず、ここが中央の天空島で間違いないんですよね?」

「あ、ああ……これまでは遠目に見るだけだったから、まさかこんなに巨大な岩山だとは思わなかったが……ここが中央の天空島で間違いない」

「そしたら皆で手分けして探しましょう!」

「そうだな、これ程大きな山ともなると三手に分かれて探す方がいいだろうな」

三人別々に捜索するというライトの案に、パラスも同意する。

そしてライトが間を置かずにテキパキと指示を出した。

「じゃあ、ラウルは向こう側から時計回りで飛んで探して!ぼくは山頂側を見てくるから、パラスさんはラウルと反対の方向にお願いします!」

「了解!」

「うむ、承知した!」

「もし竜らしき個体が見つけられなくても、洞窟とかに潜んでいることも考えられるから、怪しい洞穴があるかどうかもよく見てね!」

「「応!」」

ライトの指示を受けて、ラウルとパラスがそれぞれ左右に分かれて飛んでいく。

それと同時にライトも山頂を目指して勢いよく上に飛んでいった。