軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1462話 短冊交換で得た報酬

七夕イベント最終日の七月七日。

この日は日曜日なので、ライトは一日かけて短冊集めのラストスパートをかけた。

もう短冊の枚数をいちいち確認する手間すら惜しいので、ただひたすらペコペコハンマーで笹魔人を叩き続ける。

昼は一旦カタポレンの家に帰り、昼食を摂ってから一時間ほど昼寝して鋭気を養い、それから再びササニシキ村に出向き笹魔人と戦い続けた。

日が落ちるギリギリの時間まで粘り、午後六時半になったところでライトは瞬間移動用の魔法陣でカタポレンの家に帰宅した。

「はーーーッ、疲れたーーー!」

「七夕イベント終了、お疲れさーーーん!誰とも分かち合えないけど、久しぶりのBCOイベント、すんげー楽しかったーーー!」

ベッドの縁に座り、アイテムリュックから取り出したぬるぬるドリンク紫で一人祝杯を上げるライト。

今の時刻は午後六時半をとっくに回っていて、時間的にはまだあと五時間半は七夕イベントの猶予はあるのだが。夜中にこっそり家を抜け出してまでイベントを継続するつもりはないので、実質的にはこれにてライトの七夕イベントは終了である。

「……さて、そしたら短冊が何枚貯まったか、最終確認するとしますか!……って、いやいや、その前に晩御飯を食べるのが先か。向こうに行くのがあんまり遅くなると、ラウルも心配してこっちに来ちゃうし」

「よし、そしたら先にラグナロッツァの家で晩飯食ってから、改めて報酬交換を検討しようっと!」

早速短冊の数をチェックしようとしていたライトだったが、それより先に晩御飯を食べに行かないといけないことを思い出した。

さすがに午後七時を回ってしまったら、ラグナロッツァの屋敷に現れないライトを心配してカタポレンの家に呼びに来るに違いない。

そうなってはマズいので、ライトは一刻も早くラグナロッツァの屋敷に行くことにしたのだ。

ライトは愛用のマントを脱ぎ、いそいそと私服に着替える。

ちゃちゃっと着替えたライトは、そのまま自室にある転移門でラグナロッツァの屋敷に移動していった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

ラグナロッツァの屋敷で、レオニスやラウル、マキシとともに晩御飯を食べたライト。

食事中にレオニスやラウルが「ライト、何か今日もヨレヨレになってないか?」とか「疲れてるならこっちの広い風呂に入っていくか?」と気遣ってくれた。

実際少し前までライトはササニシキ村で笹魔人退治をしていて、帰宅後早々にラグナロッツァの屋敷に移動したので、ほんのりと草臥れているのは間違いない。

レオニス達の気遣いに嬉しくなったライトは「じゃあ、今日は皆でいっしょにお風呂に入りたいな!」と言い、晩御飯の後に男四人でラグナロッツァの屋敷の風呂に入った。

広々とした風呂で、久しぶりにゆったりと浸かる湯は実に気持ちがいい。

この二週間、ずっと七夕イベント浸りだったライトの身体の凝りが一気に解れて、湯の中に溶けていくようだ。

そうして晩御飯とお風呂を済ませた後、ライトはレオニスとともにカタポレンの家に帰り、早速自室でマイページを開いた。

アイテム欄の中にある『神寄の短冊』の項目を見ると、6834枚となっていた。

「うおおおおッ、もうちょいで7000超えてたんかー!もっと早めにハゲ運使っておけばよかったーーー!」

「でも……7000枚ちょっと程度だと、グロスとエリクシルしか取れないし。それ以外の報酬が全然取れないってのも、それはそれで寂しいしなー……」

「……よーし、そしたら短冊で何と交換するか、今からじっくり考えようっと!」

イベントの最終結果を見たライト。

悔しがってベッドの上で悶絶したり、かと思ったらピタッ!と止まって小さな声で呟いたり、その後すぐにガバッ!と起き上がってウッキウキな様子で交換所ページをいそいそと開いたり。なかなかに忙しい百面相ぶりである。

まず、5000枚以外の報酬で何を得るかを考え始めたライト。

5枚以下の通常回復剤は論外。一番最後の帳尻合わせにしか使えないので、とりあえず30枚から1000枚までのラインナップで何を選ぶかを検討し始めた。

5000枚を差し引いた短冊の残り数は1834枚。

それだけあれば、1000枚の『ミステリー箱詰め合わせ・Bタイプ』を一個もらってもなお800枚以上ある。

この嬉しい事実に、マイページを眺めるライトの顔は緩みっぱなしだ。

「まずは1000枚で、ゴミ箱詰め合わせBタイプは確定だな!つーか、いくら基本ゴミ箱でも40個もありゃ何か一つくらいは良いもん来るっしょ!」

「あー、せっかくだから七夕イベントの記念として100枚の七夕限定武器も一つは欲しいなー。『 笹箒(ささぼうき) 』って名前からして、あんま強くなさそうではあるけど」

「500のエネドリダースと合わせると、あと200枚ちょいかー。身代わりの実5個にはちと届かなんだかー、残念無念」

鼻歌交じりで交換する報酬を選ぶライト。

これだけ選り取り見取りなのだ、ライトが上機嫌になるのも当然である。

あちこち目移りしながらも、選ぶものはある程度決まったようだ。

そうして欲しいものを次々と交換していくライト。

まず真っ先に交換したのは、5000枚で交換できる『エリクシル3個セット』だった。

本当のことを言えば、エネルギードリンク1グロスも喉から手が出るほど欲しかった。それがあれば、今後の職業習熟度上げもかなり捗ることは間違いないのだから。

しかし、それ以上にライトは最低でもエリクシル1個以上は欲しかったのだ。

BCOの中でも最上級にして究極の回復剤、エリクシル。

これさえあれば、即死しない限りはどんな瀕死の重体でもたちどころにして治すことができる。

しかもセットで3個もあれば、ライトだけでなくレオニスやラウルにもエリクシルを渡して常時持たせることが可能になる。

レオニスやラウルの強さを思えば、彼らが回避できないような即死攻撃を受けることはそうそうないとは思うのだが。

それでも二人は歴とした現役冒険者。いつ何時、どこで強大な敵に出食わすか分からない。

そんな危機的状況に陥った時に、エリクシルを所持していればこれ程心強いことはないだろう。

レオニスもラウルも、ライトにとっては掛け替えのない大事な家族。

絶対に失うことなどできない彼らの身を守るためならば、ライトが欲しかったエネルギードリンク1グロスを諦めるなど容易いものだった。

5000枚で『エリクシル3個セット』を選択し、アイテム欄の中にエリクシルの在庫が3個になったことを確認したライト。

よッしゃ!と小さくガッツポーズを取った後は、残りの1834枚で交換できる報酬を次々と選んでは交換していく。

そうしてライトが七夕イベントで得た報酬は、以下の通りである。

・エリクシル3個セット 1個

・ミステリー箱詰め合わせ・Bタイプ 1個

・エネルギードリンク1ダース 1個

・七夕限定武器『笹箒』 1個

・七夕ファッション箱 16個

・ミステリー箱A(シリーズ5)1個

・ミステリー箱B(シリーズ10)1個

・ミステリー箱C(シリーズ虹)1個

上記の交換で使用した神寄の短冊は6832枚。

残りの2枚は、七夕イベントの記念としてそのままとっておくことにした。

ここで2枚をポーションやハイポーション、エーテルやハイエーテルに交換したところで大した利益にはならないし、そんな無益な選択をするくらいなら七夕イベントの思い出の品として持ち続ける方が余程有意義というものだ。

ちなみに有効期限が切れた交換用アイテムは、ただ単に使えないだけでアイテム欄の中にそのまま残る。

何かの役に立つことは一切ないが、それでも時折アイテム欄の中に残る『神寄の短冊』を目にする度に、ライトは七夕イベントを思い出して懐かしい気分になることだろう。

そうしてライトは手持ちの短冊をほぼ全て使い切り、欲しかった報酬を一通り手に入れた。

マイページを閉じてベッドに寝転んだ途端、強烈な眠気がライトを襲ってきた。

この日も朝と夕方に散々笹魔人退治をしてきたし、初めての収集系イベントを無事終えて安堵した反動か。

「ふゎぁぁぁぁ……眠ぅ……今日はもう寝ちゃうかぁ……」

「今の俺じゃ、アイテム集める系のイベントは、かなーりキツいけど……それでも、報酬を、選べるのは、楽しいし……」

「うん……たまぁーに、やる分には……いい、よな……」

数言独りごちながら、ライトの瞼はどんどん重たくなっていく。

そうしてライトは、あっという間に眠りに落ちていった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

翌日の日曜日、ライトは朝の日課である魔石回収ルーティンワークをサボり、お昼手前の午前十一時近くまで寝こけていた。

もちろん魔石回収ルーティンワークは、起きてからすぐに出かけて済ませた。

レオニスも森の警邏から帰ってきて、カタポレンの家で昼食を摂る。

今日はラウルも午前中ずっと殻焼きや畑の手入れに勤しんでいて、ライト達とともに昼食を摂っていた。

そこにフォルとラーデも加わって、何気に賑やかで楽しい食卓だ。

そうして皆で昼食を済ませた後、ライトが徐にラウルに声をかけた。

「あ、ねぇ、ラウル、一つ聞きたいことがあるんだけど」

「ン? 何だ?」

「前にツィちゃんにあげたエリクシルの空瓶、まだ持ってる?」

「おう、もちろん持ってるぞ。空っぽになったとはいえ、エリクシルなんて貴重な霊薬が入っていた瓶だからな。捨てたり処分するなんてこと、絶対にありえねぇし」

「だよねー。そしたらその空瓶を、ちょっと貸してくれる?」

「ああ、いいぞ。あのエリクシルは、もともとライトのものだからな」

ライトの質問と要請に、ラウルが快く応じる。

ラウルは空間魔法陣を開き、エリクシルの空瓶を取り出してライトに渡した。

そんな二人のやり取りを見て、レオニスが食後のコーヒーを啜りながら不思議そうにライトに問うた。

「ライト、エリクシルの空瓶なんてもらってどうすんだ?」

「えっとねぇ、昨日新しいエリクシルが入手できたんだよねー」

「「ブフーーーッ!」」

とんでもないことをサラッと言い放つライトに、レオニスだけでなくラウルまでもが盛大に噴き出した。

ラウルはともかく、レオニスが啜っていたコーヒーは向かいに座って寛いでいたラーデの全身にかかってしまったではないか。

レオニスが慌てて椅子から立ち上がり、「す、すまん、ラーデ!」とか言いながら空間魔法陣からタオルを取り出し、ラーデの顔や身体をゴシゴシと拭いてやっている。

もちろんラーデはその間ずっと無言で、スーーーン……という顔をしていた。

そんなドタバタが繰り広げられている中、ライトだけは事も無げに自室に置いてあったアイテムリュックを持ってきて、中から新しいエリクシルを取り出した。

そのエリクシルは、わざわざ真偽を確かめるまでもない。

瓶の形も中に入っている虹色の煌めく液体も、ライトが初めて手に入れた一本目のエリクシルと全く同じものだったからだ。

ライトの手でテーブルの上にコトン、と置かれた二本目のエリクシルの瓶。

それをレオニスとラウルが10cmの至近距離でまじまじと眺めている。

「こ、これは……紛うことなきエリクシル、だな……」

「ああ……俺やツィちゃんに使わせてもらった、あのエリクシルと全く同じものだ……」

目を極限まで見開きながら、エリクシルをガン見し続けるレオニスとラウル。

するとレオニスがふい、と視線を外し、ライトに問うた。

「ライト、これはどこで手に入れたんだ?」

「これも一本目と同じで、フォルがどこかから拾ってきてくれたんだ」

「そうなのか!? フォル、やっぱお前はすげーなぁ!」

「ああ!フォルは世界一素晴らしい子だ!」

「モキュ!?!?!?」

ライトの言葉に、レオニスもラウルも驚愕しつつフォルを褒め称える。

ラウルなど、テーブルの端でおやつの木の実を食べていたフォルにガバッ!と抱きつき、そのまま自分の胸元まで抱き上げて頬ずりまでしているではないか。

普段クールなラウルだが、ことフォルに関してだけはベタ甘のメロメロになってしまうようだ。

その溺愛っぷり、さすがはフォル教信者第一号だけのことはある。

もっともフォルにしてみれば、全く身に覚えのない功績でいきなり頬ずりされても何が何だか分からないのだが。

そんなベタ甘モードのラウルに、ライトが平然と声をかける。

「ラウル、この新しいエリクシルを空瓶に半分移すことはできる?」

「……ン? お、おう、漏斗を使えば……いや、エリクシル相手に漏斗を使う訳にはいかんな、そんなことをしたら漏斗についた分がもったいない」

「そしたらさ、風魔法とか水魔法とか何でもいいんだけど、とにかく上手く魔法を使って瓶の中のエリクシルを零さないように、直接移せないかな?」

「風魔法に水魔法か……それならできるかもしれんな。よし、任せとけ」

「うん、お願いね!」

ライトの提案に、ラウルもしばし考えた後エリクシルの空瓶移行の任務を引き受けた。

ライトがラウルに一本目のエリクシルの空瓶を取り出させたのは、二本目のエリクシルを半分づつに分けるためであった。

いや、本当は新しいエリクシルは三本あるので、レオニスとラウルに一本づつ持たせることも可能なのだが。

ここでいきなりエリクシルの新品二本を一気に出すのは、さすがにライトでも憚られる。

今回もエリクシルの出処をフォルのせいにしたが、いくらフォルでも二本のエリクシルを一気に拾ってきたというのは不自然過ぎて無理がある。

なので、ライトは『前の瓶に半分移し替えて、二本に分けてレオ兄とラウルに一つづつ持たせよう!』と考えたのだ。

ライトの要請に従い、ラウルが新品のエリクシルの瓶の蓋を開けた。

瓶の蓋が開けられた途端、部屋いっぱいにたちまちエリクシルの芳しい香りが満ちる。

その芳しさに、ライト達だけでなくラーデまでうっとりとしている。

先程のコーヒー噴射被害の不快さが、エリクシルの高貴な芳香で一気に吹き飛んだようだ。

ラウルが新品のエリクシルの瓶をそっと傾けて、空中にエリクシルの液体の水玉を作る。これは、水魔法を用いて球状にしてから風魔法で宙に浮かせているのだ。

そしてその水玉を、一本目の空瓶の口にそっと運んでは中に落としていく。

エリクシルの瓶の口はそんなに広くないため、エリクシルの液体の水玉も極小サイズにしなければならないが、超貴重なエリクシルは一滴たりとも無駄にはできない。

エリクシルの移し替えのために、ラウルが全神経を集中させながら少しづつ水玉を移す作業を進めていった。

その最中、ライトはずっと固唾を飲みながら見守っていたが、レオニスは小声で「ラウル、頑張れよ……一滴たりとも零すんじゃねぇぞ……」「あッ、その水玉、ちと大きくね!? 瓶の口に入りきらねぇんじゃね!?」等々呟き続け、終始ハラハラしっぱなしで見ていた。

一方ラウルはずっと集中していたので、レオニスの小言など全く聞こえていなかったのが幸いである。

そうして十分近くかけて、エリクシルの半分こ分けに成功した。

ラウルが額に浮き上がった玉のような汗を右手で拭いつつ、小さな声で呟いた。

「……よし、できたぞ」

「ありがとう、ラウル!お疲れさま!」

「ラウル、よくやった!」

ラウルの任務完了宣言に、ライトもレオニスも手放しで褒め称える。

その後すぐにライトが二本のエリクシルの瓶に蓋をしてきっちりと閉じてから、一つづつレオニスとラウルに渡した。

「はい、こっちはレオ兄ちゃんの分で、こっちはラウルの分ね!」

「え? ご主人様はともかく、俺までもらってもいいのか?」

「もちろん!だって二人とも現役の冒険者だもの。いつ何時危険な目に遭うか分からないんだから、エリクシルは二人に持ってもらった方がいいでしょ?」

「そ、そりゃそうなんだが……」

エリクシルを渡されたレオニスとラウル、心底びっくりした顔をしている。

特にラウルの方は、エリクシルを二本に小分けにしたのはライトとレオニスの二人分だと思っていたようだ。

まさか自分にエリクシルをくれるとは、予想もしていなかったラウル。

なおもライトに問いかけ続けた。

「でも、ライトだってもうすぐ冒険者登録するだろ? それならライトが持っていた方がいいんじゃないか?」

「えー? ラウルってば、やだなぁ。冒険者登録したばかりのぼくが、そんな危険な依頼や任務を引き受ける訳ないでしょ?」

「ぃ、ぃゃ、それこそライトがさっき言ってたように、簡単な依頼に見えて実は危険な魔物が潜んでいた、なんてこともあり得る訳だし……」

ラウルの心配を、右手を縦にパタパタと振りながらカラカラと笑い飛ばすライト。

しかし、ラウルが危惧するのも尤もだ。彼自身、軽い気持ちで引き受けた下水道清掃依頼で思わぬ危険な目に遭って死にかけたことがあるのだから。

ライトを心配し続けるラウルに、今度はレオニスが声をかけた。

「ラウル、いいじゃねぇか。ここはありがたく受け取っておけ」

「ぃゃ、しかし……」

「ライトにとって、お前は絶対に失くすことのできない大事な家族なんだ。だからこそ、ライトは俺とラウルにエリクシルを分けてくれたんだろう? なぁ、ライト?」

ラウルを説得するレオニス、ライトにもその真意を問いかける。

そんなレオニスのナイスフォローに、ライトも破顔しつつ応える。

「うん!レオ兄ちゃんだけじゃなくて、ラウルだってぼくの大事な大事な家族だよ!ラウルにはいつでも元気でいてほしいし。それに、この先も冒険者のお仕事を続けていれば、どうしたって危険な目に遭うことはあるだろうけど……それでもラウルがずっと冒険者をしていけるように、このエリクシルはレオ兄ちゃんといっしょに持っていてほしいんだ!」

「ライト…………ありがとう。小さなご主人様にそこまで言われたら、受け取らん訳にはいかんな。これはありがたくいただこう」

「うん!」

ライトの言葉にラウルも観念しつつ、嬉しそうな笑顔を浮かべる。

ライトやレオニスも天涯孤独の身だが、ラウルもまた家族に恵まれなかった一人。

そんなラウルが、例え異種族であろうともライトとレオニスに『お前は俺達の大事な家族』と言ってもらえたことは、望外の喜びであった。

ラウルが空間魔法陣を開き、大事そうにエリクシルを仕舞い込む。

ラウルと同時にレオニスも空間魔法陣を開き、分けてもらったエリクシルを仕舞った。

「ライト、ありがとうな。これがあれば、万が一俺達が危険な目に遭ったとしても、必ずお前のいる家に帰ることができる」

「うん!レオ兄ちゃんやラウルには、何が何でも毎日おうちに帰ってきてもらわないとね!」

「俺もご主人様と同じく、ライトに誓おう。この先何があっても、絶対に俺達はお前を一人ぼっちにはしない」

「約束だよ!」

エリクシルを譲り受けたレオニスとラウルが、改めてライトに誓いを立てる。

レオニスもラウルも不老不死ではないし、この世に絶対なんてことは何一つないことは重々承知している。

だがそれでも、エリクシルなどという貴重な品を分けてくれたライトの気持ちを思えば、何が何でも必ず帰る!と宣言し心に強く誓うのは当然であった。

そんなレオニス達の誓いを聞いたライトが、嬉しそうにフォルを抱き上げた。

「そしたらフォル、今度はぼくの分のエリクシルを拾ってきてね!」

「フィィィィ?」

「おう、そうだな!フォル、できればライトが冒険者登録をする前に拾ってきてくれ!」

「キュウウゥゥ!?」

「フォル、俺からも頼む!一ヶ月以内に三本目のエリクシルを拾ってきてくれ!」

「モキュェェェ!?!?!?」

ライトの無茶振りに、レオニスとラウルまでもが乗っかった。

真剣な眼差しでフォルに頼み込むレオニスとラウル。そのあまりの真剣さに、当のフォルは面食らうばかりだ。

フォル、いつもごめんね!今年の秋は、フォルのために今まで以上にたくさんの木の実を集めておくからね!

ライトは心の中でフォルに謝りながら、フォルのもふもふボディを愛おしそうに撫で続けていた。