軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1436話 日中のお出かけ先

そうして迎えた翌日の明け方。

ライトがふと目覚めると、レオニスとラウル、ラーデ、闇の女王がおらず、クロエ、マキシ、八咫烏母娘達がまだ寝ていた。

腕を真上に上げて、くーーーッ……と背伸びするライト。

まだ寝ているマキシを起こさないよう、クッションからそっと出て一階に下りていった。

一階のリビングには、調理をしているラウルがいた。

「ラウル、おはよーう」

「お、ライト、起きたか。おはよう」

「レオ兄ちゃんや闇の女王様はどうしたの?」

「少し前に、外の畑を見に出ていったぞ」

「そっか、じゃあぼくも畑に行ってみるねー」

「了解ー。もうそろそろ朝飯の時間だから、ついでにご主人様達にもそう言って早めに戻ってこいよー」

「はーい」

ここにいないレオニス達の行方を聞くと、どうやら畑を見ているらしい。

外は既に結構な明るくなってきているが、闇の女王は外に出ても大丈夫なのだろうか?

家から外に出たライト。

今この家の周囲には、東西南北と北西を除く斜め三面の計七面の畑がある。

これをいちいち探し回るのは手間なので、ライトは一旦空に飛んで上空からレオニス達を探す。

すると、林檎の木があるエリアにレオニスがいるのが見えた。

レオニスが林檎の木の天辺に近いところで、その実を収穫しては空間魔法陣に放り込んでいる。

そんなレオニスの近くに、ライトはすーっと下に降りて寄っていった。

「レオ兄ちゃーん、おはよーう」

「お、ライト、おはよーう」

「闇の女王様とラーデはどこにいるの?」

「四阿でもぎたての林檎食ってるぞ」

姿が見当たらないラーデと闇の女王。

どこにいるのかと思ったら、レオニスが収穫した林檎を四阿で食べているという。

早速ライトが四阿に行くと、そこでは真っ赤な巨大林檎をシャクシャクと頬張るラーデに、もっしゃもっしゃと食み続ける闇の女王がいた。

『この林檎という実、実に美味だの(もっしゃもっしゃ』

『そうであろう、そうであろう。我も毎朝ラウルに採りたての林檎を馳走してもらっておる(シャクシャク』

『何と!それは羨ましい!吾が暗黒神殿の庭園にも、林檎の木を一本か二本……いや、百本は欲しいぞ!(もっしゃもっしゃ』

『日の射さぬ暗黒神殿に、果たして林檎が成るものか?(シャクシャク』

『うぬぅ……それは分からぬが、ダメ元でラウルに頼んでみるとしよう(もっしゃもっしゃ』

『まずはそうするが良かろうな(シャクシャク』

四阿の日陰の下で、仲良く巨大林檎を食べているラーデと闇の女王。

特に闇の女王の頬がリスのように膨らんでいて、実に珍しくも愛らしい図である。

「ラーデ、闇の女王様、おはようございます!」

『おお、ライトか。おはよう』

「ラウルが育てた林檎は美味しいですか?」

『ああ!それはもう!間違いなく絶品だな!』

「闇の女王様のお口に合って良かったです。ていうか、闇の女王様、もう朝ですけど……外に出ていて大丈夫ですか?」

『心配は要らぬ。吾ら闇の精霊は、影あるところならばどこにでも居るからな。ただし夜の間に比べれば力が衰えるし、全く影のない場所ではさすがに存在することすらできんがな』

「なら、いいですけど……」

朝の挨拶がてら、闇の女王の心配をするライト。

確かに四阿の日陰で頬いっぱいに林檎を食べている様子を見ると、そこまで心配することもないようだ。

「そしたら、そろそろコテージに戻りましょう。ラウルが皆の朝ご飯を作って待ってますから」

『うむ、分かった。……ライトよ、この林檎をコテージに持っていってくれるか?』

「分かりましたー。……ラーデも自分の分を持っていく?」

『無論』

半分くらい食べかけの巨大林檎をライトに託した闇の女王。

四阿の日陰にとぷん……と溶けて消えた。

いや、これは正確に言えば消えたのではなく、影に溶け込んだのだ。

ライトがラーデとともに四阿を出て、まだ林檎を収穫しているレオニスに声をかけた。

「レオ兄ちゃーん、朝ご飯しに行こー!」

「はいよー」

ライトの呼びかけに応じ、レオニスが収穫する手を止めてライトのもとに来た。

そして三者が四阿からコテージに向かい、ライトが歩く影の中に闇の女王が潜む。

そうして四人はコテージに入っていった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

コテージのリビングに行くと、そこにはクロエとマキシ達八咫烏が起きていて全員テーブルに着いていた。

ライトがレオニス達を呼びに行っている間に、ラウルが八咫烏達を起こしてきたようだ。

「あ、マキシ君、おはよう!アラエルさん達もおはようございます!」

「ライト君、おはようございます!」

「「「おはようございます!」」」

ライトの朝の挨拶に、八咫烏達も元気良く挨拶を返す。

ちなみに今朝も八咫烏達は人化して席に着いている。

朝食でも人化した姿で食べる訓練をするようだ。

外に出ていたライト達もそれぞれ席に座り、全員が着席したところで手を合わせた。

「いッただッきまーーーす!」

「「「『『いッただッきまーーーす!』』」」」

レオニスが発する食事の挨拶に、他の全員も続いて唱和する。

そして皆、自分の前にある朝食を食べ始めた。

「ところでレオ兄ちゃん、今日はどうする?」

「そうだなぁ……ココは、どこか行きたいところはあるか?」

『ンーとねぇ、えーとねぇ……パパ達が連れてってくれるところなら、どこでも行きたい!』

朝食を食べながら、今日の予定を話し合うライト達。

今回はクロエの初めてのお出かけなので、当人が望む場所に連れていってやりたいのだが。当のクロエは、如何せんどこに何があるのかもまだよく分かっていなかったりする。

なので、心から信頼するライトやレオニスが連れていってくれるところなら、どこでも嬉しい!ということのようだ。

「ンーーー……そしたらまずはカタポレンの森の散策をするか」

「そうだねー。まずは自分達が住む場所をよく知るのも大事なことだよねー」

「そしたらまずは、目覚めの湖に行くのはどうだ? 水の女王やアクア達に会っておくのもいいだろうし」

「あ、それいいね!ラウルってば、冴えてるー!」

「お褒めに与り光栄だ」

話し合いの中、ラウルが出してきた提案にライトが大絶賛する。

クロエにとって初めてのお出かけなんだから、何も直ぐ様遠出などせずともお膝元の近所の散策だけでも十分満足できるはずだ。

それに、近所ということで言えば目覚めの湖も立派なご近所さんだ。

目覚めの湖には、水の女王やアクアといったクロエ達とご同類もいることだし、彼らと知己を得ておくことは両者にとって利益となるだろう。

「じゃ、朝飯食ったら一休みしてから皆で目覚めの湖に行くか」

「賛成ー!」

ひとまず今日の行き先の一つが決まったところで、レオニスが闇の女王に話しかけた。

「そしたら闇の女王はどうする? ひとまず暗黒の洞窟に帰るか?」

『ぬぅ……其の方達がココ様とともに水の女王達に会いに行くならば、是非とも吾もついていきたいところではあるが……』

レオニスの問いかけに、闇の女王が先程の食べかけの林檎を頬張りつつ悩ましげに思案する。

クロエは暗黒神殿守護神という立場にあるが、日中動けない訳ではない。

何故なら彼女はノワール・メデューサという種族でもあり、物質的肉体を持っているからだ。

しかし、闇の女王はそうはいかない。

今日の天気は快晴で、これからどんどん日が高くなっていく中ライト達と行動をともにすることは、闇の女王にとってかなりキツく厳しいだろう。

故にレオニスは、闇の女王の身を案じて尋ねたのだ。

「ま、闇の女王もあまり無理するこたぁないさ。今日はずっと天気も良さそうだから、昼間に洞窟の外で活動するのはキツいだろうし。一旦暗黒の洞窟に戻っても良し、その間ココのことは俺達が責任を持ってちゃんと守るから心配すんな」

『うむ……其の方らにココ様をお任せするのは吝かではないのだがな……とりあえず、吾も其の方らの影に潜んでの移動を試みるとしよう』

「分かった」

以前闇の女王は、クロエのお泊まり会に関して『我が付き添えるのは夜の間だけだ』と言っていた。

しかし、いざ実際にその場になってみるとどうしてもクロエのことが心配なのか、できるだけ自分もクロエの傍にいたいと思うらしい。

やはり常日頃からクロエの母親代わりを務めるだけあって、我が子にも等しいクロエの初めてのお出かけは心配が尽きないようだ。

そうしてライト達は朝食を食べ終え、各自出かける支度をするためにそれぞれ散っていった。