軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1416話 ティファレトの名産品

その後レオニスは、昼食が摂れそうな店を探してティファレトの街をぶらつきながら歩く。

冒険者ギルドがある大通りは、大きな旅館や土産物屋などがありかなり賑わっている。

今日は黄金週間初日というのもあるが、たくさんの人々が行き交う様は大都市と呼ばれる街にも何ら引けを取らない。さすがは有名な温泉リゾート地として名を馳せる街だ。

定食屋と思しき看板を見ていくと、魚のようなシルエットの絵を掲げている店が多い。

このティファレトの名産品は、どうやら魚のようだ。

『レオニスよ、この里では何を食べるのだ?』

「ティファレトは内陸部で海こそないが、街の横に黄大河が流れていて川魚が豊富に捕れるんだ」

『ほう、川魚か。我は魚というものをあまり食したことがない故、どのようなものがあるのか楽しみだ』

「とりあえず、あの店に入ってみるか」

レオニスの目にふと留まった、かなり繁盛してそうな店に飛び込みで入る。

その店の名は『迷える小魚亭』。大きな街なら必ず一つはあるという人気レストラン『迷えるグループ』の系列店である。

店の中に入ると、川魚を炭火で焼く香ばしい香りが漂ってくる。

二人用の空き席に案内され、早速レオニスが壁にかけられているメニューに目を遣る。

「『虹マスランチ』に『虹マス定食』、『虹マス唐揚げ』に『虹マス丼』か……ティファレトのイチ押しは虹マスなんだな。おーい、そこの姉ちーゃん、注文いいかー?」

「はーい、少々お待ちくださーい」

レオニスは近くにいた若い女性店員に声をかけ、多数ある虹マスメニューの中から虹マスランチ、虹マス定食、虹マス丼に虹マスのムニエル、そして虹マスカレーを各一つづつ注文した。

ぱっと見では一人しかいないレオニスが五人前も頼むことに、女性店員が少しだけ驚くも特に問題なく注文を受けていた。

そうして程なくしてやってきた数々の食事は、実に煌びやかでキラキラと輝いている。

というのも、このサイサクス世界の虹マスは文字通り鱗が七色あり、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の虹色をしているからだ。

これは煮たり焼いたりしても変わらず、余程強火で焼いて炭化させるなどでもしなければ七色の鱗の色鮮やかさは失われない。

ちなみにカレーの場合は、カツカレーのようにご飯の上に焼いた虹マスを乗せてカレールーをかける。

見目鮮やかな虹マス料理を、パクパクと食べていくレオニス。

そして時折誰にも見られないよう、ササッ!と素早くラーデの口元に虹マス料理を持っていく。それをラーデがすかさずパクッ!と食べては『うむ、なかなかに美味いな』と虹マス料理を堪能していた。

ティファレトのご当地グルメを存分に堪能したレオニス。

会計の時に、お金を払いながら店員に話しかけた。

「虹マス料理、美味しかったよ。ごちそうさん」

「それは良かったですー!虹マス料理はティファレトの自慢の郷土料理なんですよー」

「だろうな。もし良かったら、虹マスを買える魚屋か市場を教えてくれないか? 家族に土産で買ってやりたいんだ」

「でしたら、この大通りの一本東側にある通りに行くといいですよー。この街で一番大きな魚屋さんがありますから」

「一本東側の通りだな、分かった、ありがとう」

店員に魚屋の情報を聞いたレオニス、礼を言いながら店を出て早速魚屋に向かう。

そこで見つけた『レインボートラウト』に入っていった。

店の中には、一尾丸ごとの虹マスを始めとして半身や切身、ジャーキー状に加工したものなど様々な虹マス商品が所狭しと並べられている。

ちなみにこの虹マスという魚、大きなものになると体長3メートルを超えるという。

今回はそこまでの大物は見当たらないが、それでも2メートル近くある虹マスがたくさんあって、かなりの迫力がある。

「店主、この丸ごとのヤツを三つと、半身を十切れくれ」

「はいよー!一見さんだけど毎度ありー!どこのお屋敷に運べばいいんだい?」

「あー、配達してもらわなくても俺がこのまま持ち帰るから問題ない」

「お、お客さん、空間魔法陣持ちなのか!それなら持ち帰りも大丈夫だな!」

威勢のいい店主と軽快な会話を交わすレオニス。

あまりの大量注文に、店主はレオニスのことを『どこかの貴族のお屋敷で働いている下働きが、虹マス料理の買い出しに来ている』と勘違いしたらしい。

確かに2メートル超えの虹マスを丸ごと三尾に切身も山程買えば、どこぞの貴族が持つ別荘でパーティーでも開くんだろう、と思われても致し方ない。

レオニスがこんなにたくさんの虹マス切身を買い込んだのは、貸し切りコテージでのバーベキュー用食材として使うつもりだからだ。

丸ごとの方は料理バカのラウルに買ってあげるつもりだ。新しい食材に目がないラウルのこと、この虹マスを見ればきっと大喜びすることだろう。

「……さて、そろそろティファレト支部に戻るか」

時間は午後の三時を超えたばかり。

早ければ、あと三十分もすればライト達の乗った翼竜籠がティファレトに到着し、皆でレオニスを迎えに冒険者ギルドティファレトまで来る。

ライト達より一足先にティファレト入りし、買い物三昧を楽しんだレオニス。

本来の目的であるティファレト温泉旅行のために、早めに冒険者ギルドティファレト支部に戻るのだった。