軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1377話 とても嬉しい日

カタポレンの家を出て、暗黒の洞窟に到着したライト達。

洞窟の入口に降り立ち、レオニスが空間魔法陣から魔物除けの呪符を一枚取り出した。

間違ってもここの雑魚魔物相手達に、レオニス達が苦戦したり負けることなど絶対にないのだが。今日はライト、レオニス、ラウル、マキシ、ラーデと大所帯での移動なので、いちいち雑魚魔物に拘ってなどいられないのである。

「そしたら一気に一層の奥まで行くぞ。マキシは暗黒の洞窟に来るのは初めてだよな?」

「はい!」

「マキシはまだ闇の女王やココの加護は得ていないが、ま、大丈夫だろ。ラウル、マキシにハイパーゴーグルを貸してやってくれ」

「了解」

レオニスの指示に従い、ラウルが空間魔法陣を開きハイパーゴーグルを取り出してマキシの頭に着けてやっている。

ハイパーゴーグルを目に着けた八咫烏―――世にも珍しい図だが、それを見たライトが思わず声を上げる。

「マキシ君、カッコいい!」

「え? そ、そうですか?」

「うん!すっごくカッコいい!近未来的なハイパーゴーグルを着けた霊鳥なんて、きっとマキシ君が世界初だよ!」

「な、何か照れ臭いけど……ライト君にそう言ってもらえて、すっごく嬉しいです!」

興奮しながらマキシの出で立ちを褒めちぎるライトに、褒めちぎられたマキシが照れ臭そうに微笑んだ。

仲良くキャッキャウフフ☆しているライトとマキシを、他の三者が微笑ましく見つめている。

そして準備が整ったところで、再びレオニスが皆に声をかけた。

「……よし、行くぞ!」

「うん!」「おう」「はい!」

レオニスが魔物除けの呪符の中央を一気に破り、効力の発揮を開始した。

そうして五人は暗黒の洞窟の最奥を目指し、暗闇の中に入っていった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

そこから無事一層最奥に着いたライト達。

移動用魔法陣に入り、暗黒神殿がある最奥まで一気に移動した。

闇の女王やクロエの加護がないマキシは、万が一にも彼だけ弾かれて置いてけぼりにされないよう念の為にラウルが抱っこしている。

仄暗い紫炎に照らされた暗黒神殿とその庭園に、ここを初めて訪れるマキシがラウルに抱っこされたまま物珍しそうにキョロキョロと見回している。

するとそこに、闇の女王とクロエが駆け寄ってきた。

『パパー!お兄ちゃーん!いらっしゃーい!』

『ラウルにラーデもよく来たの』

「ココちゃん、闇の女王様、こんにちは!」

「うおッ!ココ、また大きくなったか?」

『うん!』

クロエ達の熱烈な出迎えに、ライトが嬉しそうに挨拶を返す。

そしてクロエが思いっきりレオニスの胸にドッカーン!と飛び込んだ。

普通の人間なら、はるか遠くに吹っ飛ばされるところだが。レオニスはさらに成長したクロエの猛烈な突進に負けることなく、彼女の巨体をしっかりと受け止めている。

さすがはレオニス、現役最強の金剛級冒険者だけのことはある。

見た目は妖艶な美女のクロエだが、中身はまだまだ幼子のクロエの頭を優しく撫でるレオニス。

そして今日ここに来た目的を端的に告げた。

「ココ、お前が生まれてから一年が経ったな。今日はクロエの一歳の誕生日を祝いに来たんだ」

『誕生日? それ、なぁに?』

「ココがこの世界に生まれた日のことだ。人族が使う暦で言うと四月三日、今からちょうど一年前のことだ」

『それって、何かいいことがあるの?』

レオニスが言う誕生日なるものが何たるか、今一つ理解できていないクロエ。

きょとんとしているクロエに、レオニスが小さく笑いながら優しく説明する。

「もちろん。だってココがこの世に生まれてきてくれた日だぞ? それは俺達にとって、そりゃもうものすごく嬉しいことなんだ」

『そうなの? ママもライトお兄ちゃんも、ココが生まれた日のことを嬉しいと思ってくれてるの?』

レオニスの言葉に、レオニスの胸にくっついていたクロエがクルッ!と振り向いてライトや闇の女王の方を見た。

未だにきょとんとした顔のままのクロエに、闇の女王もライトも大きく頷きながらレオニスの言葉を肯定する。

『もちろんですとも。吾にとってココ様は、今やなくてはならぬ御方。唯一無二の暗黒神殿守護神としてだけでなく、ココ様という存在そのものを愛しております』

「もちろんぼくだって、レオ兄ちゃんや闇の女王様と同じだよ!ぼくにこんな可愛くて綺麗な妹ができるなんて、すっごくすっごく嬉しいことだったんだから!」

『エヘヘ……パパ達にそう言ってもらえて、ココもすっごく嬉しい!』

闇の女王とライトの言葉に、クロエが破顔する。

そんなニコニコ笑顔のクロエに、今度はラウルが声をかける。

「今日はココちゃんの誕生日を祝うために、俺もとっておきのケーキを作ってきたんだ」

『えッ、ラウルお兄ちゃんもココの誕生日をお祝いしてくれるの!?』

「当然。ココちゃんは、俺にとっても可愛くて大事な妹だからな」

『ラウルお兄ちゃんもありがとう!…………って、ラウルお兄ちゃんが抱っこしている ソレ(・・) は、なぁに?』

ラウルの言葉に、クロエの笑顔がさらに輝く。

ラウルはクロエ誕生の瞬間に立ち会った訳ではないが、ライト達がお茶会と称して何度も振る舞ってくれたラウル特製の美味しいスイーツに、クロエも闇の女王もすっかり虜になっている。

そんな素敵な食べ物を作ってくれているラウルのことも、クロエは『ラウルお兄ちゃん』と呼んで慕っていた。

そしてクロエは、ラウルの胸に抱っこされている ソレ(・・) 、八咫烏姿のマキシのことが気になったようだ。

確かにハイパーゴーグルを着けた丸々と太ったカラスは、クロエでなくとも非常に気になるであろう。

小首を傾げながら尋ねるクロエに、ラウルがきちんと答える。

「これはマキシという名の八咫烏で、こないだの天空島の戦いでも俺達といっしょに戦ってくれたんだ。もっともマキシは怪我の治療や回復なんかの後方支援をしてたから、ココちゃんとは直接会ってはいないはずだがな」

『そうなの? 天空島で私やパパ達といっしょに戦ったのなら、アナタも私の友達ね♪』

マキシのことを軽く紹介したラウルの言葉に、クロエがマキシに向かって顔を近づけながらニッコリと微笑み声をかける。

するとマキシが慌てたようにラウルの腕から飛び出し、人化の術で人の姿になってから改めて挨拶をし始めた。

「は、はじめまして!今ラウルが紹介してくれた通り、僕は八咫烏のマキシと言います!今日はココちゃんのお誕生日をお祝いするってラウル達から聞いて、僕も是非ともお祝いしたくって……レオニスさん達に無理言って連れてきてもらいました!」

『マキシ君、はじめまして。マキシ君もココの誕生日をお祝いしてくれるなんて、すっごく嬉しい!ありがとう!』

「そ、そんな……ココちゃんとは初対面なのに、誕生日のお祝いに参加したいなんて図々しいかな、と思ったんですけど……ココちゃんに喜んでもらえるなら、僕も嬉しいです!」

自己紹介とともにクロエの誕生日を祝うマキシ。

その思いにクロエはマキシの両手を握りつつ、感謝の気持ちを伝える。

そしてここで、満を持したようにラーデがクロエに話しかけた。

『闇の娘、いや、ココよ、久しいの。其方が一歳の誕生日を迎えたと聞き、我もレオニス達とともに祝福しに来たぞ』

『ラーデ君もお久しぶりね!ラーデ君もココの誕生日を祝ってくれて、本当にありがとう!』

『しかし、生まれてからたったの一年とは思えぬ程の成長ぶりだな。さすがは暗黒神殿の守護神だけのことはある』

『フフン、ココ様の御力はまだまだこんなものではないぞ? これからますます強く美しく成長なされる。皇竜もココ様が歩む華麗なる軌跡を、これからもずっと刮目し続けるがよい』

クロエの著しい成長にラーデが心底感心していると、何故か闇の女王が得意げに胸を張る。

クロエが褒められるのは、闇の女王にとって自分自身を褒められることより何倍も嬉しいようだ。

そう、クロエへの親バカは何もレオニス一人だけではない。闇の女王もまた、レオニスに負けぬ程の立派な親バカであった。

マキシの自己紹介や全員の挨拶が済んだところで、ライトがクロエに声をかける。

「ココちゃん、さっきラウルも言っていたけど、今日はココちゃんのお誕生日を祝うために美味しいご馳走やプレゼントを皆で用意したんだ」

『本当に!? ココ、すっごく嬉しい!』

「フフフ、そしたら今から皆で『お誕生日会』をしようね!」

『うん!ママ、パパ、早く皆でお庭に行こう♪』

「おう、皆で誕生日会の支度をしないとな」

ライトの言葉に、クロエが闇の女王やレオニスの手を嬉しそうに取り、庭へ行こう!と引っ張る。

可愛い娘のおねだりに、レオニスも闇の女王もにこやかに応える。

そうしてライト達は暗黒神殿の横にある庭園に移動していった。