軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1348話 別れの時と再会の約束

ハドリー達の孵化が無事完了した後、ライト達はユグドラツィのもとで昼食を摂ることにした。

太陽が真上に登る正午、まさにお昼時である。

ライトはユグドラツィやハドリー達のためのブレンド水を作り、レオニスとラウルは敷物や皆で食べる昼食の準備を進める。

昼食の支度が整うのを待つ間、ラーデとシーナ、アルはユグドラツィと会話したりハドリー達と遊んだり、思い思いに過ごしている。

そしてブレンド水の準備ができたライトが、ユグドラツィとハドリーに向かって声をかけた。

「ツィちゃんとハドリー達にご馳走するブレンド水の準備ができたよー!」

『ブレンド水って、なーに?』

「もともと美味しいお水に、さらに美味しくて元気になるいろんなものを混ぜたお水のことだよ!」

『あ、それ、こないだ僕がご馳走になったやつ?』

「うん、リィはもうツェリザークの雪解け水を飲んだよね。今日はそのツェリザークの雪解け水に、グランドポーションとコズミックエーテルを一本づつ混ぜたんだ」

ライトの解説に、興味津々といった様子でバケツの中を覗き込むハドリー達。

五つ並ぶバケツと三つ並ぶ 盥(たらい) の中には全て同じ水、ツェリザークの雪解け水にグランドポーションとコズミックエーテルをブレンドしたものが入っている。

バケツはユグドラツィ用で、盥はハドリー達用のブレンド水だ。

これからここでお茶会や食事を摂る時には、ユグドラツィの分だけでなくハドリー達の分のブレンド水も用意しなければならない。

しかし、ライトがそれを厭うことなど決してない。

ハドリー達はライトの使い魔ではあるが、これから末永くユグドラツィのもとで仲良く楽しく暮らしていってもらう予定なのだから。

「そしたらレオ兄ちゃんとラウルは、ツィちゃんにブレンド水をあげてくれる? ぼくはハドリー達を見てるから」

「「了解ー」」

ライトの頼みを快諾したレオニスとラウル、ブレンド水入りのバケツを持って飛びユグドラツィの根元にかけていく。

ハドリー達は盥の周りに集まり、それぞれ手で水を掬いながら口に運んでは『美味しーい!』『パパの作ったお水を飲むと、元気いっぱいになる気がするー!』と、あちこちで大絶賛の嵐が巻き起こる。

同じブレンド水を飲むユグドラツィにももちろん大好評だ。

レオニスとラウルがかけた水をじっくり飲んだ後、ユグドラツィが『今日も滋味豊富で、実に味わい深い水ですねぇ……』と満足そうに呟いている。

そうして神樹とハドリーに先にブレンド水をご馳走した後は、ライト達が昼食を食べる番だ。

今日は銀碧狼親子もいるため、敷物の中央には唐揚げが山盛りに乗せられた皿が鎮座ましましている。

「「「『『いッただッきまーーーす!』』」」」

食事の挨拶を唱和した後、各々好きなものに手を伸ばし食べ始める。

アルとシーナの前には皿が置かれていて、皿の上が空になる度にアルの横にいるライトとシーナの横にいるレオニスがせっせと唐揚げを運んでいる。

『この唐揚げというのは、本当に美味ですねぇ』

「シーナさん達に喜んでもらえて嬉しいです!ラウル、唐揚げが美味しいって言ってもらえて良かったね」

「お褒めに与り光栄だ」

「……(もっしゃもっしゃ)……」

「アル、慌てて食べなくてもおかわりはたくさんあるからね?」

「ワフッ、ワフゥッ」

久しぶりに食べる唐揚げに舌鼓を打つ銀碧狼親子。

ちなみにラーデもこの唐揚げが大好きで、ラーデの横にいるラウルに取ってもらってはもっしゃもっしゃと美味しそうに食べている。

ピラミッドのように堆く積まれていた唐揚げの山は、あっという間に切り崩されて空になっていった。

そうして皆大好き唐揚げピラミッドを三皿平らげたライト達。

食事の後のデザートは、巨大林檎のアップルパイを取り分けて皆で食べる。

ハドリー達にもアップルパイの林檎の部分を小さく切り分けたものを与える。

ブレンド水とはまた違う美味しさに、ハドリー達全員が『甘くて美味しい!』『とっても良い香り!』と大喜びしていた。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

皆で楽しい昼食のひと時を過ごしたライト達。

そろそろ次の行動に移るために、ひとまずユグドラツィのもとを去ることにした。

ライトがユグドラツィに向かって別れの挨拶をする。

「ツィちゃん、今日も楽しい時間をありがとうございました!」

『こちらこそ、いつも貴方達には世話になってばかりで……本当にありがとう』

「生まれたばかりのハドリー達のこと、よろしくお願いしますね」

『もちろんです。この愛らしい新たな友は、私が身を賭して守ります!』

「ぃゃ、ツィちゃんが身を賭したら困るんですが……でもまぁね、守るものがあれば今まで以上により強くなれますもんね」

ライトにハドリーのことを頼まれたユグドラツィ、いつになく張り切っている。

世界に六本しかない神樹が身を賭して草木の精霊を守るとか、存在の格で言えば本末転倒である。

しかし、見方を変えればそれも悪くないかも、とライトは思う。

ハドリーの存在は、既にユグドラツィにとって生きるモチベーションに直結する掛け替えのない友なのだから。

そしてライトの横で、レオニスやラウルもハドリーに話しかけている。

「お前らも、ツィちゃんのことを守ってやってくれよ」

『もちろん!』

『ママのことは、僕達が守る!』

「もし何か困ったことがあったら、いつでも俺達を呼べ。すぐに駆けつけるから」

『どうやって呼べばいいのー?』

「あっちの方角に、ご主人様達―――この赤い服を着たレオニスという人間と、そこにいる小さな人間、ライトが住む家がある。俺も毎朝その家に野菜を収穫しに来ているから、そこに来れば誰かしらいる」

『分かったー!』

数人のハドリー達に、ユグドラツィのことをくれぐれも頼むレオニスとラウル。

残りの他のハドリーは、アルとシーナに群がっていた。

『アル君、帰っちゃうの?』

『寂しいな……』

「ワウワウ、ワォン!」

『うん、そうだよね……また会えるよね』

『もふもふなお母さん、またアル君と遊びに来てね』

『ええ。またいつの日か、必ず遊びに来ると約束しましょう』

『約束よ!』

『楽しみに待ってるね!』

ハドリー達と再会を誓う銀碧狼親子。

ハドリー達は名残惜しそうに、アルやシーナのもふもふ毛並みに埋もれている。

しかし、いつかは別れの時がやってくる。

ユグドラツィに『さあ、ハドリーの皆、お客様のお帰りの時間ですよ』と声をかけられて、もふもふに埋もれていたハドリー達がアル達の身体からそっと離れていった。

『アル、シーナ、この地に来た時には必ず私達にも会いに来てくださいね』

『ツィちゃん、またお会いしましょう!』

「ワォーーーン!」

「じゃ、皆、またね!」

『『『またねーーー!』』』

ユグドラツィが銀碧狼親子に別れの挨拶をし、シーナ達も力強くそれに応える。

ライトがアルの背に乗り、ラーデはシーナの背に乗りレオニスやラウルとともに帰っていく。

その後ろ姿が見えなくなるまで、ハドリー達はずっと手を振り続けながらユグドラツィとともに見送っていた。