軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1338話 極上の温もり

その後ライト達は台所で皆で晩御飯を食べ、食後はリビングに移動してのんびりと寛いだ。

シーナが皇竜やマキシと談笑している横で、ライトがアルのブラッシングをしている。

「アル、また大きくなったねぇ」

「ワフゥ~……」

「アルも早く人化できるといいなぁ。そしたらたくさんおしゃべりできるし、人里にお出かけもできるようになるもんね!」

「ワゥワゥ~……」

ライトがアルに楽しそうに話しかけ、アルもうっとりとしながら返事をしている。

前にシーナに聞いた時には、二年か三年もすれば人化の術を習得できるだろう、という話だった。

ならばあと一年か二年もすれば、アルも人化の術を使えるようになるだろう。

今からその日が楽しみである。

そしてレオニス達の方では、今後の行動予定を話し合っていた。

「俺達は明日、コルルカ高原の金鷲獅子に会いに行く予定なんだが。シーナとアルも行くか?」

『そうですね……私自身は一度も金鷲獅子に会ったことはないのですが。かつては我ら銀碧狼とも交流があった、と聞いたことはあります』

「そっか。じゃあシーナ達も、コルルカ高原でアウルムと友達になろうぜ!」

気軽に提案するレオニスに、ラーデも話に加わってきた。

『うむ、金鷲獅子のアウルムは我の知己にして旧くからの知り合いで、決して悪い奴ではない。其方ら親子とも仲良くなれるであろう』

『だといいのですが……うちの子はあの通り、怖いもの知らずなところがあるので……』

『それこそ問題ない。アウルム自身度量の大きい奴だし、万が一何かあっても我やレオニス達が執り成すから心配無用ぞ』

シーナがアルの方をちろり、と見遣りながら躊躇う。

しかしラーデの言う通りで、もし万が一コルルカ高原で何かトラブルが起きたとしても、それこそラーデやレオニスが仲裁すればいいことだ。

二者の心強い言葉に、シーナも小さく頷きながら答えた。

『そうですね……自分の縄張りの外に出るのは、アルにとっても良い機会ですし。では明日のお出かけに、私達親子も同行させていただきましょう』

「そっか!……って、コルルカ高原って平地と谷間の高低が結構激しいんだが、大丈夫か?」

『問題ありません。私達銀碧狼には翼こそありませんが、地における高低など恐るるに足らず』

「おお、そりゃ頼もしいな」

空を飛べない銀碧狼にコルルカ高原遠征は厳しいか?と案じたレオニスだったが、当のシーナは事も無げに問題ないと言い切る。

シーナがそう言うのだから、間違いなく大丈夫なのだろう。

そう確信したレオニスが、ライト達のいる方に向けて声をかけた。

「おーい、ライト、アル、明日のコルルカ高原遠征にシーナとアルもいっしょに行くことになったぞー」

「えッ、ホント!? アル、明日は皆でいっしょにお出かけだって!」

「ワォンワォン!」

レオニスの呼びかけに、ライトはもちろんアルも破顔する。

今日のお泊まりだけでなく、明日の遠征もいっしょに出かけられるというのだから、ライト達が喜ばない訳がない。

「じゃあ、今日は皆早く寝ないとね!」

「そうだな。ラウルとマキシも、そろそろあっちの家に戻るか?」

「ああ。ご主人様達も、明日出かけるなら気をつけてな」

「はい!シーナさん、アル君、明日のお出かけでたくさん楽しんできてくださいね!」

『ありがとう』

「…………」

明日のお出かけのために早く寝よう!と言うライト。

それをきっかけに楽しい談笑の場は一旦お開きになり、それぞれの居場所に戻っていく。

ラウルとマキシは転移門でラグナロッツァの屋敷に帰り、ライトは既に寝てしまったアルを抱っこして自分の部屋に連れていった。

残るはレオニスとシーナとラーデ。

レオニスはシーナとラーデを自室に連れていく。

「シーナは俺のベッドを使ってくれ。俺はリビングのソファで寝る」

『あらまぁ、そんな気を遣わなくてもいいのに。狼の姿なら、皆で雑魚寝しても問題ないでしょう?』

「ンー、そりゃそうなんだが……なら、どうせなら向こうに行ったライトとアルも呼んで皆でいっしょに寝るか。そうすりゃ明日の朝も皆いっしょに起きられるしな!」

シーナの提案に納得したレオニスが、ライトとアルを呼びに一旦自室を出る。

その間シーナはレオニスのダブルキングサイズのベッドに横たわり寝そべる。

そうしてしばらくすると、アルを抱っこしたライトがレオニスとともに部屋に入ってきた。

アルはライトの腕の中でぐっすりと寝ていて、ラーデはシーナの腕に頭を凭れかけている。

「アルはもう寝ちゃってるけど……レオ兄ちゃんから、シーナさんのもふもふベッドで寝れると聞いてきました!」

『フフフ、私の身体でそんなことをさせるのは、貴方方だけですよ?』

「ありがとうございます!」

シーナの魅惑的なお誘いに、一も二もなく飛びつくライト。

アルを抱っこしたまま、早速シーナの胸元辺りにぽふん、と飛び込んだ。

ライトはシーナのふわふわとした艶やかな銀碧色の毛に埋もれ、はぁー……という至福のため息を洩らす。

「そういえば、今日はシーナさんのブラッシングしてませんでしたね……明日のお出かけから帰ったら、ぼくとレオ兄ちゃんが心を込めて……丁寧にブラッシング……しますから、ね……」

『ええ、楽しみにしていますよ。さあ、レオニス、貴方ももう寝なさい』

「ぉぅ……お邪魔しまーす」

シーナのもふもふの心地良さに、ライトはあっという間に眠りに落ちてしまった。

そしてシーナの前で未だに立っているレオニスに、シーナが合流を促す。

レオニスは遠慮がちにライトのすぐ後ろにつき、ライトと同じくシーナのもふもふ毛並みに頭を埋めた。

「ぉぉー……ふわっふわで気持ちいいなぁ……」

『貴方方がこの家に戻る前に、お風呂でライトに綺麗に洗ってもらいましたからね』

「そりゃ良かった……明日の、コルルカ高原遠征、楽しみだな……家に帰ってからも……シーナのブラッシングは、俺とライトに……任せとけよ……」

『ええ、期待してますよ』

レオニスもシーナのもふもふ毛並みに埋もれた途端、みるみるうちに眠りに落ちていく。

銀碧狼の艶やかな毛並み、それは見た目が美しいだけでなく安眠効果も抜群のようだ。

シーナの腕に頭を乗っけていたラーデが、ライト達の顔を見ながらくつくつと笑う。

『この兄弟、血の繋がりはないと聞くが……とてもそうは思えないそっくりさだな』

『フフフ、皇竜もそう思われますか?』

『ああ。其方もそう思うだろう?』

『ええ……この者達を見ていると、絆の深さに血の繋がりは決して必要ではないのだ、ということを思い知らされます』

血の繋がらない兄弟なのにやることがそっくりで、何なら寝顔までそっくりに見えてくるから不思議なものだ。

もふもふベッドと化したシーナも、ライト達の寝顔を見ながら思わずクスクスと笑う。

スヤァ……と眠るライトに、くぁー……といびき未満の寝息を立てるレオニス。ライトの腕の中でぐっすり寝ているアルが、時々鼻をムズムズと動かしながらフゴッ……という鼻息を立てている。

三月でまだ肌寒い空気の中、ライト達は極上のもふもふに包まれながら互いの温もりを感じ合っていた。