軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1323話 皆でお出かけ

その後ラウルは、畑での作物を大根中心に切り替えていった。

もちろん他の作物も作るには作るが、畑の総面積の半分以上を大根作りに割り当てる程の集中ぶりである。

この調子なら、ライトが春休みに入る頃には四百本を優に超える量の巨大大根ができていることだろう。

また、その日の夜の晩御飯の時に、ライトからレオニスにユグドラツィのもとでハドリーの里を形成する計画を話した。

もちろんレオニスに否やはない。大賛成である。

「じゃあ、ライトが春休みになったら早速皆で卵の孵化作業をしに行くか!」と超乗り気だったくらいだ。

そして翌日の日曜日。

この日はライトとレオニス、マキシにラーデ、全員でのお出かけ予定が入っていた。

本日の行き先はドラリシオの里。以前ライト達がノーヴェ砂漠から救出したドラリシオ達の様子を見に行くつもりなのだ。

かつてラウルがふらりと出かけたネツァクの街で、ノーヴェ砂漠での異変を知り事件解決に挑んだのが昨年の十月中旬頃のこと。

それから四ヶ月以上が経過した今、助けた四体のドラリシオ・ブルームや他の約百体の具合はどうなのか気になるところだ。

なので、見舞いと称して皆でドラリシオ・ブルーム達の様子を見に行こうか、という話になったのである。

ちなみにマキシは勤め先のアイギスがまだ休業中なので、休暇など別途取得することなく普通にライト達と同行できる。

カイ達アイギス三姉妹は今日まで新ラグナロッツァ孤児院にいて、明日の月曜日にレオニスが迎えに行き火曜日から営業再開という予定になっていた。

朝早いうちに、ライトは魔石回収ルーティンワーク、レオニスは森の警邏、ラウルは野菜の収穫に勤しむ。

そうした朝の作業を各自終えて、午前八時にマキシがラグナロッツァの屋敷から転移門で移動してきてカタポレンの家に全員集合した。

全員が揃ったところで、レオニスが空間魔法陣を開き何かを取り出した。

それを見たマキシが、思わず声を上げた。

「あ、それ、カイさん達に作成依頼していたマザーの蔓の装飾品ですよね?」

「そうそう。カイ姉にあの蔓を渡して、どんな形でもいいからアクセサリーを作ってくれって頼んでおいたやつだ」

「僕もそのアクセサリー作りを少しだけ手伝いました。手伝いと言っても、乾燥させた繊維の長さを揃えたり仕上げの艶出しを施す程度ですけど」

「そうか、それだって立派な手伝いだ。マキシ、ありがとうな」

「えへへ、それ程でも……」

レオニスに褒められたマキシ、照れ臭そうにはにかむ。

レオニスが取り出したのは、ドラリシオ・マザーの蔓を用いて作ったブレスレット。

まずマザーの蔓をできるだけ細く長く裂き、糸状にしてから乾燥させて撚り合わせて麻のような紐にする。それを編み込んでブレスレットにしたものだ。

留め金具は一切使わずまとめ結びで作ってあるので、腕の太さに合わせて大きさを調節できるのが素晴らしい。

さすがはアイギス製のアクセサリーである。

「これは、ドラリシオ・マザーからもらった蔓で作ったやつだ。これがドラリシオの群生地での身分証兼通行証代わりになるから、群生地に行く前に皆にこれを渡しておく。今から身に着けておいてくれ」

「はーい!」

全部同じブレスレットなので、レオニスが適当に一人一人に手渡していく。

これさえあれば、ライト達は『ドラリシオ・マザーの友』としてドラリシオの群生地に安心して入ることができる。

そう、毎回毎度侵入者として外敵認定されて、その都度ドラリシオ達に攻撃されてはたまらないのである。

「よし、じゃあ今から目覚めの湖に行くぞ」

「はーい!」

ライト達は家を出て、まずは目覚めの湖に向かう。

あの事件には水神アクアも関わっていて、ドラリシオ・ブルーム達がカタポレンの森への帰還するために力を貸してもらったという経緯があるためだ。

艱難辛苦に見舞われたドラリシオ・ブルームだけでなく、その後ドラリシオの群生地で三体のドラリシオ・チルドレン達とも仲良くなったアクア。きっと彼も、ドラリシオ達のその後を気にしているに違いない。

目覚めの湖に到着したライト達。

まずはライトが湖面に向かって、大きな声でアクアの名を呼んだ。

「おーい、アクアー、ぼくだよー、ライトだよー。起きてるー?」

ライトが声をかけてからしばらくして、アクアが水面からスーッ……と出てきた。

アクアの後ろには、ウィカがついてきている。

『ライト君、おはよう』

「おはよう、アクア!」

「おはよう、アクア。久しぶりだな」

「俺もアクアに会うのは久しぶりだな。おはよう」

「アクア君、おはようございます!」

『水神よ、久しいな』

ライト達と朝の挨拶を交わすアクア。

後ろにいたウィカとも『皆、おはよー!』「ウィカもおはよう!」等々挨拶を交わしている。

ちなみに水の女王とイードはまだ寝ているらしい。

そんなライト達に、アクアが不思議そうに問うた。

『ていうか、レオニス君にラウル君、それにマキシ君やラーデ君まで勢揃いで、今日は一体どうしたの?』

「今日はぼく達、ドラリシオの群生地に行くんだ。ほら、前にアクアに助けてもらったドラリシオ達のこと、覚えてる?」

『もちろん。前に砂漠から連れ出した、あの可愛らしいお花の子達でしょ? 忘れる訳ないじゃない』

ライトの問いかけに、アクアも静かに微笑みながら頷く。

アクアもドラリシオ・ブルーム達のことをちゃんと覚えていたようだ。

「そうそう。あの事件からもう結構な日が経ったでしょ? あれからドラリシオ達がどうしているかとか、元気になったのかとか、いろいろ気になるからね。今日は皆でドラリシオ達のお見舞いに行くんだ。それで、もし良かったらアクアもいっしょにどうかと思ってさ、誘いに来たんだ」

『そっか、僕のためにわざわざ寄り道してくれたんだね、ありがとう。僕もブルーム達のことは気になってたから、是非とも皆といっしょにお見舞いに行きたいな』

「だよね!ぼく達も、きっとアクアならそう言うだろうって話してたんだ!」

ライト達と同行したいと言うアクアに、ライトの顔がパァッ!と明るくなる。

やはりアクアもライト達と同じく、ドラリシオ・ブルーム達のことを気にかけていたようだ。

思いがけない誘いに、アクアも嬉しそうにライト達に声をかける。

『じゃあ、皆僕の背中に乗って。ドラリシオの群生地に一番近い巌流滝に行こう』

「あ、アクア、ちょっと待って。巌流滝に行くより先に、モクヨーク池に寄ってくれる?」

『モクヨーク池? ………………大神樹の近くにある池のこと?』

早速ドラリシオの群生地に向かおうとするアクアに、ライトが待ったをかける。

ドラリシオの群生地にすぐに行くのではなく、その前にもう一ヶ所寄り道しなければならなかった。

「うん。そこには八咫烏の里があって、マキシ君のお兄さんのフギンさんとレイヴンさんがいるんだ」

『ああ、そういうことね。あの事件の時、フギン君とレイヴン君もいっしょにいたものね』

「そそそ。せっかくならあの時にいた全員で、ブルームさん達のお見舞いに行きたいんだ!」

ライトの説明に、アクアもうんうん、と頷きながら理解を示す。

ドラリシオ・ブルームの救出劇には、アクアだけでなく八咫烏のフギンとレイヴンも深く関わっていた。

当時フギンとレイヴンは、たまたま人里見学に来ていたところにラウルとともにネツァクの事件に遭遇した。

その後二羽は、弟であるマキシとともに夜のノーヴェ砂漠でドラリシオ・ブルーム達を守り、彼女達を群生地に無事送り届けるまで付き合った。

そんな彼らだって、アクアと同じようにブルーム達のその後が気になるはずだし、その気持ちはアクアにもよく分かるようだ。

『分かった。じゃあ先に、フギン君とレイヴン君を迎えにモクヨーク池に行こう。皆、僕の背中に乗ってー』

「うん!」

「アクア、今日もよろしくな」

「お邪魔しまーす」

改めて声をかけるアクアに、ライト達がいそいそとアクアの背に乗り込む。

アクアはまた大きく成長し、ライト、レオニス、ラウル、マキシの四人が余裕でその背に乗れる程だ。

ちなみにラーデはラウルに抱っこされている。

『全員乗った?』

「うん!」

『じゃ、行くよー』

「はーい!」

ライト達全員が背中に乗ったことを確認したアクア。

静かに湖面に沈み、モクヨーク池に移動していった。