軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1304話 帰宅後の行動

地底世界から目覚めの湖に帰還したライト達。

アクア達と別れてカタポレンの家に戻ると、ラウルが一人で丸太の処理作業をしていた。

ちなみにラーデは南側の開拓済みの平地で、のんびりと日向ぼっこしつつお昼寝中である。

「ラウル、ただいまー。丸太作りしてるの?」

「お、二人ともおかえりー。この家の南側、ラーデ用の居場所の開拓がだいたい終わったからな。次は伐った木を全部丸太にして、出来上がったらガーディナー組に『コテージキット』を作ってもらう予定なんだ」

「「ココココテージキット……」」

ラウルの新たなる丸太再利用計画『コテージキット』なるものに、ライトとレオニスが目を丸くしている。

ラウルはこれまでも、伐採したカタポレンの森の木をガーディナー組に持ち込んで『ログハウスキット』に加工してもらっていた。

そうして出来上がったログハウスキット三組のうち、一つは八咫烏の里、もう一つは天空島の畑の島にログハウスを組立済みだ。

そしてまた開拓による伐採で新たに得た木で、今度はログハウスよりもさらに大きなコテージを作るつもりらしい。

ラウルの行動のパワーアップぶりは、まさに破竹の勢いにして留まるところを知らないようである。

するとここで、ラウルがレオニスに向かって声をかけた。

「キットにしてもらったコテージは、ラーデ用の敷地の一角に来客用建物として建てる予定だ」

「そうか、何だかすんげー豪華な建物ができそうだな」

「まぁな。そんな訳で、ご主人様よ。一応このカタポレンの家の来客用に使う予定のものだから、加工代金の半分くらいは出してほしいんだが」

ラウルがレオニスに切り出したのは、コテージキットの購入代金問題。

ログハウスキットの時は、ラウルが自発的に発注したものだし一組30万Gとまだ手頃な価格だったので、代金は全てラウルが出した。

だが、ラウルの話によると、今回のコテージキットはガーディナー組お得意様価格でも一組150万Gするらしい。

150万Gの一括払いは、さすがにラウル一人で払うには少々キツいようだ。

そんなラウルの話に、レオニスが即答で快諾する。

「おう、いいぞ。つーか、半分と言わず俺が全額出そう」

「いいのか!?」

「この家の来客用なら、俺が全額出すのが筋だからな」

「ありがとう!」

ラウルのコテージキット購入代金の折半交渉に、レオニスが半額どころか全額負担を申し出た。

確かにこのカタポレンの家の離れとして新たに家を建てるなら、その宿泊客は間違いなくレオニスやライトの関係者になるはずだ。

ならばその費用は、家主であるレオニスが負担して当然、という訳である。

コテージキットの代金の心配が一切なくなったラウル、非常に明るい顔でライト達に話しかけた。

「そしたら俺は、今ある丸太の加工作業が終わったらラグナロッツァに戻ってガーディナー組に相談してくるわ。丸太の方も、加工しなきゃならん分の半分は終わってるからな。加工済みの丸太だけでも先にガーディナー組に預けておけば、早くに受け取れるし」

「ああ、なら俺もラグナロッツァに行こう。そのコテージキット?の代金の150万Gを口座から下ろしておきたいし、俺自身そろそろ冒険者ギルド総本部にも顔を出しとかなきゃならんからな」

「じゃ、ご主人様も俺といっしょにラグナロッツァに行くか」

「おう」

レオニスとラウル、二人してラグナロッツァ行きが確定した。

時刻はまだ午後三時少し前なので、今から出かけても何の問題もない。

そうすると、残るはライトの予定なのだが。レオニスがライトに向かって声をかける。

「ライトはこれからどうする?」

「ンー、そうだねー……ぼくもちょっとお出かけしてこよっかなー」

「そうか。……ま、どこに出かけるかは聞かないでおくが。日が明るいうちに帰ってこいよ?」

「もちろん!夕方にはちゃんと帰ってくるから、心配しないでー」

「お前の言う『ちょっとお出かけ』は、ホンット心配が尽きねぇんだよ……」

ライトが別行動で出かけると言うと、レオニスがジトーッ……とした半目でライトを見つつ注意する。

行動に信用がないというのは心外だが、先日のビースリーの件で無断で家出をしたことを思えばライトに反論できようはずもない。

一度失いかけた信頼を取り戻すのは容易ではない。

だが、ライトにも皆にそれだけ心配させてしまったという自覚はある。

故に言葉に出して、懸命に約束を守るアピールをするのみだ。

「ホントに大丈夫だよ、ちょっとだけ旧教神殿に行くだけだから!」

「旧教神殿……あの魔女に会いに行くのか?」

「あー、ヴァレリアさんはたまーにしか会えない人だから、今行って会えるかどうかは分かんない。でも、ミーアさんにはちゃんと帰宅できた報告をしたいんだ」

「ミーア……ああ、あの巫女の方か。……まぁな、友達にも心配をかけたってんなら、お前の方からちゃんと謝りに行かんとな」

「うん」

行き先を明かしたライトに、レオニスが頷きながら納得する。

そしてライトの頭をくしゃくしゃと撫でながら、ヴァレリアへの言伝を頼んだ。

「そしたら次にあの魔女に会った時でいいから、俺がありがとうと礼を言っていた、と伝えてくれ」

「ン? レオ兄ちゃん、ヴァレリアさんにお礼を言うようなことをしてもらったの?」

「ああ。あの魔女が、コヨルシャウキのところに行った勇者候補生を迎えに行くって言ってたからな。それがなけりゃ、勇者候補生は今もまだあの宇宙空間でコヨルシャウキ相手に戦い続けていただろうよ」

「う、うん、そうだね……」

レオニスの言葉に、ライトの目が左右に泳ぐ。

レオニスは未だに気を遣ってか、敢えてライトの名は出さずに『勇者候補生を迎えに行くという約束を守ってくれた』という体で話をしている。

そしてレオニスの言うことは紛うことなき真実で、ヴァレリアがライトを迎えに星海空間に行かなければ、今頃もまだライトはコヨルシャウキとの死闘を必死に繰り広げ続けていたことだろう。

それを思うと、レオニスだけでなくライトもヴァレリアに対してただただ感謝しかない。

「次にヴァレリアさんに会えたら、レオ兄ちゃんのお礼を必ず伝えておくね!」

「ああ、頼んだ」

「今日の晩御飯は、ラグナロッツァの屋敷に食べに行くからね!ラウル、よろしくね!」

「おう、任せとけ」

「じゃ、いってきまーす!」

「「いってらー」」

ライトはレオニスとラウルにお出かけの挨拶をした後、勢いよく家の外に向かって飛び出していった。

そんなライトを見送りつつ、レオニスがぽつりと呟いた。

「……ライトのやつ、ここからどうやって旧教神殿に行くんだ?」

「つーか、俺はその旧教神殿とやらが何かすらも全く分からん」

「あー、お前の場合はそこからか……」

レオニスの独り言に、ラウルもまた素朴な疑問を呟く。

勢いよく飛び出していったライトを見送ったのはいいが、どうやってカタポレンの森からディーノ村のはずれのさらに山奥にある旧教神殿に行くのかがレオニスには全く分からない。

普通に考えたら、冒険者ギルドの転移門を使ってラグナロッツァ総本部からディーノ村出張所に瞬間移動するのが王道のはずなのだが。ライトは家の中には戻らずに、森の方に出ていってしまった。

ライトは人目のつかない場所まで移動し、そこからマッピングスキルで転職神殿にひとっ飛びできるし、そのつもりでカタポレンの家から離れた。

しかし、レオニス達はまだそのことを知らないので、レオニスが不思議に思うのも無理はなかった。

ラウルに至っては、そもそも旧教神殿跡地が何なのかも全然知らないので、レオニスが何を不思議に思っているのかすら分かっていなかったりする。

しばしぽけーっ……と突っ立っていたレオニスとラウル。

レオニスの方がいち早く気を取り直し、右手で頭をガリガリと掻きながら呟く。

「……ま、いっか。そこら辺も勇者候補生の秘密の範疇らしいしな」

「そっか、ならあまり根掘り葉掘り聞くことはできんな」

「そゆこと。……さ、俺達もラグナロッツァに行くか」

「だな」

「先に総本部で俺の口座から金を下ろしてからガーディナー組な」

「了解ー」

二人は踵を返し、カタポレンの家の中に入っていく。

そして転移門を使用して、二人でラグナロッツァの屋敷に移動していった。