軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第13話 相違点

ライトは昨日レオニスとともに回収した、色とりどりの様々な魔石を机の上に置き、触ったりコロコロ転がしたりしながら眺めていた。

ちなみにレオニスは外出中で不在、ライト一人でお留守番である。

見る角度によって、オーロラのように様々な色を奏でる輝きを放つ無属性系。その他にも、燃えるような紅色や湖面を思わせる濃いめの青色、滝や清流の透明感の強い水色、草原の風を思わせる鮮烈な緑色等々、一目でどの属性かがわかる魔石たち。

そのどれもが、いずれ劣らぬ力強い煌めきとオーラを放っている。尽きることのない魅惑的な輝きは、まるで本物の宝石のようだ。

いや、その価値や有用性を考えたら宝石以上の代物である。宝石好きな女性でなくとも、溜め息とともにいくらでも眺めていられそうだ。

この世界の魔石には種類があり、密閉型のダンジョンや森林、草原などに出現する魔物を倒して得られるタイプと、その土地が生み出した結晶となって形成するタイプの二者が存在する。今ライトの目の前にある魔石は、当然後者である。

ライトの前世でのメインゲーム、ブレイブクライムオンラインにも魔石というアイテムは確かに存在した。

だがそれは、先程の例えでいうところの前者のみだった。

ライトが知る魔石とは、討伐任務や冒険フィールドのモンスターを倒して入手するものであり、その効果も魔力量を少し回復させるくらいで、売価も150G程度の雑魚アイテムだ。

土地そのものから生み出される天然結晶の魔石とか、ましてや属性つきの魔石なんて見たことも聞いたこともない。

それに比べて、今ライトの手のひらの上にある魔石。

厳密に言えば、完全なる天然物ではない。レオニスが施した魔法陣の上に置いた水晶に、カタポレンの森の魔力をこれでもかというくらい極限まで吸わせた人工的な、いわば養殖物である。

だが、キラキラと力強く輝く煌めき、手に軽く握るだけでも痛いくらいの熱さや冷たさを感じる程の強力なオーラ。

その力強さは、紛れもなく極上の魔力が込められていることの証左。ダンジョンの魔物からドロップする魔石など、比べものにすらならない。

その魔力量の多さは、もしかするとMP回復剤であるエーテル類を飲むよりも効率が良いかもしれない。

『やっぱり、ブレクラとは違うところがいくつもあるなぁ……しかもこの世界で生きていく上で、結構重大なものもある。カタポレンの森の魔力を吸い上げたこの魔石なんて、最たるものだ』

うっかり口に出して、万が一レオニスに聞かれでもしたら大変なので、ライトは頭の中であれこれ考える。

『魔石ひとつでアイテムへの属性付与ができるとか、とんでもなく有利なアドバンテージじゃねぇか!』

『ブレクラで属性付与スキルを覚えるってったら、あのクッソとんでもなくめんどくせぇイベントこなさなきゃなんねぇし……』

『ぐああああ、思い出すだけで気が遠くなる……』

ライトはかつて前世でプレイしていたゲームの知識を、脳内フル回転サルベージしていた。

『とはいえ、どうやら魔石で付与できる属性は今のところ、地水火風の四属性だけっぽいしなー……光や闇、時空や空間といった、目には見えてもその本質が掴まえどころのないものは、魔力の吸い取りようがない―――ってなところか』

『いや、光の神殿や奈落の洞窟、あそこら辺に行けば光と闇は地水火風同様に魔力を取り出せそうではあるが……今はまだそれができる時期でもなければ、俺自身にその力もない』

『属性付与スキル、属性付きの魔石で賄えるってのはありがたいことに違いないが……四属性以外の、特殊系属性で何かしようとするなら、やっぱあれやるしかないのか……』

『あのイベントをクリアする、唯一覚える方法はそれしかないからなー……はぁぁぁぁ、いずれはこなさなきゃならんな……できるだけ早いうちに……』

そんなことを考えながら、頭の中であれこれ策を巡らせていると、出かけていたレオニスが帰ってきた。

「ただいまー。ライト、いるかー?」

「おかえりー、レオ兄ちゃん!」

ライトは年相応の言動に戻り、レオニスの足に飛びついて帰宅の歓迎をする。

脳内サルベージ中の小難しいしかめっ面から、瞬時に幼子の顔になれるライト。その変わり身の早さ、まさしくハリウッド俳優を目指せるかもしれないキレの良い切り替え具合と演技力である。この世界にハリウッドが存在しないことだけが、甚だ残念ではあるが。

「今日は土産っつーかな、ライトに預かってもらいたいもんがあるんだ」

「おみやげ?なぁに?」

「それはな……これなんだが」

ライトの目線に合わせるべくレオニスはしゃがみ、その腕の中に抱えていたおくるみのようなものをそっとライトに渡した。

レオニスが抱えていた時にはそんなに大きく見えなかったが、小さなライトが抱きかかえるとかなり大きく感じる。

「うわっ、何ッ?……あッ……ッとと……えっ、と……これ、犬?」

それが何かもよく分からないうちに、レオニスから手渡されたものを落とすまいと懸命に抱きかかえるライト。

その腕の中には、綺麗な銀碧色の毛をした小さな犬のような生き物がいた。