軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1134話 最後の女王の情報

天空島で楽しいひと時を過ごした後。

翌日から、ライトのラグーン学園通いが始まった。

月曜日から始まった三学期なので、火曜日から金曜日まで普通に授業がある。

週末の土日が来るまでライトの冒険はお預けだが、平日は平日でそれなりにやることがある。

昼休みと放課後の図書室通いもその一つである。

今ライトが調べているのは、属性の女王に関することだ。

というのも、前日の夜に天空島での雷の女王の依頼?をレオニスにも話したところ、衝撃の事実が判明したからだった。

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………………

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ライトとレオニス、ラウルとマキシ、そしてフォル、皆で揃って晩御飯を食べ、その後のんびりと食後のお茶を楽しんでいた。

そしてライトは、外で働いて帰ってきたレオニスやマキシに今日の出来事を話して聞かせている。

午前中のラグーン学園の終了後、ラウルといっしょに天空島にでかけたこと、天空島では神殿の島で草むしりをしてきたこと、畑の島にあるログハウスの中も見てきたこと。ログハウスの中はかなり整備が進んでいて、何泊でも泊まれそうなこと、ログハウス内見後は二人の女王やパラス達とともに焼き野菜バーベキュー大会で盛り上がったことノ等々。

どの話も楽しそうに語るライトに、聞いている方のレオニスやマキシの顔も笑顔になる。

だが、雷の女王が風の女王のことを思い涙した時の話だけは、ライトも真剣な顔つきになる。

そして雷の女王から預かった【雷の乙女の雫】をアイテムリュックから取り出し、レオニスに渡して実物を見せた。

レオニスの手のひらの上にある、薄っすらと黄色に輝く【雷の乙女の雫】。それをレオニスがじっと見つめながら呟く。

「そうか、雷の女王は風の女王の妹になるんだな」

「うん。だからね、次に風の女王様に会いに行く時に、この【雷の乙女の雫】を渡すように頼まれたんだ」

「そしたら、今度の土日にでも早速行くのか?」

「もちろん!ラウルにも、次の土曜日にはケセドの街にお出かけしようねって話してあるし」

「おお、そりゃまた用意周到なこって……」

雷の女王が風の女王の妹分だとは、レオニスも全く知らなかった。

実は属性の女王に関する詳細なデータを、人族はあまり持っていない。いや、全くない訳ではないのだが、それでも属性の女王達に関しては未だに謎とされている部分が多い。

何故なら、そもそも人族の身で属性の女王に直接接触できることなど、これまでほとんどなかったからである。

するとここで、マキシがレオニスに尋ねた。

「レオニスさん達はたくさんの女王達に会ってきましたが、もう全員に会えたんですか?」

「ン? いや、あと一つだけ残ってる」

「え"ッ!?!?!?」

何の気なしに尋ねたマキシの質問に、これまたレオニスがシレッと事も無げに答える。

だがその答えは、ライトにとって想定外のことだった。何故ならライトの方は風の女王が最後だと思っていたからだ。

完全に予想外のことに、今度はライトが慌ててレオニスに問うた。

「え、嘘、待って待って、レオ兄ちゃん、他にもまだ会っていない女王様がいるの!?」

「おう、いるぞ。それは『砂の女王』といって、ノーヴェ砂漠に住むと言われている。砂、つまりは地属性の女王の一人だ」

「すすす砂の女王……何ソレ、そんなの知らない……」

レオニスの答えに愕然とするライト。

もちろんノーヴェ砂漠のことはライトもよく知っている。それはBCOでも冒険フィールドの一つとして登場した、サイサクス大陸唯一の砂漠である。

だが、そこに砂の女王なる地属性の女王が存在するとは、露ほども知らなかったのだ。

愕然とするライトに、レオニスはその解説を続ける。

「まぁな、ライトが知らんのも無理はない。そもそもこの砂の女王ってのは、属性の女王の中でもまた極端に目撃例が少なくてな。ほとんど文献に載ってないんだ」

「そ、そうなの……?」

「ああ。これはおそらくっつーか、単なる俺の推測なんだが。ノーヴェ砂漠って場所柄が関係してるんじゃないかと思う」

「ぁぁ……そゆことね……」

レオニスの推測に、ライトも納得する。

ノーヴェ砂漠とは昼夜問わず、そして人族のみならずほぼ全ての生き物に厳しい環境だ。

昼は灼熱地獄、夜は極寒の地。その寒暖差に耐えられる者は少なく、人族の商隊でもノーヴェ砂漠を突っ切るのを避けて大きく迂回する者も多い。

そしてもう一つの大きな要因が、その広大さだ。

見渡す限り砂地が広がる砂漠には、目印になるような物が何一つない。これではどこに何があるかを記録することすらできない。

例えばノーヴェ砂漠で砂の女王に出会ったとしても、ノーヴェ砂漠のどの辺りで目撃したかを証言することすら難しい。

もしその筋の研究者、仮に『属性の女王研究者』なる者がいたとしても、殊更砂の女王に関する情報は入手し難いであろう。

しかし、レオニスが砂の女王が存在すると言及するのなら、その根拠となる書物なり何なりがあるのだろう。

ライトはそれを知りたくなり、再びレオニスに問うた。

「レオ兄ちゃん、砂の女王様がいるという文献?はどこにあるの? 何ていう本なの?」

「あー、確か『世界不可思議発見!属性の女王達の神秘!』って本だったかな」

「それ、うちにあるの?」

「いンや、グライフのところで見た」

どこかで聞いたような本のタイトルだな……と思ったライト。

それもそのはず、その本はライトが『呪われた聖廟』のことを調べていた時にレオニスの書斎で見つけた『世界不可思議発見!呪われた遺跡大特集!』と同じ著者が書いた本である。

レオニス曰く『その本を見つけた頃は、まだ両方とも買う程金がなくてな。どっちも胡散臭い本だったが、遺跡と属性の女王、どっちを買うかとなったら遺跡一択だった』とのこと。

まぁね、この世界の本はお高いからね……と内心で納得するライトであった。

……………………

………………

…………

そんな訳で、ラグーン学園三学期が始まったライトは熱心に図書室通いをしていた。

しかしレオニスが言っていた通りで、初等部はもちろん中等部にも属性の女王に関する書籍は見つけることができなかった。

三学期二日目の火曜日から四日間、その週の金曜日までずーっと探しても見つからないのだから、これはもはやラグーン学園内では見つけられないということなのだろう。

そもそもレオニスですらほとんど見かけたことがないというのだから、小中学校の図書室には荷が勝ち過ぎるというものか。

ライトはラグーン学園の図書室で探すのを諦めて、金曜日の帰り道にスレイド書肆に寄り道することにした。

金曜日にラグーン学園での授業を終えたライト、下校時にスレイド書肆に立ち寄った。

店の扉を押して、ヒョイ、と顔を覗かせるライト。薄暗い店の中には、他の客がいるような気配は感じられない。

「ごめんくださーい」

ライトは店の中に入り、奥に向けて声をかける。

すると、しばらくして奥から誰かが出てくる気配がした。

スレイド書肆店主、グライフである。

「いらっしゃいませ。……おや、ライトではありませんか」

「グライフ、こんにちは!お久しぶりです」

「本当にお久しぶりですねぇ。元気にしていましたか?」

「はい!おかげ様でこの通り、元気に過ごしてます!」

「そうですか、それは良かった」

久しぶりに会う者同士、和やかな挨拶とともに再会を喜ぶ。

レオニスやラウルは度々グライフと顔を合わせているが、ライトとグライフが会うのは本当に久しぶりのことだ。

前に比べて少し日焼けしたグライフに、ライトが嬉しそうに問いかける。

「グライフ、日焼けしてますね。冒険者のお仕事も結構してるんですか?」

「そうですね、最近は週に二回くらいの頻度で総本部に顔を出していましてね。鈍りきった身体も感覚も、そこそこ戻ってきたという自負はありますよ」

「さすがはグライフですね!ぼくも早く冒険者になりたいなぁ」

冒険者稼業に復帰したグライフのことを、手放しで褒めるライト。

ライトはグライフが現役だった頃のことは全く知らないが、それでもグライフが凄腕冒険者だったことはレオニスから聞いて知っている。

グライフはレオニスが認める数少ない冒険者であり、ライトにとってはそれだけでもう尊敬の対象となるのだ。

そんな可愛らしい未来の後輩ライトに、グライフも思わず笑顔になる。

「フフフ、ライトももうすぐ冒険者になるのでしょう?」

「あ、はい!今年の八月の誕生日に十歳になるので、誕生日当日には冒険者登録するつもりです!」

「八月のいつですか?」

「十二日です!」

「八月十二日、ですね。よし、私も覚えておきましょう。その日はきっと……いえ、間違いなく私も出番がくるでしょうからね」

「???」

ライトの誕生日を確認したグライフ。何やらスーツの内ポケットからメモ帳を取り出してスラスラと記入している。

グライフが自分の誕生日を目出度く思ってくれるのは分かるが、メモる程のことなのか? しかも『出番がくる』って一体何のことだろう?

訳が分からないライトは訝しがっている。

何故グライフが、メモを取ってまでライトの誕生日を覚えておく必要があるのか―――それはグライフの予想『ライトの冒険者登録記念の歓迎会、その幹事もきっとレオニスから頼まれるに違いない』である。

そんなことは露知らぬライトに、メモを取り終えたグライフがサッ!とメモ帳を仕舞い、ライトに声をかけた。

「して、本日はどのような要件で立ち寄ってくれたんですか?」

「……あ、はい!実はレオ兄ちゃんから聞いた、グライフのところで見たとある本がまだあるかどうか知りたくてですね……」

「本のことなら、私にお任せください。早速ですが、どのような本かお聞きしても?」

「はい!えーっとですね……」

グライフが尋ねたことで、ライトの今日の本題に話題が移る。

二人はライトが探している本を見つけるべく、数多の蔵書がある店の奥に入っていった。