軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1109話 極上のもふもふ三昧と狩りへの同行

午前中は転職神殿で楽しいひと時を過ごしたライト。

午後はレオニス、ラウルとともにオーガの里に出かけていた。

今回の訪問目的は、ラウルが料理教室をしに行くと聞きつけたライトが「ぼくもいっしょに行く!」と言い、それにつられてレオニスも「そしたら俺もついていくかなー、今日の午後は予定入ってないから暇だし」という流れで決まったものである。

オーガの里の領域内に入った三人は、まずラキ宅を目指す。ラウルの料理教室は、常にラキ宅の厨房で開催されるからだ。

そして三人がラキ宅前に到着した時、ちょうど玄関からラキが出てきたところだった。ラキの横には黒妖狼のラニもいる。

家の主であるラキと鉢合わせたライト達。まずはラウルがラキに声をかける。

「よう、ラキさん。今からお出かけか?」

「おお、ようこそラウル先生。我は今から狩りのために、少々外に出かけるところでしてな」

「そうか、俺は奥方達に頼まれた料理教室に来たんだ」

「そうでしたか!いやはや、我も是非とも料理教室に参加したいところなのですが……今日はどうしても狩りに行かねばならず、誠に申し訳ない」

「いやいや、そこは気にしないでくれ。ラキさんだって、里の者達の食糧確保しなきゃならん立場だしな」

互いの今後の予定を話し合うラウルとラキ。

いつものラキなら、ラウルの料理教室にいの一番に参加するところなのだが。生憎今日は、里の外に狩りに出かける予定が既に入っているらしい。

そんなラウル達の話を聞き、ラウルの後ろにいたレオニスがヒョイ、と顔を覗かせた。

「何、ラキ、お前ら今から狩りに行くの? そしたら俺もついていっていい?」

「何だ、レオニス。我らの狩りを手伝ってくれるのか?」

「手伝いっつーか、ラキの狩りしてるところを見てみたいってのもある」

「そんなもんを見てどうするのだ……」

ラキの狩りに同行したい!と言うレオニス。その手伝いをするとは明言しないあたり、如何にも物見遊山な物言いにラキは若干呆れ顔になる。

そんな話を大人達がしている間、ライトはラニをもふもふしていた。

「ラニ、こんにちは!」(もふもふ)

「ワォン!」

「ラニ、また身体が大きくなったねぇー」(もふもふもふ)

「アォン?」

「そのうちに象くらい大きくなっちゃいそう」(もふもふもふもふ……)

ラニがライトのためにその場に座り、ライトがバフッ!とラニに抱きつき胴体部に埋もれている。

体高だけでもうレオニスの背丈くらいに成長したラニ。煌めくような艶々とした黒い毛足はとても綺麗で、いつもルゥ達の手によって行き届いたお手入れがされているのが手に取るように分かる。

普段ライトがもふもふする機会と言えば、カーバンクルのフォルを撫でる時くらいしかない。

いや、もちろんフォルをもふもふするのもとても気持ちいいのだが、カーバンクルと黒妖狼ではサイズが全く違う。

ライトの全身をも包み込むことのできる、滑らかですべすべなふわふわもふもふ。それは絶品にして究極、まさに天にも昇る心地である。

そんな子供達の様子を見て、レオニスがラキに問うた。

「つーか、もしかしてラニも狩りに連れて行くんか?」

「ああ。ラニは今やオーガの里の一員にして、立派な狩りの名手だぞ」

「へー、そりゃすげーな!……って、ラニってやっぱり狼なんかな? 少なくとも人族の知識では、こんなに大きな黒い狼は見たことも聞いたこともないんだが」

ラニが既に狩りに参加していることを知ったレオニス、感嘆しながらラニの身体を撫でる。

そんなレオニスが今最も気になるのは、ラニの種族だ。

ライトは持ち前のBCO知識により、ラニが黒妖狼という種族であることを知っている。だが、この黒妖狼という種族はサイサクス世界では一般的ではない。

特にレオニスは、その職業柄魔物についてはかなり詳しい。冒険者という危険を伴う稼業で生き延びるためには、いつ遭遇するかも分からない魔物の知識は必須だからだ。

サイサクス世界に生息する大抵の魔物のことを知っている、という自負がレオニスにはある。そのレオニスですら、見たことも聞いたこともない黒い狼とは一体―――レオニスがラニの種族を疑問に思うのも無理はなかった。

しかし、そんなレオニスの疑問をラキは一笑に付す。

「ラニが何者かは、我には関係ない。ただの狼かもしれないし、もしかしたら巨大な犬なのかもしれん。だが、どれ程稀少な狼であろうとラニはラニ。このことに何ら変わりはない」

「……そうだな。ラニが何であろうとオーガ族の一員で、ラキの家族で―――お前んちの四番目の子であることに変わりはないわな」

「そういうことだ」

ラキの言葉に、レオニスも大いに頷く。

ラニの正体が何であろうと、ラニは既にオーガの人達に仲間として迎え入れられ、ラキ家の家族の一員として日々仲睦まじく暮らしている。

ラキにとっては、家族としてラニとともに過ごした確かな日々の積み重ねが何より重要なのだ。

そして、ラニの黒い毛に埋もれながらレオニス達の会話を聞いていたライト。

ここで身体を起こし、ラキにお願いをした。

「ラキさん、ぼくもレオ兄ちゃんといっしょに狩りについていっていいですか!?」

「ン? ライトも狩りを見学したいのか?」

「はい!ラキさん達オーガの狩りを見て学びたいのと、ラニの狩りも見たいんです!」

「それは……養い親のレオニスが良いと言うならば、我としても連れていくのは吝かではないが……」

ライトの望みを聞いたラキが、ちろり、とレオニスを見遣る。

ラキとしては、狩りという危険な場に子供が混ざることに積極的に賛成はできない。現にラキは、オーガ族の子供達を狩りに連れていったことは今まで一度もない。

だが、ラキは人族の考えや慣習のことはあまり知らない。故にライトの保護者であるレオニスが良しとするならば、自分もそれを受け入れようと思ったのだ。

そんなラキの視線を受けたレオニス。

ン?という顔をした後、あっけらかんとした声で答える。

「あー、俺はライトがついてきてもいいぞ。ライトはいっつも森の中を走り回ってるし、俺がついてる以上危険な目には遭わせないから安心しな」

「そうか、お前がそう言うなら問題ないだろう。ではライト、我らとともに狩りに行くか」

「ありがとうございます!」

ラキの承諾を得られたライト、破顔しながらラキに礼を言う。

レオニスも基本的にライトに関しては過保護気味だが、冒険に関することだけは別だ。

ライトももうすぐ冒険者登録することだし、今から少しづつこうした狩りを見聞きして経験を積んでいくのもいいだろう、と考えたのだ。

そんなライト達のやり取りを見ていたラウルが、ライト達に声をかける。

「じゃ、ご主人様達は今日は狩りだな。奥方達とともに土産を期待しているぞ」

「おう、ラウル、お前も料理教室頑張れよ。ちなみに今日のメニューは何だ?」

「今日は新しい餅を使った料理を作る予定だ。イチゴ大福やバター餅、ミルク餅に餅のベーコン巻きとかかな」

「おお、そりゃ美味そうだな!俺の分も作っといてくれ!」

「了解ー」

ラウルが挙げた本日の料理教室メニューに、レオニスの顔もパァッ!と明るくなる。

大福などの甘い系に加え、ベーコン巻きという甘じょっぱい系まであるとなれば、聞いただけでもウキウキしてくる。

そしてレオニスの横で、何故かラキまでそわそわしたように呟く。

「ラウル先生、その……できれば今日は多めに作って、我の分もとっておいていただけると嬉しいのですが……」

「おう、もちろんだ。狩りで働いて疲れて帰ってくる皆のために、今日はいつもよりたくさん作って取り置きしておこう」

「おお、それはありがたい!今日は皆、いつも以上に張り切ることでしょうぞ!」

ちょっとだけ言いづらそうに、でもちゃんと要望をラウルに伝えるラキ。

美味しそうなメニューの羅列を聞けば、レオニスでなくともラキも食べたくなるというものだ。

ラキにしては珍しいおねだりに、ラウルもニカッ!と笑いながら快諾した。

おねだりが叶って餅料理の確保ができたラキ。

張り切りながらライトとレオニスに声をかける。

「よし、では早速行くぞ!」

「狩りに出るのはラキだけか?」

「いや、里の出入口の道で待ち合わせをしている。我の他に三人ついてくる予定だ」

「そうか、なら早速行くか」

「ではラウル先生、いってまいります。本日も妻達へのご指導、どうぞよろしくお願いいたします」

「ああ、任せとけ」

既にいつも以上に張り切るラキに、ライトとレオニスがその後をついていき里の出入口の道に向かう。

ラウルは一人ライト達を見送った後、ラキ宅の中に入っていった。