軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1064話 マッピングの登録地点の整理整頓

ブリーキーの街に行くことが決まり、ウッキウキでカタポレンの家にレオニスとともに帰るライト。

ちなみにブリーキーに行くのは次の土日ではない。今週の土曜日には、ラグナロッツァ孤児院の落成式が行われるのだ。

そして日曜日には、旧孤児院から新孤児院への引っ越し作業がある。そうした一連の行事や作業を、レオニスとライト、そしてラウルも手伝うことになっているのである。

つまり今度の土日は、ライトは自分のために動くことは一切できない。

だが、ライトに不満は一切ない。何故なら、もうすぐ冬休みになるから。

冬休みになれば、夏休み同様ライトも自由に動ける。期間は夏休み程長くはないし、大晦日や正月三が日はさすがに一人であちこち出かけることはしないが、それでも一日中好きなように動ける絶好の機会に変わりはないのだ。

自室に戻り、早速マイページを開くライト。

実はライトには、早急に取り組まなければならないことがあった。

それは『マッピングの登録地点の見直し』であった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

今から三ヶ月前、九月上旬にライトがルティエンス商会で初めて課金通貨CPで購入した【お役立ちアイテム詰め合わせセット】。100CPで五つのアイテムがランダムで出てくるという、福袋形式のアイテムである。

その中にあったスキル書『紫の写本』で得た、任意の場所を登録して自由に行き来できる『マッピング』というスキル。

これのおかげで、ライトは様々な場所を行き来できるようになった。

だが、唯一残念なのは『地点の登録は最大で十ヶ所まで』ということ。

スキルレベルが1上がる毎に登録できる数が増えていくのだが、BCOにおけるスキルレベルは最高で10なので、必然的に登録可能な地点数も最大十ヶ所までなのだ。

理想を言えば、転移門のように設置すればする程移動可能箇所が無数に増やせれば一番いいのだが、こればかりはどうしようもない。限られた数の中で、ライトは都度やり繰りしなければならないのである。

今ライトがマッピングで登録している地点は、以下の通りである。

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1.カタポレンの森/地点A(ライトの自室)

2.転職神殿/地点A(転職神殿内の転移陣)

3.転職神殿東/地点A(咆哮樹狩りのため)

4.北レンドルー/地点A(ディソレトホーク狩りのため)

5.巌流滝の畔/地点A(巌流滝の清水採取のため)

6.イェソド東/銀坑道入口(シルバースライムのべたべた採取)

7.ルティエンス商会(行き来するため)

8.エリトナ山(火山蜥蜴狩りのため)

9.中央レンドルー/地点A(黄大河の原水採取のため)

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マイページを開いたライト、マッピングの登録地点ラインナップを見ながらうんうん唸っている。

地点登録の空き枠は、あと一ヶ所。

これからライトは神威鋼の入手のために、いくつか新たな場所に行かなければならない。

まずは『呪われた聖廟』の最寄りの街センチネル。できれば『呪われた聖廟』がある孤島ブリーキーに直接地点登録できればいいのだが、最低限センチネルの浜辺でも十分可能だ。

他にも赤小鬼の出没ポイントであるナディア、砂漠蜉蝣=エフェメロプターがいるノーヴェ砂漠にも地点登録したいし、暴君竜=ドラゴタイラントの討伐のためにシュマルリ山脈にもこの先地点登録する必要が出てくるかもしれない。

欲を言えばキリがないとは、まさに今のライトの心境である。

「うーーーん……この部屋と転職神殿は絶対に外せないし、同じくルティエンス商会も残しておきたいな……」

「ホントは転職神殿東を消してもいいんだけど……身代わりの実レシピの材料の中に『咆哮樹の実』があるんだよなぁ……転職神殿東は、リストから外すにしても、先に実を十個確保してからだな」

「イェソド東とエリトナ山も外せんな……どっちも行くだけでかなり大変な場所だし」

マッピングの地点登録のリストラをどうするか、ライトはひたすら頭を悩ませている。

リストに優先的に残しておきたい場所を消去法で除いていき、一番最後に残ったのが『巌流滝の畔』だった。

巌流滝は『巌流滝の清水』という名目で闘水を作る材料の一つになっている。

そしてこの闘水は、グランドポーションの材料の一つでもある。

つまり、巌流滝の清水は闘水とグランドポーションに欠かせない材料だった。

だが、水場の行き来ならウィカにまた連れて行って!と頼むことができる。

一旦マッピングの行き先から消しても、再び訪れたくなった場合に最も行きやすい場所なのだ。

「……よし、明日の朝と夕方に巌流滝の清水を目一杯仕入れてこようっと!」

「そのためには、今のうちにアレをしとかんとな……」

マッピングの登録地点の整理に目処がついたライト。

その後も寝る直前まで、何やらずっとマイページを弄り倒していた。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

翌日の朝。

朝の魔石回収のルーティンワークを終えたライトは、早速マッピングで巌流滝の畔に移動した。

真冬の早朝の滝の畔は寒気に満ちていてとても寒いが、同時に極限まで張り詰めた凛とした清浄な空気は清々しい。

ライトは白い息を吐きながら、早速作業を開始する。

まずライトは滝壺の上に立ち、【遠心分離】スキルを発動させる。

そしてライトの目の前に出現した、分離用の巨大な球体を滝の落下する水に浸すように潜り込ませた。こうすることで、球体の中に巌流滝の清水を注いでいるのだ。

カタポレンの家のライトの部屋が丸ごと入りそうな巨大な球体に、並々と注がれていく巌流滝の清水。

球体の半分程度まで見る満ちたところで、ライトはマイページのアイテム欄を開き、空のガラス瓶を取り出した。

瓶の蓋をキュポッ!と取り、瓶の口を球体の縁につける。

すると中の水がチュッ!と吸い込まれて、空き瓶の中はあっという間に清水で満杯になる。

それを手早く蓋を閉める。これで、闘水の材料の一つである『巌流滝の清水 1個』の出来上がりである。

そう、ライトが【遠心分離】スキルを発動させたのは、遠心分離を行うためではない。空き瓶に水を入れるためだけにスキルを使っているのだ。

ちなみにこの空のガラス瓶、マイページのショップ内で売っているものだ。1個5Gで購入でき、購入の個数制限などもない。

これは『レシピ生成で回復剤を作った後、回復剤を入れる容器がないと困るでしょ?』という 創造神(BCO運営) の細やかな配慮のもと、ゲーム内通貨で買えるようにショップのラインナップに追加されたものだ。

だが、この一見お手頃に思える5Gも、塵も積もれば山となる。

特にライトの場合、レシピ生成した回復剤だけでなく材料の水をアイテム欄に収納するためのアイテムとしても多用している。

これまでライトが購入した空のガラス瓶の数は、何と五桁を超えていた。

ライトがそんなにも空のガラス瓶を消費する理由は、主に二つ。

一つは、空き瓶に収納する液体の種類が多いこと。

イノセントポーションやグランドポーション、セラフィックエーテルやコズミックエーテルといった回復剤そのもの以外にも、原材料の水が複数種存在する。

これまでクエストイベントで出てきた、世界各地に存在する水類は『目覚めの湖の水』『巌流滝の清水』『聖魔の泉の湧水』『黄泉路の池の水』『黄大河の原水』の五種類。

これらは全て材料なので、いつでもレシピ生成できるように大量にストックしておかなければならない。

そして二つ目の理由は、原材料の水類を大量にストックする必要があること。

例えばマキシマスポーションを一個作るためには、目覚めの湖の水38個、巌流滝の清水18個、黄大河の原水6個、聖魔の泉の湧水20個か必要だ。

ギャラクシーエーテルの場合、一個の生成につき聖魔の泉の湧水50個、目覚めの湖の水32個、黄泉路の池の水30個、巌流滝の清水12個が要る。

そしてライトはクエストイベントクリアのために、これらを五十個以上作らなければならない。

原材料の水類だけでも、それぞれ何百個何千個と消費する。そのストックも必然的に常時四桁は維持する必要があるのだ。

昨晩のライトが寝る直前までマイページのショップをポチポチしていたのは、巌流滝の清水を大量確保するために空のガラス瓶を購入連打していたからだったりする。

ショップのアイテム購入は、プルダウンメニューで100個まで指定できる。だがしかし、空き瓶を10000個買っておこうと思ったら、100個購入を100回繰り返さなければならないのだ。

何気に地味ーな作業だが、これも必須作業。

こうした下準備を怠れば、ただでさえ困難なクエストイベントクリアがますます遠のくことになる。

故に昨晩のライトは無心でマイページ操作をしていた。

そうした下準備の甲斐あって、巌流滝の清水のストックをじゃんじゃん増やしていくライト。

アイテム欄から取り出した空き瓶の蓋を取り、清水を満杯に詰め込んで蓋をして再びアイテム欄に放り込むまで、かかる時間はほんの2秒程度。

一分につき30個増のペースで清水ストックを増やし、一心不乱に作業し続けること二十分弱。

巌流滝の清水のストックを500個増やしたところで、ライトは一旦手を止めた。

「ふぅ……もう時間もないし、続きはまた夕方にするか」

吸い取りきれなかった球体の中の水は、【遠心分離】をキャンセルして再び滝壺に戻す。

そしてライトはマッピングの登録地点に立ち、カタポレンの家の自室に戻っていった。