軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1037話 ご近所の岩山探索

レオニスがトナカイパレンとの話し合いをした翌日の昼過ぎのこと。

レオニスはラウルとともに、暗黒の洞窟に向かっていた。

午前中は、二人とも各々の予定をこなす。

レオニスはカタポレンの森の東側遠方まで警邏に出かけ、ラウルは冬野菜の栽培に勤しむ。

ちなみに今のラウルの栽培品目は、カブ、長葱、白菜、大根、ブロッコリー、ほうれん草などである。

そして各々昼食を摂った後、カタポレンの家から暗黒の洞窟があるご近所の岩山に出かけていた。

「ほーん、あの家から程近いところにある岩山に、暗黒の洞窟なんてもんがあったんか。そりゃ知らなんだ」

「ああ、うちから反対側の方に洞窟の入口があってな。その最奥に闇の女王が住まう暗黒神殿がある」

「最奥ってーと、こないだの地底神殿みたくかなり奥まで行かなきゃならんのか?」

「洞窟自体は三層構造で、最下層の三層からさらに最奥の間に飛ぶんだが、その最奥の間には闇の女王が認めた者しか辿り着けんようになっている。おかげで俺もその昔、若い頃には最奥に到達できなかったが……」

「小さなご主人様のおかげで、行けるようになったってか?」

「……まぁな、そんなところだ」

暗黒の洞窟に向かう道すがら、レオニスがラウルに暗黒の洞窟とは何たるかを軽く説明している。

基本的にラウルの場合、料理や神樹に関する事柄以外はあまり興味を示したことがない。なので、これまで暗黒の洞窟に対する興味もなかった。

だが先日の地底世界探索の際に、ラウルは下級の闇の精霊にいたずらで目隠しされてしまった。

他にもライトやレオニスがいたにも拘わらず、ラウルだけがいたずらの標的にされたのは、ひとえに彼が闇の女王との知己を得ていないからだった。

これは、冒険者となったラウルにとっては実に手痛いことだ。

将来ライトやレオニスと様々な場所を探索する際にも、ラウル一人だけ足枷になりかねない。

それを回避するには、自分もちゃんと闇の女王との面識を持っておかねばならん!という訳である。

そんな訳で、暗黒の洞窟に対する知識をレオニスから得るラウル。

そうこうしているうちに、二人はカタポレンの家から見て向こう側にある暗黒の洞窟入口に辿り着いた。

二人の目の前に広がる闇を見つめつつ、ラウルがレオニスに向かって問いかけた。

「これ、中にはもちろん魔物がいるんだよな?」

「当然。だが、今日は魔物狩りが目的じゃないから、最奥までサクッと行くために呪符を使うぞ」

「了解」

レオニスは肩に引っかけて持っていた魚籠を一旦下ろし、深紅のロングジャケットの内ポケットから呪符を一枚取り出して破る。

これで二人はしばらくは魔物から襲われない。

そして二人ともハイパーゴーグルを目元に装着した。

「じゃ、行くぞ」

「おう」

準備万端整えたレオニスとラウル。

二人は中に向けて、勢いよく駆け出していった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

程なくして、一層の最奥に辿り着いたレオニスとラウル。

洞窟の突き当たりが見えてきたところで、一旦止まったレオニスとラウル。

ラウルに向かってレオニスが解説を始めた。

「ラウル、あの突き当たりの手前に円陣があるのが見えるか?」

「……お、ホントだ、地面に何か円陣が描かれてるな」

「あれは本来、一層から二層に飛ぶための仕組みなんだが。闇の勲章を持っていれば、あの円陣から最奥までひとっ飛びで行けるんだ」

「おお、そりゃいいな」

初めて見る洞窟のシステムに、ラウルが興味深い目で円陣を見つめている。

いつもなら、この一層の最奥にある円陣から暗黒神殿のある最奥までひとっ飛びで行けるのだが。その資格があるのは、闇の女王が認めし者のみ。

つまりは闇の女王が勲章を授けた者だけである。

レオニスは闇の勲章を持っているが、ラウルはまだ所持していない。なので、本来ならば一層から下の階の二層、そこからさらに三層まで地道に踏破しなければならないところだ。

しかし、できることならその過程も省略したい。レオニスは円陣に入る前に、ラウルに声をかけた。

「ラウル、この円陣から最奥の間に飛ぶために手を繋ぐぞ」

「ン? そうすりゃ次の二層や三層は走らんで済むのか」

「多分な」

「了解。そういうことなら手繋ぎも吝かではない」

レオニスの指示に、ラウルは素直に従う。

ラウルは闇の勲章持ちではないが、レオニスと手を繋ぐことで『レオニスの付属物=連れ』として最奥の間までひとっ飛びしよう!という計画である。

普段のこういう場面ではライトがいて、ライトがレオニスとラウルと手を繋ぐ役割を果たすところなのだが。生憎今日は平日、ライトはラグーン学園に登校していて不在。

おかげで大の男二人が仲良くお手手を繋ぐ図の出来上がり、である。

「じゃ、行くぞ」

「はいよー」

ここでもレオニスの指示に素直に従うラウル。

レオニスは冒険者業界の大先輩、先輩の言うことに従っておけば間違いない!のである。

そして二人は一層の円陣に入っていき、最奥の間まで飛んでいった。